表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20行ショート  作者: 冬月やまと
12/440

VOL12.虹

「課長、どうしたんですか? 浮かない顔をしてますよ」

「今年入った上野がさ、用事を頼んだら、教えてもらってないからできませんって言うんだよ」

「仕方ないですよ。ゆとり世代なんですから」

「そうだな」

 頷きながらも、田町はやりきれない気分だった。

 田町が隣に目を遣ると、大学生と思しき三人連れが、楽しそうに飲んでいる。

 それを見て、田町は、自分の大学時代のことを思い出した。と同時に、急に視界が開けた。

 時代なんかじゃない。大学時代の俺も、あいつらと一緒だった。

 俺たちは、自分の無責任さを、時代という便利な言葉にすり替えているだけだ。

 自分だって、厳しいばかりの上司は好きじゃなかった。

 俺の親は、いくら忙しくっても、子供と向き合ってくれた。勉強以外の、人としての大切なことを教えてくれた。

 俺は、自分の子供達に、そんなことをしたことがあるか?

 いつも、忙しいのを言い訳に、子供達のことは女房に押し付けてきた。

 そのくせ、今の若い者はと嘆いている。上野だって、ひとつしか年が違わないのに、ゆとり世代を馬鹿にしている。

 それは、馬鹿にしているのではなく、たんに責任を回避しているだけだ。

 田町の頭の中の霧が晴れ、心に虹が差した。

 これ一杯で帰って、子供達と向き合おう。明日から、上野とも真摯に向き合う。

 再出発の門出となる杯を、田町はゆっくりと傾けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ