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VOL.100 無人島
俺がこの島に流れ着いて、もう何日経ったのだろう。
この島に着いてから、隅々まで探索したが、人っ子ひとりいなかった。
まさに、無人島だ。
直径2㎞ほどの小さな島だが、幸いなことに、島の中心に泉があり、多少ながら野生のバナナも実っていた。
俺は、ここへ流れ着いてから、一日中浜辺に座り、ずっと遠くを眺めている。
いかし、船影のひとつさえ見えない日々が続いた。
ここの砂浜は柔らかくて気持ちがよく、夜、浜辺で仰向けになると、夜空を覆い尽くす星々が綺麗で、まるで光の天蓋が付いているふかふかのベッドに横たわっている気分になれた。
こんな贅沢は、都会では味わえない。
ある日、一隻の船が、島の近くを通りかかった。俺は必至で手を振った。
俺に気付いたのか、船が岸壁まで寄ってきて、船員が笑顔で降り立つ。
「いかがでしたか? 無人島体験は」
「最高だったよ」
俺は、笑顔で答える。
リアルにこんな無人島に流れ着いたのなら、星空を楽しんでいる余裕などあるはずがない。それこそ、一日で気が変になってしまうだろう。
俺は都会での生活に疲れて、心をリフレッシュするために、二泊三日のお一人さま無人島体験に申し込んだのだ。
少々高くはついたが、その効果は抜群だった。




