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第3記

ようやく設定を作りました。書いてすぐに投稿してるので、後の話の都合で修正する場合があるかもしれません。




「ワンワンッ!」


「きゃーかわいい♪」


 まるで子犬みたい!


「これではただのペットだな…。」


 あぅ。そんなこと言われたって、狼モンスターを作成したらこの子が出来たんだもん。えっと、柴犬って言うんだったかな?こういう犬って。


「よし!君の名前はシバだよ!よろしくね、シバ!」


「ワンッ!」


 私が両手で抱え上げて名前を付けてあげると、嬉しそうに吠えた。舌を出してこっちをつぶらな瞳で見つめてくる。…そ、そんな目で見ないでっ!ダメ!私、ダメになっちゃうよ!



「…とりあえず、強化できるだけしておけ。そんなんではすぐに人族にやられるぞ。」


「それはダメ!」


 私は慌てて、シバを強化する。




 もうこの世界に来てから1年近く経っている。結局魔法は大してうまくならなくて、この周りに生息する恐竜みたいな凶暴な獣を倒すことも出来ないので、レベルは1のままだったりする。


 ダンジョンは毎日こつこつと拡張していったおかげで、随分と広くなった。配置は適当だったりする。エクリプサーを設置する前に配置換えすればいいんだって。位置を変えるだけならそんなに魔力も要らないみたい。


 そして、さっき初めてのモンスター作成であの子が生まれたところ。


 もう1年近く経ったということで、一旦エクリプサーを設置して人族がどんな感じなのか知ろうという話になったの。


 そんなわけで、モンスターを作成し、部屋の配置を変え、トラップを設置し、最後にエクリプサーを設置する、と。



「部屋はどんな配置にしたらいいのかな?」


「人族を観察するためだからな。迷路のような配置にするといいだろう。それと、ダンジョンの分割をしておけ。」


「分割?」


「エクリプサーが設置された時に、1つのダンジョンとみなされる範囲があるわけだが、初期状態だとすべての範囲が1つのダンジョン扱いになっているはずだ。それを分割して2つのダンジョンとし、片方はエクリプサーが設置されるダンジョンに、もう片方はダンジョンコア及びおまえが安全に身を隠すダンジョンにする。」


 そうすると、私は安全なところに居たまま、エクリプサーを設置できる、ってことかな?早速やってみよう。



 …出来た。


 これで分割が出来たはずだから、後は迷路を作って、と。…こんな感じかな。


「トラップはどうするの?」


「適当に思い付いたのを設置しておけばいい。トラップといっても致死性のものは作れないからな。今の段階では嫌がらせにしかならないだろう。」


 嫌がらせって…。


「今日はもう魔力だいぶ使っちゃったから、また明日かなぁ。」


「モンスターの強化も忘れずにな。」


 あぁそっか。シバももっと強化してあげないとね。


 シバが私の足元で尻尾を振っている。よーし、今日は一緒に寝よっ、シバ♪



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「こんな感じでどうかな?」


「いいんじゃないか。」


 一通りトラップを設置し、シバも強化できるだけ強化した。シバの強化は私の最大MPが増えないとこれ以上は無理…。ってわけで。


「かんっせーい!」


「ワォーンッ!」


 強化してもシバは子犬のまま。成長しないのかな?


 後はエクリプサーを設置して、人族が攻めてくるのを待つだけ。シバはエクリプサーの番人をやる。…シバ、大丈夫かな。



 数日後。



「来たようだな。」


 今、私たちはダンジョンコアの機能で、ダンジョン内の様子を空中に浮かぶディスプレイで表示している。

 地上にちょこっと顔を出したダンジョンの入り口の階段を降りてくる人族が3人。3人とも中年のおじさんで、とっても強そう。


「…これはシバを撤退させておいたほうがいいな。遭遇した瞬間に殺されるぞ。」


「ええっ?!」


 私はすぐさまダンジョンコアを通して、モンスターの配置換えをし、シバを手元に呼び戻す。エクリプサーを守る役目はまた今度ね。


「そんなに強いの?」


「装備が良い。これであの年齢なら熟練の冒険者といったところだろう。このダンジョンの存在が分かり、さしずめ調査にでも来たのだろう。」


 ぱっと見ただけなのに、そこまで分かるんだ…。


 3人は魔法らしきもので明かりを灯し、ダンジョン内を慎重に歩き進んでいく。



 …あ。落とし穴、避けられちゃった。何で分かったんだろう?

 え?そなー?探知する魔法があるの?


 泥の床は、うわ、燃やされちゃった。固まって普通の床になっちゃったよ…。


 水の床は、うん、凍らせるよね…。ほえー、ちゃんとデコボコにして滑りにくくしてるし…。


 霧の部屋は…風を通すのかぁ。もっと霧が広かったら風でも消せなかったのかな。


 毒ガスが噴出する場所は…あれ?何ともない?毒ガスをちゃんと選択したはずなんだけど…。

 加護で毒が効かない?何それ?光水晶から得られるの?



 時々、吸血鬼に教えてもらいながら、3人を観察する。


「一通りぐるっと回ったね?」


「そうだな。…嫌がらせにはちょうど良かったようだ。」


 3人はエクリプサーまで辿り着けず、もう一周し始めた。


 …実は水の床を潜ったところに、エクリプサーへと通じる通路があったりするんだ。吸血鬼作だけど。


 3人が隠し通路がないかソナー魔法を使って、詳しく調べながら回っている。


「あー、見つかっちゃった…。」


 3人は、今は凍っている水の床のところで止まり、炎を出して氷を溶かしている。そして、水の中に潜ってエクリプサーへと通じる通路に進む。


 3人がエクリプサーの設置された部屋に辿り着く。外の恐竜みたいな獣が元気一杯暴れられそうな広さがある。部屋の中央には、高さが1mほどの円柱の台座があり、台座の上の部分はくの字の突起が5本付いていて、その突起の集まったところに光水晶が淡い黄色の輝きを放って宙に浮かんでいる。


 1人がエクリプサーに近寄り、辺りを警戒しながら、エクリプサーに出来たごく小さな光水晶を手に取る。そして、そのまま光水晶を持ち帰っていってしまった。



「…持ってかれちゃった。」


「想定通りの結果だな。」



 …。分かってはいる。あの人族を殺すつもりでいかなければならないこと。


 本当はトラップとモンスターを組み合わせて、人族を殺す必要があって。モンスターは大量に作成して、あの手この手で人族を殺しに掛かるものみたい。数撃てば当たるってことで。


 それをモンスターを可愛がって戦わせないなんて、本末転倒なんだ。



 それでも。



「やはり、おまえのレベルを上げる必要があるな。もっと多くの魔力を消費して守りを固める必要がある。シバももっと強化しなければ簡単に殺されてしまうだろう。」



 吸血鬼はそんな誰も死んでほしくないっていう、私の気持ちに寄り添ってくれるんだ。




「少し危険だが…他のダンジョンのモンスターを倒しに行こう。場所によっては弱いモンスターも多く居るはずだ。」


「それだったら私でも倒せるかな?」


「ああ、大丈夫だろう。…ちなみに、自分で作成したモンスターではレベルが上がらない。あくまでも、おまえの魔力で作られたモンスターだからな。」


 そんなことしないよ!シバを殺すなんて…。


「弱いモンスターの居るダンジョンを探すために、人族の街へ行こう。手当り次第にダンジョンを荒らすわけにはいかないからな。」


「え?街に行くの?」


「見た目だけなら人族と変わらないからな。ただ、多くの国ではモンスターの侵入を防ぐための措置がされている。小規模な国なら、そういった措置がされていないところもある。…昔、調べた国にそういったところがあった。これからその国の様子を確認してくる。問題がなければ一緒に行ってみよう。」


「うん、分かった!気を付けてね?」


「ああ。遅くても数日で帰ってくる。」



 数日かぁ。寂しいな…。


「クゥ〜ン。」


 よしよし。シバが居るもんね。…でも、それとこれとはちょっと違うんだぞ?




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