第2記
ダンジョン作りは次回辺りからの予定…です。
「次は何をしたらいいかな?」
「少しずつダンジョンを拡張し、守りを固めるしかあるまい。エクリプサー…世界の力を集める装置をいずれ設置しなければならないが、そのためにはダンジョンの入り口を作り、全ての部屋に到達できるように部屋を配置しなければならない。」
「なるほど…。」
「神に誠意を見せるという意味でもエクリプサーは早く設置した方が良いが、設置してしまうとすぐに人族に見つかってしまうだろうな。」
「え?どうして?」
「エクリプサーに世界の力が集まると、光水晶というものが作られる。それが一定の密度に高まると、目に見えない形の力へと変わり、神はその力を回収している。だが、光水晶の時点で既に膨大な力を秘めているのだ。その力を求めて人族はやってくる。そして奴らは、その力を探知する術を持っている。」
え〜と…つまり、すぐ見つかっちゃうんだ。うぅ〜〜、話が難しいよ。
「レベルが低いのだから、気長にやっていくしかあるまい。」
「うん…。」
…それで結局、何をすればいいんだろう。
ダンジョンの拡張って、ただ広げればいいのかな?
…とりあえずやってみよう。
ダンジョンコアに力を注いで、部屋を広げてみる。
「…っ!?」
また意識が…。
「…魔力の使いすぎだ。少しずつ使えばいい。」
先に言ってよ………もうダメ………。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「う〜ん…。」
あれ?枕?
「む。」
目を開けると目の前に吸血鬼の顔があって、目が合う。そしたら、吸血鬼が私の頭を優しく撫でてくれた。やばい。心臓が破裂しそう!
「起きたか。」
一気に目が覚めちゃったよっ!
私は慌てて起き上がって、吸血鬼から顔を逸らす。きっと顔が真っ赤だから。…さっき枕だと思ったのは吸血鬼の太ももだったんだ。
「…まずは寝具でも揃えたらどうだ?」
揃えるって…。
「どうやって揃えるの?」
「…ダンジョンの管理ではオブジェクトの作成と配置が可能だ。本来はトラップを仕掛けたりするのに使うが…趣味として物を揃えたい時にも使う主は多い。」
へぇ、そうなんだ。
「他にもダンジョンの主って居るの?」
「ああ。数え切れないほどな。」
え!?そんなに?
「積極的に関わらない限りは、まず会うことはないだろうがな。」
「そっ…か。」
とりあえず寝具を作成してみよう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
黒から脱色されてしまった濃い茶色の髪が肩辺りまで伸びてる。顔は…うん、同じ。
私は姿見の鏡も作成して、身だしなみを確認してる。
服も、黄緑色で水玉模様のキャミソールに、ベージュ色のホットパンツ…ってずっと着てた!?に、においとかは…うん、大丈夫そう。
で、でも同じ服は流石にまずいよっ!
あ、そうだ!服も作ろう!
「…子供でも女は大変なんだな。」
ひゃぅ!?
「えっと、その、わ、わたし、変じゃないかな?」
「何をもって変かどうか聞いているのか分からぬが…別におかしいところはないと思うぞ。まぁ、おまえは既に人族ではなくなっている。だから、歳を取ることもないし、食事も必要ないだろう?そういった意味では変わったかもしれないがな。」
そういえば、この世界に来てから一度も食べてないや…。石の床で寝ても痛くならなかったのはそういうことなのかな?
とりあえず、服を作ろう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ついに居住区が出来た。…寝室とお風呂だけだけど。吸血鬼が部屋を分けないと着替えも出来ないだろうと、気を利かせてくれたので慌てて作ったんだ。一度魔力切れで寝ちゃったけどね。
「このまま徐々に拡張していくのもいいが…レベルも上げたいところだな。」
「レベルってどうやって上げるの?」
「この世界の生き物の中には、魔素と呼ばれるものを持っている者がいる。その魔素を奪うことで、レベルが上がるのだ。基本的には、自身の魔素から生まれる魔力を使って攻撃することで相手の魔素を自身の色に染め、そして相手が死んだ時にその魔素が剥がれ落ちるので、それを自身の魔素として吸収するのだ。」
えと、つまり?
「…難しすぎたか。まぁいい。ようは魔法を使って倒せばいい。それだけだ。」
おぉ、なるほど。
「まずは魔法を覚えるところからだな。」
「あ、そっか。」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「んん〜〜……えいっ!」
火が出るイメージで手を前にかざす。…けど、何も起きない。
ここ数日、ダンジョンの拡張を続けながらも、ひたすら魔法の特訓をしている。けれど、魔素を魔力に、魔力を魔法に、変える感覚が掴めない。ダンジョンコアに力を注いだりするのと同じようなものだというけれど、何故か出来ない。
でも、いいんだ。
だって、その間ずっと吸血鬼が手とり足とり教えてくれるから!えへへ。ずっと一緒なんだよ。
時々私は、自分がにやけていることに気付いて吸血鬼から顔を隠すのだけど、吸血鬼はそんな私を見て優しく微笑んでくれるんだ。…その微笑みは何なのだろう?
そんな感じで、魔法の特訓は続いたのでした。