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第18記

「ああ!!神様ありがとうございます!!」


 ダンジョンの外でラテリちゃんと合流した私とヴァイスとシュネスさん。他の皆はダンジョンの防衛のためにお留守番です!


 一応神様ってことで金色の髪飾りと白を基調にしたフリルのドレスにローブを羽織ってみたの。冒険者風の服装やキャミソールにホットパンツで神様って呼ばれるのもどうかと思って…。



「ラテリ、だったか。おまえの住んでいるところというのはレマニエッタのエルフ地方であっているか?」


「はい!」


 おお。本当にヴァイスの言った通りの場所だったみたい。ヴァイスはラテリちゃんの言っていた宗教に心当たりがあったみたいで活動している場所を知っていたんだって。もし場所が違っていたらモンスターが入れない可能性が高いから今回はシュネスさんに任せて見送ろうって話になってたの。とりあえず第一段階はクリアだね。



「なあ、ラテリちゃん。サラって女が家族の誰かにいなかったか?」


「え?確か祖母の名前がサラだったと思いますけど…。」


「おお!まじか!いやぁたぶんそのおばあさんと俺は知り合いだぜ。」


「そうなんですか?」


「おうよ!道すがらそのおばあさんの話を聞かせてくれねぇか?」


「私も祖母のお話を聞きたいです!」


 シュネスさんの初恋の相手とか言うのも当たってたみたいで良かったね。でも孫がラテリちゃんってことは初恋の相手は他の人と結婚したってことだよね?辛くないのかな、そういう話聞いて。



「それじゃあラテリちゃん、道案内よろしくね?」


「神様の仰せのままに!」


 何だろう。さっきのサキュちゃんとのやり取りを聞いてたせいかすごくわざとらしく見えるよ…。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「ここが私の住んでいる町です!」


 あちこちに教会のような建物が見えて道行く人々の半分はラテリちゃんのような修道服を来ている。ヴァイスが言っていたけどこの国は宗教を中心とした国なんだって。


「じゃあさっさと借金を返しちまおうぜ。」


「こんな私のために本当にありがとうございます、シュネスさん。」


「気にすんなよ。さ、行こうぜ。」



 ラテリちゃんの案内でたくさんある教会の一つに入っていく…って他の教会にお金借りてたの?


「す、すいませ〜ん…。」


「何恐縮してんだよラテリちゃん。」


「いやだって他の宗派の方ですし何されるか分からないじゃないですか。」


「そんな物騒なのかよ?」


「いえなんとなくです。」


「なんとなくかよ!?」



「騒がしいですね、教会の中ではお静かに…おや?ラテリさんですか?」


「あ、ご無沙汰しております。」


「この子の代わりに借金を返しに来たぜ。」


「失礼ですが、ラテリさんのご関係者でしょうか?」


「ああ。この子のおばあさんと古い仲でな。…この国の金貨じゃねえが足りるだろ?」


 シュネスさんが持ってきた大量の金貨が入った袋を渡す。金貨は金貨でもレベル1の光水晶を換金した金貨とは金の含有量が違って価値が全然違うんだって。もちろん、シュネスさんの持ってる金貨の方が高いわけでして。


「す、すごい量ですね。おそらくこんなに貸してはいませんから数えて相当額だけ受け取らせて頂きますね。」


「おう、頼んだぜ。」


 そう言って教会の人が奥の部屋に入っていった。…そんな大雑把でいいのかな。



「あの…シュネスさん?取られすぎたりしないでしょうか?」


「別に構わねぇよ、ラテリちゃん。どうせもう使い道のねぇもんだ。へへ、惚れるなよ。」


「あ、そういうのないんで。」


「ラテリちゃんも厳しいなぁ!?」


 うーん、確かにダンジョン暮らしでお金は必要ないけれど…。あって損はないと思うんだけどなぁ。




「お待たせしました。」


「お?意外と返ってきたな。」


「それでも貨幣の交換手数料を取らせて頂いたのですが…問題なければこちらにラテリさんの署名をお願いします。」


「あ、はい。問題ないですよね?シュネスさん。」


「ああ。」


「じゃあラテリっと…書けました。」


「ありがとうございます。…あのような状況でしたのでまさかこんなに早く返して頂けるとは思いませんでした。」


「あはは…。そういえばあの盗賊たちの情報って何かお持ちじゃないですか?」


「盗賊…ですか。ラテリさんはご存知ないのかもしれませんがおそらく邪教を粛清する闇騎士たちの仕業でしょう。異端な宗派が出るたびにその宗派が襲われているのです。名目はそれなりに整っているように聞こえますがラテリさんの言うように盗賊となんら変わりません。国も昔から手を焼いているようで中々捕まらないのですよ…。」


「そんな人たちが…。初めて聞きました。」


「ラテリさんはまだお若い。そういった血なまぐさい話は教えられてなかったのでしょう。彼らは暴れる場所と金目の物を欲しています。もうラテリさんが狙われることもないでしょう。」


「そうなんですね…。教えて頂きありがとうございました。」


 話が終わったので教会の外に出る。



 国も手を焼く闇騎士か〜。



「ねぇヴァイス。どうやってあの闇騎士だっけ?を見つけるの?」


「…考えていなかった。」


「え?」



 …。



 あのヴァイスが無策…?



「えええええ!?」


「すまない。さっきの話を聞く限りでは見つけるのは難しいだろう。…今回は諦めよう。」



 あ、ヴァイスがしょんぼりしてる。そういう顔もするんだ…。



「ん〜〜!!」


「…どうした?」


「たまには私が頭撫でてあげようかと思ったんだけど…ヴァイス背高すぎだよ!というか私が低すぎるんだよね。もうこれ以上背伸びないのかなぁ…。」


「ふっ。俺はそのままの方が好きだな。」


「え?そ、そう?ヴァイスがそういうならこのままでもいいかなー、えへへ。」



「お熱いこったねぇ。それじゃあもう帰るのか?」


「あ、神様!もう遅いですし是非私の家に泊まっていってください!」


「もうそんな時間か〜。日も暮れてきてるもんね。どうしよっか?ヴァイス。」


「おまえの好きにすればいい。」


「じゃあラテリちゃん。一晩だけお世話になるね?」


「誠心誠意お世話いたします!」


「いやそんなに畏まらなくてもいいからね?」



 大丈夫かな…。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「さあ、出発しましょう!神様!」


「うぅ、つらい…。」



 昨日は散々だったよ…。


 ラテリちゃん料理が下手で食べるのがすごく苦痛だったんだ。せっかく作ってくれたのに残すのは申し訳ないから全部食べたけれど…。ダンジョンコアよりまずい食事はこっちの世界に来て初めてだよ。


 それにお風呂もなくて。考えてみれば当たり前なのだけど、この生活水準でお風呂とかないよね…。水で体拭くには少し気温が低すぎると思うんだ。あれ、でもファイアボールとか誰でも使えるならお風呂くらい出来るのかな?というか自分で温めれば良かった?…気付くのが遅かったなぁ。


 後は寝床が硬かったこと。一応この世界に来て体は頑丈になったけれどやっぱりふかふかのベッドの方がいいわけで。ラテリちゃんには悪いけどもう泊まりたくないよ…。はぁ。



「ごめんね、神様。お姉ちゃん悪気はないんだ。」


「うん、分かってるよ。シトロ君。シトロ君はきっといい大人になるよ。」


「え?は、はぁ…。」


 このまともな子はシトロ君。ラテリちゃんの弟で短いけれどラテリちゃんと同じ銀色の髪をしてる。出来ればラテリちゃんをしっかり教育しておいて欲しかったなー…。



 それで二人とも私のダンジョンに引っ越すことになったの。もうラテリちゃんの活動する教会はないし他の宗派に鞍替えするつもりもないみたい。弟のシトロ君は…ラテリちゃんの巻き添えだね…。一人残していくわけにもいかないから。



「神様!早く行きましょう!」


「はいはい。」


 そういえばこの家どうするんだろうね?



「ちょっと待ってもらえるかな?ヴァンパイア。」



 っ!?誰!?



 濃い緑色を基調とした顔まで覆う全身鎧とマント…趣味悪いね?



「何者だ?」


「ヴァンパイアで合ってる、と受け止めさせてもらって構わないのかな?私はエピナールだ。まぁお互い初対面だけどね。」


 ヴァンパイア…。シュネスさんの時もそう呼ばれてたよね。


「…何世だ?」


「おや?名前を覚えてくれていたようだね。特に数えてなかったから知らないよ。」


「そうか。アヤ、ちょうどいい獲物が来た。やってしまえ。」


「え?」



 この人、そういう人なの?



「こいつは狂信者だ。神に関わる者だけでなく神という言葉を口にするだけで嫉妬し殺すほどの狂ったやつだ。」


「ひっひっひ!それはちょっと言い過ぎじゃないかなぁ?最近は肩身も狭くてねぇ。憎いけれど殺せないやつも多いんだよ。」


 確かに悪人っぽい。あの口振りだと人、殺してるんだよね…。



 すーはー…。


 両手に魔力を集めるようにして…。うん、光ってきた。


 これを対象の上空に移動させる…えいっ。



「へぇ。神聖魔法かな?けれどそんな遅い動作で私に当てられるとで…ぐおぁ!?」


「ふん。足止めくらいは俺がする。」


 うわ、ヴァイスの右手があの人の兜にめり込んでるよ…。それに片手であの人持ち上げてる…。



 …よし、こっちの準備はできたかな?



「ヴァイス、使うよ!」


「ああ。」


「がはっ…。」


 ヴァイスが手を離してあの人を地面に叩きつける。…私が攻撃する前にやっちゃってたりしないよね?


 いやいや!そんなことよりここは集中しなきゃ!



 光をあの人に落として染め上げるんだ…!



「ペイントフォール!」


「ぎゃああああああああぁぁ………。」



 …。



 あの人、動かなくなっちゃった。



「死んでないよね?」


「意識を失っただけだろう。すぐに目覚める。起きてきて面倒ごとが起こる前にさっさと帰ろう。」


「あ、うん。」



「これが…神の力…!ああ!神よ!私にもその力を浴びせてください!」


「いやラテリちゃん!?これ攻撃魔法だからね!?」


「それでも構いません!!神に与えられし痛みを感じたいのです!!」


「お、お姉ちゃん!神様が困ってるから落ち着いて!?」



 ヴァイス…。ここにも狂信者が居たよ!?




 うーん…。主人公を強くするはずだったんですが…。




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