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第13記

「おまえ…ヴァンパイアか!?なんで歳取ってねぇんだよ!?ずるいだろ!」


「…相変わらずのようだな、シュネス。」


 私たちは今、例の魔道具職人の家の戸を叩いたところ。中から出てきたシュネスと呼ばれたおじいさんは細身の体でほとんど白い灰色の髪にバンダナを巻いている。場所はすぐに分かったけど結構町から離れている。…生活大変そう。



「大体ハーレムとか…くっそ!羨ましすぎるわっ!」


「ハーレムではない。こいつを中心に集まったメンバーだ。」


 ヴァイスが私の頭に手を置く。はぅ、こうやって頭に手を置いてもらうのっていつ振りだろう。


「中心なんざ関係ねぇだろ。俺にも一人分けてくれよ…。」


「いやぁ…さすがにおじいさん相手はねぇ…。」


 と言いながらもサキュちゃんが顔を近づけて人差し指でくいっとおじいさんの顎を上げる。背はおじいさんとほとんど変わらないけれど自分の顎も引くことで上目遣いの立ち位置になっている。さ、さすがサキュちゃん。


「が、がまんできねぇー!!」


 おじいさんが勢い良く抱きつこうとしてサキュちゃんがすっと横にずれて躱す。そのまま背後を取ったサキュちゃんが背中を軽く蹴っておじいさんを転ばす。


「おじいさん、こういうのはお好きかな〜?」


 倒れたおじいさんの背中を足でぐりぐりするサキュちゃん。痛そう…。


「ああ!こんな幸せがあったのか!?」



 え?



「変な光景を見せるな。」


 ヴァイスがおじいさんの首根っこを掴んで家の中に入っていく。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「あー、こほん。久しぶりに旧友に会ったもんだから興奮しちまったぜ。それで、何の用だ?」


「魔道具の製作を頼みたい。光水晶を使って特定の人物にだけ加護がいくように制御したいんだ。」


 2人とも急に真面目な表情で話し出した。



「はあ…。前に作ってやった魔道具はどうなったんだ?」


「噂にでも聞いていないのか?」


「あいにく世間には興味がねぇんでな。それにユラはどうした?いつも一緒だっただろう?」


 ユラ?誰だろう?


「…あまり話したくはないんだが。」


「別にそれならそれで構わねぇよ。こんな老いぼれになっちまったら楽しい話だけで十分だ。」


「悪いな。また機会があったら話そう。」


「そん時は笑い話で頼むぜ。」



 あれ、おじいさんが奥の部屋に行っちゃった…。



「えっと…?結局どうなったの?ヴァイス。」


「作ってくれるのだろう。…どれくらい待てばいいのか教えて欲しかったな。」


 え、あれで?



 …さっきの話、聞いたらダメ、だよね。はぁ、すごく気になる!




「ほらよ。」


「ずいぶん早いな。」


 まだ数分しか経ってないんだけど…。



「ありあわせで作ったんだ。魔力の流し方は分かるか?」


「ああ、大丈夫だ。助かった。」


「相変わらず化物じみた理解力だな。なんで仕組み分かるんだよ…。」


「ある程度パターンが決まっているだろう。」


「そりゃそうだが。…それで。もう行っちまうのか?」


「用事は済んだからな。時間に余裕はあるからすぐに出ていく必要はないが。」


「まぁこっちも別に用はねぇけどよ…。話し相手もいねぇんだ。寂しいもんだぜ。」


「街中に越せばいいだろう。」


「中央の連中がうるせえんだよ。俺は好きな時に好きなものを作りてぇんだ。」


「それでも俺の頼みは聞いてくれるのだな。」


「なんとなくだよ、なんとなく。おまえはいつも面白いことをやってくれてたからな。また面白いことに使ってくれるんだろ?」


「そのくせして作った魔道具のその後を知らないのか。まったく、笑える話だな。」



 ヴァイスが誰かとこんな風に笑ってるの、初めて見るなぁ…。



「おまえが教えてくれねぇからだろ。今回のはずいぶんスケールがちいせぇみたいだが何に使うんだ?」


「そうだな…。こいつを守るための護衛を強化するため、といったところか。」



 あ、また頭に手を置いて…今度は撫でてくれた!



「ほぅほぅ。そういえばユラも狙われてたな。同じ立ち位置なのか?そいつは。」


「同じと言えば同じだが…。」


「あー待て。言わんでも違うところは分かる。それより、えーと確かダンジョンの主、とかなんだったか?」



 っ!?なんで知ってるの!?



「…よく覚えてるな。」


「覚えてちゃまずかったか?そういえば…ユラがうちのダンジョンに遊びに来てよって行ってたのを今思い出したぜ!もうユラはいねぇみたいだが遊びに行きてぇな〜?」


「ガキか、おまえは。」


「ちっ、なんだよケチくせえなぁ。自由の身になったから遊びに行ってやろうと思ったのによ。」


「…俺に言われても困る。おまえが言ったとおりダンジョンの主はこいつだ。」


 ヴァイスが私を見る。えっと、どうしたら…?



「えーっと…?」


「いいんじゃない?マスター。魔道具作ってもらい放題だよ?」


「さすがピンクのお嬢ちゃん!…って居つくことになってんじゃねぇか!?別に構わねぇけど。」


「構わないの!?」


「だって主さんよ。俺だって別に好きでここに住んでるわけじゃねぇんだぜ?単にうるさい連中から逃げてきただけなんだからな。」


「…いつでも魔道具を作ってもらえるのは便利だな。」


「おいおい人を便利道具扱いするなよな、ヴァンパイア?こういうのはギブアンドテイクだぜ。」


「あたしがいじめてあげるよっ!」


「契約成立だ!」


「…俺たちの居ないところでそういう話はしてくれ。」



 ごめん…話に付いていけないよ…。



「で、結局俺はどうすりゃいいんだ?」


 …みんなが私を見る。


 居てくれたら便利、なんだっけ?



「一家に一台ほしいから買います?」


「お嬢ちゃんもモノ扱いするのかよ!?」




 フリーダム。はっちゃけた感が酷いです。流れにのって書いていたら予定にないおじいさんが出てきちゃいました。


(2016/10/07編集)脱字を修正しました。




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