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第1記

 いつものように、小学校から帰って、公園で友達とおしゃべりをしていた。そしたら、ふと眠くなって…。



 目が覚める…と言っても何も見えなかったけど。ただ意識だけが目覚めて。



『君には世界の力を集めてもらう。具体的には…そうだな。君の居た世界で言うところのダンジョン、のようなものを運営してもらおう。』


 …世界の力?ダンジョン?


 私、どうなっちゃうの?



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



 次に目が覚めた時には、私は暗い石造りの部屋で倒れていた。


 …ここはどこだろう。


 私のすぐ横の床には豪華そうな絨毯が敷かれ、入り口のようなところからずっと伸びている。…その入り口は物凄く遠くに、ぽつんと見えた。



 そして、その反対側に目を向けると、そこには玉座のようなものがありーーー人が座っていた。



 背後に大きな窓があり、そこから入る曇り空からの光で、その人の姿は陰になってよく見えなかった。


「ようこそ、新しい主よ。」


 その人が立ち上がり、私に向かってそう言った。


「新しい主…?」


 …主ってなに?私は…。


「…やはり一から説明する必要があるか。」


 教えてくれるの?…それにしても、ちょっとかっこいい声。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「な、なるほど。」


 私はその人にーーー吸血鬼らしいのだけど、丁寧に教えてもらった。突然のことすぎて、いまだに頭が真っ白だったりする。



 私は異世界から来た、このダンジョンの新しい主らしい。私からしたら、こっちが異世界なのだけれど…。

 それでダンジョン、というのはこの建物みたいなものを言うみたい。アニメや漫画でちょっとだけ見たことあるかも。

 

 …私はこのダンジョンの新しい主として、ダンジョンの運営をしなくちゃいけないんだって。


 どうしてなの?って聞いたら、神がそう命令したから、だって。私がここで目覚める前に聞いた声はその神の声みたい。

 神の力は絶対で、私たちに逆らえるようなものじゃないんだって。だから、私には言われたとおりにするしかないみたい。



 で、そのダンジョンの運営って何をするのかって言うと、大きく分けて2つあるみたい。


 一つ目は世界の力を集めること。ダンジョンにはよく分からないけど、この世界の力を集める仕組みがあるみたい。


 二つ目はダンジョンを守ること。ダンジョンは人族とかに狙われてるらしくて、モンスターを作ったりして追い払わないといけないみたい。…私も人なのだけど。



 そんなわけで、さっそく私はこのダンジョンの管理ができる部屋に移動して、管理装置?を立ち上げようとしたのだけど…立ち上がらなかった。


「…おまえ、見た目通りに弱いのだな。」


 ???


 なにが?


「…この世界にはステータスというものがある。力ある者を倒すことで成長する能力値なのだが…恐らく、この世界に来たばかりだからレベル1なのだろう。」


 ステータス?


 レベルって…そういえばゲームにそんなものがあったと思う。この世界にはそれがあるのかな?


「仕方がない。このダンジョンは放棄して、新しく一からダンジョンを作るべきだな。」


「え?」


 こんな立派な建物を放棄しちゃうの?


「おまえではこのダンジョンの維持すらままならない。いずれにせよ、人族どもの手に落ちることになるだろう。ならば、このダンジョンコアを持ち出して、別の場所に再びダンジョンを作り直したほうがいい。」


「そう…なんだ。」



 …なんで私なんだろう。力もないみたいなのに。



「…落ち込んでいる暇があったら、さっさと持ち出すぞ。いつ人族どもが攻めてくるか分からないのだからな。」


「う、うん。」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



 静かな森の中。私は吸血鬼に背負われている。



 外はとても恐ろしい場所だった。まるで恐竜のような獣が次々と襲い掛かってきて、その度に吸血鬼が助けてくれた。吸血鬼は手を振りかざすだけで、炎を出したり、稲妻を出したり、まるで魔法みたいなものを使っていた。聞いたら本当に魔法だったみたい。


 あのダンジョンから転移陣?とか言うもので外に出た時に振り返ったら、物凄く高い塔だったのが分かった。私たちが居たのはあの最上階だったみたい。



 …外に出てから随分と移動したわけなのだけど、私の走る速度が遅かったみたいで外に出てすぐに背負われることになったの。


 それで近くで見ると、すっっごくかっこいい顔だった。


 だから背負われてる今も、ずっと心臓の鼓動が大きいままだったりする。



「…この辺りで良いか。」



 吸血鬼がそう言うと、私を降ろす。恐ろしい獣とか…吸血鬼の横顔とかに目を奪われていたせいか、どれくらい移動したのか分からない。


 周りを見渡すと、苔があちらこちらに生えて、背の高い白っぽい木が空を隠していた。地面は大きな岩や木の根っこでデコボコしていて、遠くまで見通せなかった。


「えっと…。」


「そのダンジョンコアに力を注げ。」


 注げと言われても…。


 私はあのダンジョンからずっと抱えてきたダンジョンコアに意識を集中させ、そこに力が向かうような感じで念じてみる。


 するとダンジョンコアが輝き、私の頭の中にダンジョンの管理に関する何かが浮かぶ。なんて表現したらいいのかよくわからないのだけど…とにかくダンジョンの管理ができそう。


「どうすればいいの?」


「とりあえず、主の部屋を作れ。さっき居たダンジョンの管理部屋がまさにそれだ。」


 主の部屋…。私が頭の中でごにょごにょすると、急に石造りの部屋が出来た。


「…なんだかすごく疲れたよ。」


「もう魔力切れか。そこら辺で寝ろ。そうすれば回復が早くなる。」


 …そこら辺って、石の床しかないよ。こんな硬いところで寝れるのかなぁ。


 とりあえず、私は石の床に横になる。相当疲れていたのか、あっという間に意識が飛んでしまった。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「んんぅ…。」


 あれ…?ここは…。


 あぁ。そうだ。ダンジョンだ。


「吸血鬼…さん?」


 いない?どこに行ったの?…私、一人になるの?


 なんだか怖くなってきたよ…。


 …この部屋、扉付いていたんだ。あ、外にいるのかも。



 私が外へ飛び出すと、吸血鬼が立っていた。吸血鬼が振り返る。


「目が覚めたか。魔力は回復したか?」


「え?えっと、疲れは取れた…かな?」


 あんな硬いところで寝たのに、体のどこも痛くなっていない。…学校の机で寝たら痛かったんだけどなぁ。


「…頭の中でステータスを見てみろ。ダンジョンの管理と同じ感覚だ。」


 同じ…ステータス…。


 私が念じると、ステータスらしきものが頭に浮かぶ。


********


レベル:1

MP:500 / 500


********


 文字とかじゃなく、理解したという感じで。なんて言えばいいかよくわからない。


「回復してる…みたい。」


「そうか。なら、まずはあの主の部屋と外をつなぐ転移陣を設置しろ。」


 そう言われて、私は主の部屋へ戻る。…ダンジョンコアは主の部屋の中央に浮かんだままだから。


 ダンジョンコアに力を注ぎ、転移陣を設置する。…主の部屋と外、っと。


「設置できたようだな。」


 床に転移陣がうっすらと輝いているのが見えた。…そこで私の意識は途切れた。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



「ぅん…。」


 ゆっくりと目を開ける。石造りの部屋。


 私は眠い目をこすりながら、外へ出る。吸血鬼を求めて。



「…早くレベルを上げたいものだな。」


 私に気づいた吸血鬼が声を掛けてくる。


 この吸血鬼はなんでいつも外に居るんだろう。…側に居てくれたらいいのに。


「魔力は回復しているな?」


「えっと…うん。」


 私はステータスを確認して答える。


「なら、次は主の部屋を地下へ移動させろ。…その部屋を守り続けるのも面倒だからな。」


 守る?…ああ。そっか。そうだよね。外には恐ろしい獣が居るんだ。誰かが守らないと、こんな小さな建物、壊されちゃうよね…。


 私は主の部屋へ移動すると、ダンジョンコアに力を注ぎ、主の部屋を地下へと移す。



 …移ったのかな?



「移せたようだな。」


 吸血鬼が転移陣から現れた。


「…その転移陣から外の獣は入ってこないの?」


「この転移陣が使えるのは、ダンジョンの主であるおまえと、その眷属だけだ。」


「そうなんだ。…私が寝てる間、ずっと守ってくれてありがとね?」


 私が少し照れながらお礼を言うと、吸血鬼も照れたように顔を逸らしていた。



 脈あり…って思ってもいいのかな。いやいやいや!まだ出会って数日?だもん。それにお礼を言われ慣れてないだけかもしれないし!



 …そもそも私みたいな子供にそんな気持ち、持たないよね。私、まだ10歳だもん…。




 ダンジョンマスターのお話です。個人的に好きなジャンルなのですが、意外と作品数が少ないようで自分で書き始めてみました。

 ジャンルから入ったので中身は空っぽです。話が思いつけばいいのですが…。

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