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オソロシ沼のおそろし様第七話
村長の勤治郎の所まで優はやって来た。
そして、竹筒を差し出し
『村長…この水は、オソロシ沼の裏から湧き出るらしい。
これで…隣村から水を買わなくて良い。』
村長の勤治郎は、少し困った顔をして
『優…彼処に水の手があるのは皆が知っておる。
じゃが?どうやって汲みにいく。
行って、おそろし様に出会いでもしたら…
石になるのだぞ。
優…お前が村の為を思い急ぎ駆け付けてくれたのは嬉しい。
じゃがのう…
オソロシ沼の裏手では…
どうにもならん…』
『ならば…オレが運ぶ…』
『バカな事を言うんじゃない!
幼いお前が重い水を運ぶなど、そんな事はさせられん。』
『なら…おそろし様に頼めば良い。』
『バッ…バカな…おそろし様は神様じゃぞ…
神様にそんな事はさせられん。』
『いんや…おそろし様に頼み事をするのが…
オレの仕事だ、今からオソロシ沼へ行ってくる。』
と、踵を返しオソロシ沼のある裏山に登って行った。
村長の勤治郎は
『なんと…気の強い子供じゃ』と呟いた。