第6話 大和司は、発見する。
日が変わったということで、1話投下しておきます。
「落ちているものはなんでも拾え。」
それは、誰の名言だったか。
よくわからないが、きっと偉い人が言ったに違いない。
思わずいい拾得物(主にトカゲ)を手に入れたおれは意気揚々と
歩みを進めて、とうとう山脈の反対側へとたどり着いた。
爆発によりむき出しになった地面もここで終わっているが、
振り返ってみると、改めて自分のした所業に反省を・・・
「つい、かっとなってやった。」
茶化してみても無理だ・・・本当に反省していた。
落ち着いてあたりを見てみると、
山に近いからであろうか、緑は決して多くはないが、
あたりにはちらほらと草木を見て取ることができる。
もう5~6時間ほども草も木も生えていないところを歩いていたので、
自然の大事さを改めて感じることができた。
うん、すべて自分のせいなんだが・・・
少し丘を下がったところに、この世界で初めて見る人工物。
道が見えた。
あまり心配はしていなかったが、これで、
自分以外にも人間がいることがわかって、少し気持ちが落ち着いたきがする。
道は山脈と平行に走るものと、分岐して丘の下の方へと続いていく道が見える。
イシュアちゃん情報によると、まっすぐ、つまり、この丘の下へと進んでいけばいいということになる。
太陽は、すでにかなり傾いてきているが、街はまだ見つけることができない。
そこまで慌ててはいないが、今日は野宿になるかもしれないと思った。
まあ、少なくともこの地域は、穏やかな気候だし、
凍え死んだりすることもないだろう。
キャンプも数回はしたことがあるし、野宿に自信がないわけでもない。
「異世界で夜空を見ながら寝るのも、乙ってもんだよね~」
軽口を叩くと、おれは丘を下っていくことにした。
ずっと歩いてきてはいるが、いまだに生き物にはトカゲちゃんしかあっていない。
が、おれはさっきから道沿いに続いている、大きな足跡が気になっていた。
考古学だのなんだの、一般人らしく当然わからないが、
知識とかそんなものなしに、なんとなく、
その足跡は恐竜(もしくは似た者)のものであることが容易に分かった。
うーん、会いたくない・・・が、ほかに道もわからないので
その足跡を追いかけるように、ずっと道をたどっていった。
山を大分下りてきたので、緑も増えて、木々も増えてきて、
周りは軽い林となってきていた。
その林の中でも、ところどころに倒れたり、折れたりしている木があるのが、
爆発の影響がここまで及んでいることをおれに知らせる。
・・・本当にすみませんorz
気を取り直して、道の周りの気を見ながら歩いていると
それらの木は、木は木でも、やたらと大きな葉をつけているなど、
微妙にこれまでに見たことがある木とは違う気がして、
異世界であることを、改めて感じされられる。
なんていいつつ、実際に見てきたものに目をつぶってきたが、どうやらもう無視はできないようだ。
さっきから、あたりの木々や地面に、血が飛び散ったあとちらほらと目に入る。
「確実に死んでるな、これ・・・」
その血の量をみると、確実に致死量というか、人ひとりが流す量ではないことが、素人のおれでもわかる。
初めてみる、死の気配に吐き気でも覚えそうなものだったが、
異世界にきて耐性があがったのだろうか、以外に嫌悪感はなく、
冷静にそのものを見ることができていた。
そのまま道をさらに進んでいくと、人の破片だけではなく、
馬と思われる生き物の残骸もところどころに残されていた。
明らかに、ある程度の数の商団などが何か大型の生き物に襲われた後だということがわかる。
死体に残された血はほとんど乾いてはいるが、その色などから、
この死体がそんなに前にできたものではないことが、容易にわかった。
こんな場面では普段は逃げるものなんだと思うが、
どうも逃げようという思いはまったくわかなかった。
Lv99ということもあってか、自分は襲われても大丈夫なのではないかという思いと、
封印しようとは思っているが、本当の本当のピンチには、
また、山を吹き飛ばすことも可能であるからだ。
誰かが生きていればいいのだが・・・
おれは、背中から、剣を抜き取ると右手に持ったまま、
さらに道を奥へ奥へと進んでいった。
そのとき、これまでは多くのものと一致していて特に気づいてなかったが、
道に残されている轍のうち、一つが道を離れて林の方へと続いているものが目に入った。
草原がその轍にそって倒されており、その倒れ方から、最近のものだとわかる。
そして、恐竜の足跡もそちらを追いかけていた。
林を抜けた先には、原っぱが広がっており、その中に馬車を見つけることができた。
「第一村人発見~~~~~!!」
といったような、感慨はわかなかった。
まだ遠目ではあるが、馬車が横転していて大破しているのが見えたからだ。
そして、なんだろう、馬車から遠く離れていないところに、檻だろうか。
金属の箱が見えている。
生存者がまだいるかもしれない、その一縷の望みを確認するために
おれは、馬車の方へと歩き出した。
やっと人の気配を見つけましたが、その前にほかのものにも会いそうです。
毎日投稿できる人はすごいですね~。
次話は、明日の夕方から夜くらいを予定です。