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第56話 大和司と主なしの迷宮 その5

ちょっと時間が空いてしまいましたが更新します。

「はー、そりゃ愛されてるねぇ」

「からかわないでくださいよ」

「いやいや、冗談ではないよ。私も女だよーくわかる」


そう言ってアンさんは笑う。リエルはおれを大事に思ってくれているだろう、それはわかる。でも、あのかすり傷にあの反応というのはちょっと普通ではなかった。今度リエルに……


「それでだ、ツカサ。要はツカサが傷つかなければ問題ないんだろう?いいものがあるよ……」


「今回の探索中に迷宮で拾ったんだけどねぇ、うちじゃ、タンク職もあたししかいないし、これがあるから使わないんだよ」


そう言って、自分の露出度の高いアーマーをコンっと叩く。


「それに、このデザインじゃね」

「……」

「でも、エミル?が鑑定をしたんだけど、結構なものなのは保証するよ」

「でも、これって……」


 さっきから会話をしつつも、2人の目は目の前に置かれたものから離れることはなかった。おれの目の前には黒塗りの鎧、全身鎧が置かれていた。

 おれはまだお目にかかったことはないが、これは迷宮の宝箱産の装備らしい。


「ほら、見ようによっては格好良くないか?」

「そうですね、あえていうと……強そうではありますね……でもこれ……呪われてませんか……?」


 その鎧は黒かった。ただの黒ではなく、漆黒、そのデザインは、なんだろう暗黒騎士とでもいうのだろうかトゲトゲしい装飾がされていて触れるだけでだれかを傷つけそうだ……


「般若?」

「はん……なんだって?」

「いや、鬼のようなもので、このマスク……」

「ああ、見方によっては凛々しいんじゃないか?」

「この赤いのは……血ですか?」

「おお、きれいにしたと思ったんだがな?」

「いやいや、見つけた時にちょっとな……」

「だから呪われてません……これ?」

「鑑定でも問題ないと言われてるし、あたしもマスクはつけたが、問題なかったぞ!」


(ほんとに大丈夫かよ……)


「まあ、ものは試しだ、ほら着た着た」


 何だか、少し不安ではあるが、アンさんに手伝ってもらいながら鎧を装着していく。


「何だよこの所々に生えてる角とか……ダークサイドに目覚めそうだな……」


 ブツクサと文句をいいながらも、後はマスク付きのヘルムを着ければ完成だ。


「これ、迷宮で他のパーティーに会ったら、攻撃されませんかね……」


 ゆっくりとヘルムが被せられ、マスクによって遮られていた視線が、きちんと装着したことによって元にもどる。


デレデレデレデレデレデレデレデレデーデン


 頭の中を、どこかで聞いたことのある不吉な音楽が流れた・・・・・・ような気がしただけだった。


 実際に鎧を着てみると、いいものだと、アンさんがいうように、確かにいいものな気がした。

 一般にマジックアイテムと呼ばれる防具には、サイズ調整の機能がついていることがおおい。この鎧も例に漏れず、身体に身につけた瞬間、キュッと締まって身体にフィットした。まるで、バックトゥザフィーチャー2でマーティが履いていた未来の靴みたいだった(古い)。


 金属でできている(と思われる)にもかかわらず、重量はあまり感じず、また、腕や膝などを動かしてみても、ゴテゴテとした装飾と裏腹に関節部の自由度は十分に確保されていて、動きやすかった。


「付け心地はどうだい?」

「いや・・・・・・思ったよりいいですね、これ」

「うん、でもあんまりそのマスクを着けたまま、こっちを向かないでくれるかな。これでも乙女だからさ」

「・・・・・・え?」

「えっ?」


 たしかに見た目には問題があるものの、性能にはベテランの冒険者の太鼓判が押されているし、需要に合致しているし、見た目も自分からはあまり見ることができない。


 その後、アンさんと交渉を行った結果、金貨10枚を支払い、レンタルをさせてもらうこととなった。

 

 オークションに出せば、金貨200枚くらいにはなるかという見立てではあるらしいが、購入者を選びすぐには売れないであろうこと、オークションにかけるには王都に向かう必要があるのだが、いろんな理由で王都には行きたくないなど、様々な事情を考慮してこのような決着となった。


「なに、代わりに王都に行ってオークションにかけてもらうか、そのうち買い取ってくれたらいいよ」


 翌日フル装備を着込んで再び迷宮の2階へと潜った。


カンッ・・・・・・カツン


 ゴブリンアーチャーが放った矢が軽い音を立てて鎧に当たり、はじかれて地面に落ちる。ゴブリンアーチャーの弓の攻撃も通らないし、ゴブリンが群がってきても全くダメージを受けない。群がってきたところを一網打尽にする。


「…………」


 なんというか、急にヌルゲーになったような気がするな。


 そんなことを思いながらゴブリン達を蹂躙していく。余り鎧に慣れてしまうと攻撃を食らう癖がついてしまいそうなので、しっかりと矢をかわす練習をする。


 二層をあっという間に抜けて、ゴブリンシーフが追加された三層もすんなりと終えることができた。レベルも12まで上がって目標のレベル15も見えてきた。

 これだけゴブリンと戦っていると、迷宮にも慣れ、ゴブリンの動きの特徴がわかってきていた。


ヒュッ


 ゴブリンシーフに留めを差している所に、横から飛んできた矢を身体を少し倒して避ける。

 最後に一匹残ったゴブリンアーチャーの頭に剣を突き立てる。


「なんじゃ、ついてきてやった意味がないではないか。まあ、でもその鎧は良いな、黒くてよく似合っているぞ主よ」


 そういうのはナーシャだった。おれが怪我をしたことにリエルが危機感を感じたのだろう。ナーシャにも同行をお願いしたようだ。おれの頼みは余り聞かないが、リエルの頼みごとはナーシャもわりと聞くようだった。タイプの違う二人だがどうやらうまくやっているらしく、その点は好ましかった。


……


 それからも、鎧の力でごり押し感は否めなかったが、迷宮の探索は順調で俺たちは四階もすぐに通り抜け五階の探索もいま終えようとしていた。

 四階では、ゴブリンファイターが追加され、五階ではゴブリンメイジが追加されていたが、魔法を多少使えようといまのおれの障害には全くなり得なかった。


 そして、おれたちは今、大きな扉の前に立っていた。迷宮に5層ごとに設けられているボス部屋がこれなんだろう。


なかなか時間がとれず、また、ちょっと時間のなさを理由にいまいちなものを書き上げた感があって、ちょっと停滞してました( = =)

とはいえ、秀作なのでまずは、なんとか書き上げるところまではいきたいと思います。

迷宮編(?)もそろそろ

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