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第55話 大和司と主なしの迷宮 その4

「ツカサさま、傷を見せてください」


 おれを無理矢理座らせたリエルが、先ほど矢が当たった患部をのぞき込んでくる。


「いや、かすり傷だから大丈夫」


実際に、かすり傷で全くたいしたことがないので、リエルを安心させようとするのだが、有無を言わせぬリエルの態度におとなしく幹部を見せる。


「血が……」

「リエル?」


 リエルは、自分のポーチを開けると。


「これを飲んでください」


 俺の口に、ガラスの瓶を突っ込む。


「苦っ、冷たっ」


 また瓶を取り出したかと思うと、脚へと中の液体を振りかける。何かと思ったらポーションだ。かすり傷があっという間に治っていく。

 ポーションの使用方法としては、患部に直接かけること、また、火傷など広範囲に及ぶ傷などについては飲んでも効果を発揮する。冒険者にとっては、低級のポーションでも決して安い物ではないため、緊急時のために所持しておくことが一般的である。


「私が身体を張ってでも止めるべきでした」


 リエルが思いつめたような表情でいう。


 正直、これくらいの怪我なんて全く大したことないし、装備や身体能力の高さもあって、ゴブリンの攻撃であれば、おれの肌に傷はつけることはできても、大きなダメージを与えられることはないだろう。


「リエル、これくらい全く大丈夫だから」


 そういって、その後も、脚に包帯を巻いているリエルを、なんとか落ち着かせようとしていた。度重なる説得により、リエルもようやく納得してくれたようで、おれたちは迷宮の探索を再開した。


 納得してくれたんだよな……


 なぜだか、探索を再開したおれたちだったのだが、リエルの距離がやけに近かった……おれの左手を抱え込んで両手でギュッとホールドする。左手につつましやかであるが、柔らかな感触が伝わってくる。


「あの、リエルさん」

「ツカサさまのことは、私が守ります」


 リエルがいうには、風の精霊の力で飛び道具の攻撃を寄せ付けないようにすることができるらしい。しかしながら、その範囲は限定的で、術者に接近していないとその恩恵は得ることができないらしい。

 

 さすが、精霊魔法ということか、効果は絶大だった。ゴブリンアーチャーが放つた矢は、目の前で方向を逸らし、二度とこちらに届くようなことはなかった。


 

 こうかは ばつぐんだ!


 ……

 …………いや、たしかに、効果は認めるんだけれども、リエルが片手にぶら下がるようにしているわけで、普通に戦いにくかった。


 リエルは、華奢なのですごい軽く、力も増しているので振り回すことも可能ではあるが、女の子を振り回すわけにもいかない。


「んっ……」


「あっ……」


 そして、リエルが、時々出す色っぽい声も効果覿面におれの集中力をそぐのだった。リエルの肌がほのかに上気して赤くなってきている……うん、だめだ、これは早めに切り上げよう。


 アーチャーは、普通のゴブリンより経験値が多いのか、レベルが上がったところで今日の探索は切り上げることにした。何か弓に対する対策を考えないといけないだろう。

 

 迷宮周りのキャンプにある数少ない露天を見て回ってみる。中には盾なども売っているところがあったが、どうにも迷宮ぼったくり価格で踏ん切りがつかない。

 そうだ、考えてみると、アンさんは戦士だったな、なにか有効な対策を知っているかもしれない、あとで相談をしてみよう。


 とりあえず、今日の(夜の)仕事を終わらせてからか……最近は、毎日リエルとナーシャにご飯を作る他に夜遅くに帰ってくるアンさん達に料理をごちそうするのがおれの仕事になっていた。まあ、報酬として、おれもごちそうになっているわけであるが。

 今日のごちそうは、魔法使いのエルさんだった。


「……よろし……くおねがしいします……」


 エルさんは、フードのせいでわからなかったが、とてもよいものをお持ちだった。反応がなんというか、高級魚であったのはすこし残念であったが……



なんだかんだ用事がいろいろとあり、執筆が進みません(汗


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