第52話 大和司と主なしの迷宮 その1
久しぶりにランキングに載りました!
ジャンル別ファンタジー異世界転生/転移ランキング63位
総合173位
すぐ落ちそうですが、とりあえず載っている間は更新頑張ってみようと思います!
朝だ、新しい朝がきた。昨日は夜遅くまで飲み過ぎたせいで身体はダルいし、眠いが、気分は不思議とすっきりだった、主に下半身的にではあったが。
「おはようございます、ツカサさま。昨日はすみませんでした」
「いやいや、大人で飲んでただけだから」
「ふぁぁ、朝か、で、大人で何を飲んでいたじゃと?」
そういって、ナーシャが意味深に笑う。こいつわかってやがるな……動物(?)の勘ってやつか……いや、おれが飲んだのはワインだけだ、おれが飲んだのはな……何にせよ、あとでナーシャの懐柔が必要だろう。
閑話休題
食事も終えて、準備を整えたおれたちは、とうとう迷宮の入り口へとやってきていた。まさかゲームでみたようなダンジョンに本当に入ることになるとは……
迷宮については、昨日アンさん達から散々聞き出したので少なくとも低層階で何かがおきるとは思ってはいないのだが、やはり少し緊張する。
後ろを見ると、リエルがいつもの表情で、ナーシャがいつも以上に面倒くさそうな表情でついてきている。仮に迷宮のモンスターをTears of Dragonで倒しても、魔力の性質が違うとかでナーシャ的に迷宮は全くおいしくないらしいが、ナーシャが離れてしまうと感覚共有が使えなくなってしまうので慣れるまではついてきてもらうようにお願いしたのだ。
つばを少し飲み込んで、迷宮にはいると、中は思った以上に明るかった。聞いた話によると、ほとんどの迷宮では壁や天井が発光しており、明かりを用意しておく必要はないらしい。正直、なんだか色々拍子抜けではあるが、少しの違和感を感じる。ランダムに宝箱が生まれマジックアイテムが手に入ったりするらしいが、あまりに冒険者にとって都合がよすぎて、まるで冒険者が入りやすいように、集まりやすいように迷宮が作られているように感じる。
「考えてもしかたないか……」
迷宮に入った最初の部屋は、5m四方くらいの小部屋になっており、その真ん中に、何かの文字が書かれた石碑のようなものが置かれている。この部屋にモンスターが沸くことはない、また入ってくることもないらしい。こういった小部屋は(迷宮にもよるが)一定階層ごとに設けられ、条件を満たすと、指定の階層にここからワープすることができるそうだ。ちなみに1階の小部屋は行きかう冒険者で混雑することがありうるので、非常事態を除きこの部屋ではキャンプや休憩をしないことが冒険者間での暗黙の了解であるらしい。(なお、迷宮の途中にある小部屋はその限りではなく、冒険者にとって安全地帯として有効活用されているらしい)
にしても、部屋の中央に文字の書いた石碑とか……なにかを思い出すな……
おれは思わず、左手にメモを持つと、石碑に書いてある文字を右手の人差し指でなぞって言う。
「読める、読めるぞー!!」
一度やってみたかったんだよな、これ。
「え、本当ですかツカサさま!?」
あ、やばいリエルがめっちゃ食いついた……
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なんとかリエルにおれの故郷のおまじないみたいなものだと納得してもらい、気を取り直して先へと進む。
小部屋の奥にある、階段をすすんでいくとこれまた、同じような小部屋がおれたちを出迎える。小部屋は、今入ってきた入り口を含めて、4方向に似たような出入り口が設けられている。出入り口の先には、また似たような部屋が広がっているのがわかる。
「まるでヒッチコックだな」
そんな感想が口をついてでる。
足元の石畳も、きっちりとした正方形のパネルで構成されていて、この迷宮の主は、ものすごい神経質な奴か、適当な奴なんだろう。
「どうしますか?ツカサさま」
3つある選択肢をみて、リエルが問いかけてくる。実のところ手持ちのマップには、アンさんから聞いた、2階層への階段へのお勧めルートも書かれている。ふ、だがな、リエルよ……男はダンジョンのマップを全制覇するものだ!!
ということで、安易に左の出入り口へと進んでいく。いわゆる左手の法則ってやつだな。
となりの部屋へと入ろうとすると、迷宮に入って始めてのモンスターが待ち構えていた。緑色の肌に、小さな体にとがった耳と牙、そして醜悪な顔、絵に描いたようなゴブリンがそこにいた。ゴブリンたちは、いまおれの目に映っているのだが、不思議なことに感覚共有を使っても、気配としては感知できなかった。
おれは、新調した霊銀製のバスタードソードを引き抜くと隣の部屋へと一歩足を踏み入れる。
すると、今までは一切こちらに興味を示していなかった、ゴブリンたちが急にこちらに気づいたように向かってくる。
3匹か、同時にこられるとちょっとまずいな……おれは剣を握り締める手に力をこめて、3匹を待ち構える。
ヒュッ
そんな音が空気を切り裂くと、先頭を走っていたゴブリンの喉に矢が突き刺さった。仲間がやられたのを見たのか、ゴブリンたちは左右に分かれてこちらへと向かってくる。左右どちらを優先するべきか……まだなれない迷宮での戦闘にどうしても戸惑ってしまう。
すると、突然右側からこちらに向かっていたゴブリンが炎に包まれてあっという間に真っ黒焦げに、後ろから人影が飛び出したと思うと、ゴブリンが持っていた粗末な武器を振り下ろすまもなく、喉首を短刀で切り裂さかれた。
その間は、本当に一瞬で、おれは、構えた剣をピクリとも動かせなかった。
「大丈夫ですか、ツカサさま」
ボールでも取ってきた犬のようにリエルがおれのもとに戻ってきていう。
大丈夫もなにも、うちの子いつのまにこんなに強くなってるんですか……?
「別にあれを倒してしまっても、かまわない……のですよね?」
あっけにとられて動きを止めてしまったおれに対して、リエルがどこかで聞いたことのあるようなことをいう。
ということで本日の分です。(予約投稿)
今日明日で数日分かければいいな……