第51話 大和司とアン先輩
いいペースで更新できてます。
女戦士のパーティとなんちゃって肉じゃがを食べながらかまどを囲む。リエルはおれの決定には従うし、ナーシャは、自分の分の食事が確保できれば興味がないようで、がっついて食べる姿を、女戦士のパーティメンバーに少し迷惑そうにかわいがられていた。なお、女戦士もナーシャの姿を目で追っているようで、うちのナーシャはかわいい!と誇らしく思うのと、やはり女の子なんだななどと思っていた。
そんな、おれの視線に気づいたのか、女戦士がこちらを向いて、少し照れを隠すように話しかけてくる。
「これ、なんだか食べたことのない味付けだけど、うまいねー。あんた料理人にもなれるんじゃないか?」
「地元の味付けなんで、珍しいだけで、料理の腕はたいしたもんじゃないよ」
「本当においしいです、これ。私たち、もう迷宮に入って長いので、暖かい料理が食べれてなくて……」
「こんだけ、女が集まっているんだが、だれも料理できないんだ、はっはっは」
そう豪快に女戦士が笑う。そういや、名前を聞いてなかったな。
「そういえば、名前は?」
「悪い悪い、名乗ってなかったね。あたしはアン、こっちはクレリックのララ、魔法使いのエルと、シーフのユミルだよ。こう見えてもC級のパーティさ」
「C級……みんな若そうなのにすごいな……おれはツカサだ。よろしくな先輩」
おれたちは、まだE級だが、C級って、アステリアの街にもそうそういなかったんじゃないだろうか。なんにせよ、おれたちがC級になれるのもずいぶん先だ。
「よしてくれよ、たまたま、仲間に恵まれただけさ」
確かに、戦士、クレリック、魔法使い、シーフとかなりバランスのとれたパーティである、特にクレリックや魔法使いなんてどこのパーティでも引っ張りだこだろう。
さらによく聞くと、4人は古くからの幼なじみみたいなものらしく、アンさんは中級貴族の出だったようだが、この正確だから家を抜け出して冒険者をやっているとのこと。他の3人は、使用人の娘だったようだが、身分を気にしないアンさんとは、みんな中の良い友人だということ。
「あんたのパーティは……なんだ、そっちの女の子がパーティなのかはわからないけど、そのお嬢ちゃんは、かなり出来そうじゃないか……うちのパーティにも欲しいくらいだ。どうだお嬢ちゃん、うちは女性限定だから気兼ねもいらないぞ、どうだい?」
「リエルです。リエルはツカサ様のものですので」
”ツカサさまのもの”という表現に、アンさんが少し驚いて、面白そうに顔をゆがめる。
「ちょっと、アンさん、勧誘はやめてくださいよ」
こんどはこちらがごまかす番だった。
「はっは、悪い悪い。それにしても、ツカサ様のものねぇ、もう手は出したのかい?」
ブハッ
「出してないですよ!!」
「……じな……」
「ほら、おかわりいりますか?アンさん」
「お、もらえるかい、悪いねー」
ふう、なんとか食べ物で釣ることができたか……
「ん?リエル何かいった?」
「いえ」
気のせいだったか。
「さて、あん……ツカサ君か、おいしいものも食べさせてもらったし、何か先輩に聞きたいことはあるかい?なんでも聞いてくれ、ギブアンドテイクって奴だね」
そう言って、アンさんは、大きな胸を自分で叩く。
「では、アン先輩、さっきメンバーの人が、迷宮に入って長いって言ってましたが?」
「ああ、私たちは、商館と個別で契約を結んでてね、ここで魔石を掘ってるってわけ。もちろん一応言っとくと、モンスターを狩っているわけね」
「へえ、儲かりますか?」
「それは営業秘密って奴だな」
「なるほど、おれたちは、本当に迷宮初めてなんですが、基本的なことから聞いていいですか?」
「ああ、いいよっと、おーい、ユミル、アレとってきて」
ユミルさんはそれだけでわかったようで、うなずくとどこかに向かって歩いて行った。
「アレって?」
「まあまあ、すぐにわかるよ、で質問はなんだったかな?」
「うーん、じゃあ、ダンジョンの中ってどうなってるです?」
「こりゃー、またほんとに基礎的な質問だな」
「すいません」
「いやいや」
「アン」
ユミルさんがもう戻ってきたようで、手には……ワインを持っていた。それも、いわゆる通常サイズのものではなく、マグナムボトルというのだったか、たまに店頭で見かけるような大きなサイズのワインボトルだった。
「ま、これも何かの縁、じっくり話そうじゃないか」
ユミルさんが、ワインを持ってきたのを見たのか、他のメンバーも傍へと集まってきた。さすが冒険者、みんなお酒が大好きなんだろう。
その後、ワインを飲みながら、ダンジョンの基本的な話から、各層の特徴、出るモンスターなどを教えてくれ、冒険者ギルド発行の地図に、追加情報なども書いてくれた。アンさん達は、今は20階層あたりで狩りを行っているらしく、この迷宮については非常に詳しかった。貴重な情報に、こちらも、自分で楽しむようにアイテムボックスに入れていた、ワインを提供して、楽しい時間は夜遅くまで続いていた。
アンさんの押しもあって、ナーシャもリエルもワインを飲まされ、もうすでに眠っており、かまどの前に残っているのはアンさんのパーティと、おれだけになっていた。
おれが、二人をテントの中に運んだあと、かまどまで戻ってくると、急にアンさんに手を捕まれ、アンさんが身体を寄せてくる。
「なあ、二人も寝たようだしどうだい?護衛は3人に任せておけばいいからさ」
必要以上に密着したアンさんからは、女性特有の甘い香りが漂ってくる。意表は突かれたが、願ってもないお誘いでもある。申し出を受けて、うなずくと。
「よし、決まりだ!こんなところにずっといると、なかなかいい男とも出会えないからよ」
「こんなところで、いい女に出会えるとは、こっちも思ってませんでしたけどね」
「うれしいことを言ってくれるね」
その後、アンさんたちパーティの大きなテント(中には簡易なベッドも設けられていた)へ連れられて行き、アンさんの引き締まった身体を抱いたが、さすが戦士とでもいうか、何がとは詳しくは言わないが、思った以上にすごかった。
事が終わって、自分のテントに戻ってくると、アンさんが
「みんなもたまってるから、明日からもよろしくな」
そういって、おれの肩を叩くと、他のみんなもこっちを見て笑う……
参ったな、正直うれしいけど、明日から身体が持つのだろうか、ちょっと心配である。
時間があるときと無いときの格差が激しいです。やる気だけではどうしようもない……
ということで、本日一応2回目の更新です。
ジャンル変更にともないいろんなルールがついてますね。異世界ものを分けたい気持ちはわかりますが、母数が多いからランクを300位くらいまで表示できるようにしてくれた方がうれしいなぁ……
ということに、タグに異世界転移を追加しました。
まめに更新して、皆様の目にはいるようにしないといけませんね、評価、お気に入り、感想を頂いた方ありがとうございます!
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