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第50話 大和司と迷宮の始まり その3

タイトル付けが若干適当に……

 さて、なぜ、アステリアから徒歩二日にある迷宮が、『主なしの迷宮』と呼ばれているかというと、その名のとおりで、一般にダンジョンマスターといわれるボスが存在しない迷宮であるからだ。

 一般に迷宮は、階層式になっているのだが、最下層にはボスがおり、迷宮を攻略し、最下層のボスを倒すと、その迷宮は死に向かうのが常識であった。しかし、この『主なしの迷宮』は、すでに30階層まで攻略されているにもかかわらず、ボスが発見されておらず、よって迷宮も生き続けているとのことであった。

 一度クリアされた、迷宮にはボスを倒して得られるようなアイテムも無く、あまりうまみもないのだが、迷宮にいるモンスターを倒すことによって得られる魔石、また、モンスターもあまり強くはなく経験値稼ぎに役立つとのことで、今でもある程度の人気を維持しているとのことらしい。

 それにしても、この迷宮だけボスがいないなんてことあるのだろうか……


「一般に、運が非常に高い人というのは、モンスターとの接触も避けることができるといいます。ツカサさんが護衛のクエストでモンスターに遭遇しないという現象もきっとこれなんでしょう。(いや違うんだけどね……)ですが、迷宮のモンスターにはそれが当てはまらないと言われてます。きっと、ツカサさんでも十分に経験値を稼げると思いますよ」


 そんなエイミーさんの台詞を思い出す。


「ナーシャ、昨日エイミーさんのいってた、迷宮のモンスターが例外だって話、どういうことかわかる?」

「あれじゃな、迷宮のモンスターは、モンスターではないからの」

「ん???」


 先生、ナーシャが何を言っているのか正直わかりません!!


「ナーシャ、言っている意味がよくわからないんだが?」

「はぁ……ぐぅ」

「まて、寝るなって!」


 どうやらナーシャは何かを知っているらしいのだが、説明するが面倒くさくなったようだった、こいつため息をついて寝ようとしやがった……


「なんじゃ、物わかりがわるいのう、ツカサは」


 さっきの説明でわかった人は天才だって……(ということでここまでで理屈がわかった方は天才ということで……)


「迷宮のモンスターは、いわば迷宮の記憶みたいなものじゃ、迷宮が魔石の力をつかって再生している幻みたいなものじゃな。じゃから、生きているモンスターのように、強い者からは逃げるといったような本能もなく、倒しても魔石が手に入るだけで、肉などはおとさんじゃろ。我もいくつか迷宮ならつぶしたこともあるが、腹の足しにもならんし、我としてはあまり乗り気じゃないのう」


 解説は、ありがたいが、さらっとすごいことを言っていた気がするな……腐ってもブラックドラゴンか……話は終わったとばかり馬車の上で毛布にくるまっている姿からは、まったくその威厳は感じることができないのだが。


 まあ、あとは実際に行ってみてってことか。そう思って、もうすっかり慣れた馬車の旅を続けるのであった。



 目的の『主なしの迷宮』までは、エミリ-さんから、聞いていたとおりに、きっちり2日間で到着した。


 エミリーさんにもらった地図に従って、しばらく続いた平原地域を抜けると、荒れ地が広がっており、その荒れ地の中心を目指して進んでいくと、小高い丘にドーナツ状に囲われている目的の迷宮を見つけることができた。

 なるほど、キャンプとはよく言ったもので、迷宮の入り口だろうと思われる石造りの入り口と、その周りを囲うロッジのような建築物や、冒険者の宿泊先と思われるテントがこれまたトーナッツ状に広がっていた。どことなく休日のキャンプ場を彷彿とさせる。


 さらに迷宮の入り口の方に近づいていくと、あたりで一番大きいロッジに冒険者ギルドと同じ剣と盾のマークが飾られているのが見えた。これが、エミリ-さんの言っていた、冒険者ギルドの支所なんだろう。

 この冒険者ギルドの支所では、例えば、つれてきた馬車を預かってくれる厩舎を管理していたり、迷宮に潜る冒険者の貴重品を預かってくれたり、少々割高であるがポーションなどの薬を冒険者に販売をするなど、迷宮を訪れる冒険者に対して各種の支援を行ってくれるらしい。

 おれたちは、適当なスペースに荷馬車をおいて、キャンプ地を確保すると、厩舎へと行き銀貨5枚を払いまずは1週間、借りている馬を預かってもらうことにした。

 その後、冒険者ギルドの支所に行き、内部の係員に挨拶をし、これから迷宮へ入る登録と探索計画の提出と迷宮への入場料(後ほど半額が返却される)の支払いを行った。この余分に払う入場料は、いわば保険のようなものであり、探索計画を過ぎても戻らない冒険者がいると、迷宮ギルドの支所では、あたりの(時にはアステリアの冒険者ギルド本部から)冒険者を募って救出団を結成して探索を行ってくれるシステムになっているらしい。(探索団も敵が強くて行けないような最深部への探索は除くなどの例外はあるのだが)


 本格的な迷宮の探索は、明日から開始することにして、今日は用意してきたテントの設営を行って、アイテムボックスから用意した、調理セットをつかって料理を作って英気を養うこととした。


 他の冒険者が使ったのであろう、かまどの後をそのあたりの石を拾って補修をすると薪を集めて火をつける。

 アイテムボックスから取り出した寸胴の鍋に軽く油をひいて、薄切りにしてもらった一角牛ひとつのうしの肉を軽く色が変わるまで炒めると、あらかじめ切っておいたタマネギっぽい野菜と皮をむいたジャガイモっぽい芋を放り込むと、井戸から組んできた水、ワイン、砂糖を加えてしばらく煮込む。

 浮いてきたアクをお玉代わりの木製の大きなスプーンですくうと、カンプスの街で仕入れておいた魚醤を適量入れる。なんちゃって肉じゃがが今晩の料理だった。

 料理を作るおれをリエルが真剣な目で見つめている。優秀で可愛く、家事もそつなくこなすリエルであるが、なぜか料理に関しては絶望的に才能が無いようで、本人はやりたがるのだが、身体が資本な冒険者としてはまだ任せることができないんだ……すまないリエル……


 うん、まずまずの出来だな。


料理が完成したので、テントでまた寝ているナーシャをリエルに呼んでくるように指示をすると、これまた用意していた器になんちゃって肉じゃがを移していく。


「あんた、うまそうなものを作っているね」


 旧に後ろの方から声をかけられ、そちらを振り向くと、目の前には、背が高く、またいろんな部分がおっきい(特に胸とか)女性が立っているのが見えた。


なんとか50話のようです。早速話数を間違えていた……

ちょっとこの後、外に出るので、いろんな修正は今晩にでも……


2016/05/27誤記を修正

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