閑話その6 とある密会
今回は会話メインです
司が特に盛り上がりもなく任務を終えてアステリアの街に戻ってきたのと同じくしてある部屋の中で二人の男女が何事かについて語り合っていた。
「それで、お前の見立てはどうだ」
「はい、うまく隠しているようですが、龍の眷属を追い払うほどの力、あれは本物でしょう。」
「龍の眷属か……ブラックドラゴンの姿が消えたのは確認したが、眷属は残っていたか……」
「あれは5位のドランボスですね、少々苦戦していたようですが、両者の力の差は歴然としておりました。私でも、私でも正面からぶつかれば勝てないかと」
「なんと、エマ、お前の手にも余るというのか……にわかには信じられんな」
「ほかにも、最近話題になっている新進気鋭の『ラ・ピエール』ですが」
「『ラ・ピエール』?」
「洋服を扱うお店ですが、平たく言うとランジェリーショップですね、私も愛用させていただいております」
「ら、ランジェリー……」
「冗談です」
「そ、そうか」
「いえ、愛用しているのは本当ですが、その『ラ・ピエール』ですが、どうしましたファルネーゼ様?」
「っ……つづけてくれ」
「で、『ラ・ピエール』で販売している下着なのですが、革新的で美しいだけではない、しっかりと胸にフィットして、着け心地もすばらしく……」「着け心地……」「これまでの下着にはない機能を有しておりまして、こうして寄せてあげると……」「寄せてあげる……」
「はぁ、ファルネーゼ様が、そんなことばっかり考えているから、奥様もでていかれるのですよ」
「アンナは出て行ったんじゃない、静養のために実家に帰っているだけだ」
「そうですか……わが主である、ファルネーゼさまがそうおっしゃるのであれば、そうなんでしょう。そう、ファルネーゼさまのなかでは」
「くっ」
「まじめに聞いていただけないので、要約しますと、これらの技術が突然世の中に現れるのは不自然で、これらの技術が、ツカサさまより店主のピエールに伝わったと考えるのが妥当であると思われます。なお、ツカサさまも、常連で、このお店でよく従者に対してプレゼントを買っているようです。ファルネーゼ様も、奥様に下着のプレゼントの一つや二つくらいしたら戻ってきていただけるんじゃないでしょうか」
「アンナは、療養中だと……「はぁ……」……これさえなければ、非常に優れた部下なのだがな……」
「以上のことを総論しますと、やはりツカサさまは稀人と結論付けて問題ないかと思います。当領地に残っていただくように図ることが必要かと思います」
「稀人、味方につけると、国に富と繁栄をもたらし、敵対すると、破滅をもたらす異なる存在か……エマのいうようにやはり手は打たねばな。それで、マリアローズはどうだ?」
「はい、マリアローズ様ですが……」
短くても、なるべく間隔早く上げれればいいなと最近は思ってます。
5/3ご指摘いただいた誤記を修正しました。