第43話 大和司とカンプスの街
なかなか執筆の時間がとれないので、とりあえず途中で投稿します。
街の周りが壁で包まれているのはアステリアと同じであるが、壁の高さ自体は2mくらいだろうか、アステリアの壁よりはずいぶん低く、その代わりなのか、壁の外側には堀が設けられている。街の中にも水が引かれ、水路網が築かれている。
建物もアステリアと同様に石造りの建物ではあるが、屋根などは木で作られているようで日本人からはより馴染みのある印象を受ける
それよりも印象的なのは、カンプスの街が面している湖だった。なぜ湖とわかるかというと、エマさんに教えてもらったからで、初めて見たら間違いなく海と思うような大きな湖だった。端が見えないところなど、琵琶湖というよりは、昔、訪れたことのあるアメリカの五大湖のような巨大な湖がそこには広がっていた。
「カンプスは、大きくはないけれど見てのとおり水運の街で、このあたりの商売の中心を担っている街よ。これまでは山脈を大回りしないと来ることができなかったけど、大穴のおかげでわずか3日でくることができるようになったわ。うまくカンプスと商売ができるようになったら、アステリアの街は大きく発展することになるわ」
そういって、マリアローズはカンプスの街を睨んでいる。
今回の訪問は、いわば前さばきのための訪問であって、この後にアステリアの領主、つまり、マリアローズの父親のロドリーゴ・ファルネーゼ氏がこの後にカンプスの街を商人と訪れることになっているらしい。
今回の訪問に同行した商人たちは、アステリアの街の中にいくつかある商館から選ばれた代表者であり、それぞれの商館の主力の商品や、自慢の商品などをたくさん積み込んで生きている。この中には、ピエールさんの店の衣服(特に下着)も含まれているらしい。これまでにない下着で、繊細で快適であると非常に好評なため今ではアステリアでは知る人ぞ知るお店になっているらしい。
ちなみに、この世界にも専売権と呼ばれる特許のようなものがあるらしく、ピエールさんはすでにそれを取ったらしい。ピエールさんとおれの間では契約が交わされており、ピエールさんの売り上げの3%を融通してもらえることになっている。
ピエールさんの売り上げが増えると、おれがもらえる金も増えるので、願ったりも叶ったりというわけだ。
多くの荷馬車が行きかう、メインゲートからカンプスの街に入っていく。入口に衛士はいるが、おれたちは素通りである、チェックが緩いのか、きっと事前に連絡がいっているのだろう。おれたちの行き先に集まっている一団の姿を認めておれはそう思った。
マリアローズがエマさんを連れて馬車の外に降りて、カンプスの代表らしき人間と何やら話し合っている。一介の冒険者には話せないような内容なんだろう、どうも蚊帳の外である。
これまでの付き合いでどこか抜けたような感じを受けるマリアローズであるが、毅然とした態度でやり取りをしている姿は、恰好がよかった。
「まあ、いつもの方がいいと思うけどな」
使命を果たそうとする姿は立派だったが、どこか無理をしている様子が伝わってきて、どこか痛々しい。
かなりの時間馬車の中で待たされたあと、ようやくマリアローズたちが馬車に戻ってきた。
「この後、3日カンプスに滞在してアステリアに出発するわ。それまで自由にしていていいけど、問題は起こさないで」
「なんだよ、おれがいつ問題を起こしたって?」
「そうだっけ?」
「ほんとに、お二人は仲がよろしいですよね」
「「よくない(わ)」」
さすがは領主の娘からのクエストということか、マリアローズはおれたちの宿まで確保してくれていた。
「ツカサさま……ここに泊まるんですか……?」
「たしかに、これは高そうだな……」
真っ白な壁の大きな3階建ての洋館。入口の部分は張り出した屋根の部分がテラスになっており、いかにもお金を持っていそうな老夫婦が午後のティータイムを楽しんでいる。
入口には黒服を着た執事然とした人が、行き交う人たちのためにドアを開けている。
地球にいたころも、こんなにいいホテルには来たことがない……思わずとまどうおれとリエルだった……
「何をしてるのじゃ、ツカサよ。さっさとくるのじゃ」
ナーシャ先輩ぱないす……そんなことを思いながら幼女先輩のあとに続いて宿の中へと向かっていく。
時間が欲しいです^^;;