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第39話 大和司と龍の眷属 その1

 キャンプ地までは何事もなくすんなりと到着した。この辺りには何か見覚えがあるような気がする。初めてこの世界にやってきたのがこのあたりだっただろうか。ここまでマリアローズたちと同行してきたが、おれたちはそれぞれのグループに分かれて野営の準備を行っていた。

 マリアローズたちのほうを見ていると、エマさんが馬車から何かを取り出して地面に置くと、白い布が一気に広がったと思ったら立派な天幕ができた。

 リエルがいうには魔法の道具だそうだ、いいなアレ、おれもほしい。そんなことも思いながら自分たちもキャンプの用意をする。

 おれたちのような駆け出しの冒険者は天幕なんてものは使わない、せいぜい地面に毛布を敷いてくるまるくらいだ。

 アイテムボックスから毛布の入った袋を取り出して、リエルとナーシャに配る。


「ほら、ツカサよ、こっちへとくるのじゃ」


 そう言って、さっそく毛布にくるまったナーシャは隣の地面をポンポンと叩く。ナーシャは眠るときには何かにくるまっていないと安心しないらしく、夜寝るときにはおれにくっついてくるのだ。


「ナーシャ、眠るのは後にして、まずはご飯にしましょうか」


 そういって、リエルが食事を用意してこちらに声をかけてきた。おれは、アイテムボックスを持っているので、バレないようには使っているが大変便利である。いまリエルが持ってきたパンは重量もないが、いま別に用意してあるシチューやその中の具材はアイテムボックスに入れて持ってきたものである。アイテムボックスに入れたものは鮮度が失われないようで、なんというか我ながらチートだと思うな。

 

 さすがに豪華な天幕の中で眠るマリアローズたちとは違うが、冒険者としては、それなりに豪華な夜を過ごしていた。今日は、周りを囲む騎士団のおかげで見張りを立てる必要もなさそうだ。

 身体を寄せてくるナーシャを抱えておれは安心して眠りについた。


……


「……カサ、ツカサ」


 誰かに肩を揺すられて目を覚ます。


「ん、ナーシャか?どうした?」


 眠い目をこすりながら目を覚ますと、いつになく深刻な顔をしたナーシャの顔が間近まで迫っていた。


「ツカサよ、少々まずいことになった。我の眷属が来ている」

「眷属?まさか!!むぐぐ……」


 思わず叫びそうになるおれのくちをリエルが手で塞ぐ。おれが落ち着いたのを確認してリエルが手を放す。

 

「龍か?」

「そうじゃな、このあたりの人間なら、5秒もあれば全員殺せるじゃろうの。我に比べると歯牙にもかからんものじゃがな」

「じゃあ、ナーシャが説得してくれたらいいんじゃないか?」

「じゃがな、今は、我もこんな姿じゃからな。ちょっとばかし厳しいかもしれんの」


 まじか……


 ナーシャの案内で見張りに立っている騎士たちの死角を進んでキャンプ地から離れていく。ここまでくるとおれにもわかる、近くに強大な力をもった存在が接近しているのを。

 おれたちの足元を照らしていた月明かりが影に入りふっと暗くなったと思ったら、上空からなにか大質量の物体が降りてきた。


 シルバードラゴンだ……その姿は想像していたものよりずっと大きい。銀色のうろこに身を包み、頭の高さはビルの3階くらい、およそ10メートルはあるんじゃないだろうか……その威圧感におもわず腰が引けそうになった。

 シルバードラゴンはあたりを大きく見渡し、おれたちの姿を見つけると、動きをとめた。


 思わず身構えたその時、巨大な龍の身体が光につつまれた。あまりの眩しさに一瞬目がくらむ。光が消え立ち上がった煙が晴れると、そこには……横分けになでつけた髪の毛が額に張り付いて、身体を包む黒いラメの入ったタキシードが今にもはち切れそうな(主に腹の部分が)……なんというかテカったおっさんがいた。


 おっさんは、横にむいた身体をねじり上半身だけ正面を向いて、左手で右手を支え、右手は人差し指と親指を立て、左手は右手と同様だがさらに小指も立てた状態でポーズを決めている。


 ズアッ


 そんな効果音が聞こえてくるようだ……ジョ○ョ立ち!?そんな言葉が頭をよぎり、圧倒されている自分に気が付く。

 

(ナーシャこいつほんとに強いのか……)

(残念ながらこんなのじゃが、我の眷属でも一、二を争う実力者じゃな)

(こんなのなのに……強いのか)


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ


 おれたちが無視して小声で話しているいたのに、腹を立てたのかなんだかプレッシャーが増してきている気がする。


「これはこれは、アナスタシア様。しばらくお目にかかっていない間にずいぶん小さなお姿に、はっはっはっ」


 おっさんが偉そうに笑う。その態度に反感を覚えていると


「何の用じゃ?主を呼んだ覚えはないのじゃが」


 ナーシャも偉そうに返す。龍族というのが傲慢なだけかもしれない……


「私はかねてから思っておりました、龍はふさわしい者が長を務めるべきでだと。力を失ったものは退くべきだと、これからの長はもう私に任せていただいて、アナスタシア様は、私の妃にでも、、、いやとはいえ、いかに紳士な私でも、さすがに今のアナスタシア様には魅力を感じませんなぁ、はーっはーっはっ」


 なんだか気持ち悪いだけではなくムカつくおっさんだな。しかし、いつもの横柄なナーシャにもなんだかキレがない。それだけ相手が強いということか……

 おれはそっと気付かれないようにステータスボードを出して操作する。


「ん、そいつはなんですか、人間。誇りある龍族というものが落ちぶれたものだ、アナスタシア様、あなたの酔狂にこれ以上付き合ってはられないのですよ!」


 おっさんがそう声を荒げたのを聞きおれは顔を上げた。そこにはおっさんの姿はなく。


 ゴッ


 目の前が暗闇に包まれた。


遅筆と時間のなさがやばいです……

ということで、途中ですが投稿します


3/2 誤記修正

新鮮さ→鮮度にしてみました!

ビビりながら感想を開き、誤記の多さにへこむ日々、ありがとうございます、助かってます!!

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