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第37話 大和司と二つ名

こっそりと……

短くてすみません……リハビリを兼ねて

 Eランクに昇格してしばらくがたった。クエストごとの報酬もあがり、生活も安定してきたといっていい。


ガタン、ゴトン


 今、おれはまた、揺れる馬車の上に横になって寝転んでいた。

 初めは地面の起伏がダイレクト伝わってくる震動に慣れなかったものだが、いまではすっかり慣れてこの揺れの中でもうまく寝れるようになった。

 揺れに身を任せてまどろんでいると。


「ツカサさま、そろそろつきます」


 リエルの声が聞こえ、おれはゆっくりと身体を起こした。

 固まった身体を大きくのびをしてほぐしていると、依頼人に話しかけられた。


「兄ちゃん、おかげで助かったよ。“幸運のパーティ”というのは本当だったんだな。」

「いやいや、そんなことないですよ、なんどかオオカミモドキには襲われましたしね」

「はっは、あんなのはカワイイもんだ、オオカミモドキなら俺でも倒せるくらいだしな。最近被害が報告されているレッドベアーが出なくてほんとうによかった」

「本当にそうですね」

「よし、これがクエスト修了証だ。また頼む」

「ありがとうございます。こちらこそ」


 これがここしばらくのおれたちの日常だった。あれから護衛のクエストをいくつか受けていると、おれたちのパーティが護衛をしているとほとんど魔物にあわないということで、いつの間にか“幸運のパーティ”なんて二つ名までもらってしまった。

 いまでは、商人を中心としていろんな人たちから護衛クエストを指名でうけるようになった。Eランクのパーティに対して指名がくるなんて普通ではあまりないことらしい。


 全くモンスターを寄せ付けないのも不自然ということにはさすがに気付きナーシャの威圧を少し弱くしており、強い魔物はナーシャを恐れて近づいてこないが、その威圧を感じることのできないような鈍感な魔物、主に弱い魔物だけがよってくるという仕組みだ。

 魔除けの香などは、弱い魔物には有効で、強い魔物には無効なので、そのようなアイテムの使用も疑われることはない。


 少しずつではあるが、お金もたまっていき、異世界だというのに危険もない。周りには年は若いけどかわいい女の子。情熱を持て余しても受け入れてくれる人もいる。

 こうやって穏やかな人生を過ごすのもいいな、そんなことを思って先日移った部屋でベッドへと倒れこんだ。さすがにここ数日馬車の上で寝ていたこともあったので、ベッドがとても気持ちいい。

 ベッドに吸い込まれるようにして意識を手放……


バーーン


「ヤマトツカサはいるか!!」


 そこには、息を切らせる女騎士、ファルネーゼいや、マリアローズがそこにいた。相当焦ってきたようで、息が整わずしゃべりだすことができないようだ。

 だれがどう見ても、いい話であるわけがない。


「リエル」


 そう言ってリエルに目で合図をする。リエルもおれの従者としてかなり成長してきたようだ、マリアローズの手をとると身体を回転させる。そうして、マリアローズの背中に手をあてるとそっと外へと押しやる。


バタン、ガチャ


 リエルもおれの従者として成長をしたな、そう満足しながら、瞼を閉じ……


 ドンドン


「ちょっと開けなさい」


 ガチャガチャ


 うーん、うるさいな……だが、馬車の騒音にもまけず寝るすべを身に着けたおれには……


「マリアローズさま、お退きください」

「エマ」

「え、エマちょっと……」

「キャスト ファイアボール」


 ボンッッ、ガシャーン


 今まで部屋の入口ドアがはじけ飛んで、反対側まで吹っ飛んでいき大きな音を立てる。


「失礼いたします。ご部沙汰しております、ヤマトツカサさま」


 そう言って、優雅に挨拶するメイドさんをおれはベッドの上に正座をして眺めていた。この人に逆らうのはやめておこう、そう心に誓いながら。


仕事で余裕がなくて土日くらいしか作業ができないのですが、なんだかんだでやることがあり、まったく執筆をしてる暇がなくて、こんな状況です^^;


時期があいてるので、若干つじつまが合わなくなったりしてしまうかも……

なるべく調整しますが

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