vs 魔王後 part3
女神アルテミスは、四人の想いを聞き届けた。
「わかりました……。それでは、彼をできる限り復元いたしましょう」
そういうと、女神の周囲で瞬いていた神々しい光が、次第に彼の像に集まり始めていた。
粉々に砕け散った破片が、徐々に戻っていく。しかし、彼の左腕は、いつまでたっても肘の先の形を取ることはない。
「ああ……、彼の者はここまで深く魔王の呪いを受けていたのですね……。恐らく、彼の者の左腕は、もう元に戻ることはないでしょう……。しかし、私にできるのはここまでです」
「彼は、余りに深く魔王の呪いを受けてしまいました。私は、彼の者をいっとき癒やすことはできても、根絶することはできません。彼の者の深い呪いは、時間をかけて解呪する必要があります……。あなたがた、覚悟はある、と言いましたね」
四人は光を失った目を女神に向け、頷いた。
「よろしい。彼の者の呪いは、あなた方のもつ、聖属性の最上位魔法を彼に毎日一回唱えることで、少しずつ解呪されてゆくでしょう。ただ、解呪しきるまでに、どれだけの時がかかるか、私にもわかりません。それでも、耐え続けて、耐え続けて、彼の者を救ってあげてください」
女神は、誰にも聞こえない声で、「そして、聖者になった彼と……ふふ」とつぶやいた。
その目には怪しい光が輝いていた。
やがて、光が収まると、女神アルテミスは、「頼みましたよ……。彼の者を……必ず聖者に……。」と言葉を残して神界へと戻っていった。
「じゃあ、彼を町へ。僕が運ぶよ」
「!いや、そういう力仕事はオレに任せてくれよ」
「……これまでアタシが一番迷惑かけたから、アタシが運ぶ……」
「いえ、彼のことを一番深く知っているのは私ですから、ここは私が……」
「「「は?」」」
魔王城の空気が一段ひんやりとした。
「へー、ま、まあ彼は勇者を守るために戦ってたわけだからね。僕が運ぶよ。勇者である僕が」
アイリスが笑顔のままこめかみに青筋を立てている。
「いや、だん……ゼムは、オレの代わりに毒を受けてくれる優しい人なんだから、重たいもんを持ち慣れてない奴に持たせるのは気を遣うだろ?」
ゆうしゃ は いかり を おぼえた!
しかし、魔法使いのローズだけは違った。
絶望に染まったような顔をしながらぶつぶつ何かをつぶやいている。
「アタシ、アタシは……?」
しばらく三人は火花を散らした後、ゼムはきっとこの状況を望まないだろうという結論に至り、彼を彼の育った街へと連れていくことにした。




