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vs 魔王後 part2

三人は、聖女アイリスの話を黙って聞いていた。



いや、正確には、何も言うことができなかった。魔王城はさっきまでの歓喜から一転、痛々しい沈黙が包んでいた。



「ああ、ゼム様……わたしのかみさま……。わたしも、すぐおそばに……」



アイリスがいつの間にか、手に自決用の短剣を持っている。三人は止める気力も持たず、ただ立ち尽くしている。



一人の殉教者が生まれるその数秒前、魔王城が神々しい光に包まれ、女神アルテミスが顕現した。



「よくぞ魔王を打ち滅ぼしました……勇者たちよ……」



茫然自失となっていた三人も、聖女アイリスも片膝立ちになり、頭を垂れた。



「ゼム……あの子は、やり遂げたのですね。あなたたちを守り、魔に連なるものに復讐を果たしたのですね……。」



「さあ、勇者たち、真実を知った今、あなた方は彼を取り戻すことを望みますか。望みませんか。」



そんなこと聞かれるまでもない。



「の、のぞ「望みます!!」」


勇者が言い切るよりも早く、アイリスが狂気をはらんだ目で答えた。



「ああ、私のゼム様、かみさま。あのお方がこの世に再臨するなら私は頭の先からつま先まで失ってもかまいません。いや、彼のことですからきっと私たちが犠牲になることを望みはしないのでしょう。では、私があの方の苦痛になることをすべて取り除けば――」



誰にも聞こえないようにアイリスはぶつぶつとつぶやいている。



いや、アイリスだけではなかった。自責の念に押しつぶされた人間は、この魔王の間に、後三人。



「僕、自分が勇者だからって、自分が正しいと思い込んでた…でも本当は僕にはなにもなかったんだ。そんな僕を君は守ってくれた……。うふふ、じゃあ、これからもずっと一緒にいなくちゃね……?僕が君を嫌っていると思ってるかもしれないから、ちゃんとそこは違うんだってわかってもらわないと……ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと一緒にいればわかってくれるよね?」


「アタシ……アイツに死ねって、死ねって言っちゃった……アイツはアタシを守ってくれてたのに……。アタシ、ぁ、ぅあ……。……シテ……。許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して。アンタのこと、全部アタシがやってあげるから、捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで」


「オレ、ずっとお前のこと誤解してた……命を懸けて守ってくれるなんて……、決めた……オレ、一生ゼムのために尽くす。じゃあゼムって呼ぶのはおかしいよな?アナタ……、旦那さま……。うん。旦那さま旦那さま旦那さま旦那さま旦那さま旦那さま旦那さま旦那さま。えへへ。ゼムぅ……オレの、旦那さま……」



かくして、勇者パーティは病み堕ちしたのであった。

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