vs 魔王 ひと月前 part4(side 聖女)
まばゆい光が一瞬輝き、収束していきました。
「どういうことですか!?契約の償いが、あなたの命じゃ、契約の意味がないじゃありませんか!!」
私はゼムに詰め寄ると、ゼムは困ったような笑顔を浮かべて、こう言いました。
「でも、こうしないと、君は僕の秘密を皆に話してしまうんだ。……君は、優しいから」
「どういう、ことですか?あなたはいったい、何を……?」
「うん。やっぱり今回も、君は気づいてくれた。君は僕がどれほど君たちを遠ざけても、最後には僕のすることに気づいてくれる。僕が繰り返した中で、ずっとね」
「繰り……返す……?」
「そう。僕は守護騎士のジョブを得た時に、女神さまに必ず君たちを護ると誓いを立てたんだ。だから、君たちを護りきれなかったら、僕は、誓いを立てたあの日に戻る……」
彼は一瞬、遠い目をしました。何年も旅を続ける旅人が故郷を懐かしむような目でした。
「そして、僕は守護騎士のスキル、『肩代わり』を持っている。これを駆使して、君たちが致命的なダメージを受けた時に、それを肩代わりし続けてきた」
「じゃ、じゃあ、あなたが、戦いのときに、時々パーティを離脱したのは……」
「うん、君たちに気づかれないようにするために、隠れて回復薬を飲んでた」
「娼館通いは……!」
「回復薬で治らない傷を治してもらってたんだ」
「なんで、なんで、それを、言わなかったのですか……!!」
「……君たちは、優しいから。僕が肩代わりしてるってわかると、僕をパーティから外しちゃうでしょ」
彼は、困ったように笑いました。そんな彼とは対照的に、私は目の前が真っ暗になっていました。
知らなかった。彼はずっと私たちの命を護り続けていた。そんな彼を、私たちは疎んで、蔑んで……。
「ぁ、……けいやく………?」
「うん、もし君がみんなに話したら、僕は死ぬ。そして、こうしないと、君はみんなに話してしまうんだ。……ごめんね」
彼は、本当に申し訳なさそうに、私に言いました。私はこの日からずっと、地獄にいるような気持ちでいました。だからせめて、隠れて彼に回復魔法をかけるようになったのです。
でも、回復をかけるたびに、彼からお礼を言われるたびに、私は胸が引き裂かれるような思いがしました。
彼は、間違いなく、最後の戦いで死ぬつもりでいるということがわかっているから。私は、彼が死ぬ手助けをしているようなものです。
ああ、ゼム様……。私の信仰は、もはやあなたのために。私の祈りはもはやあなたのために。私の命も、あなたのために……。
あなたを決して、一人では死なせません……。




