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vs魔王前夜(side 勇者)

「俺勇者パーティ辞めるわ」


魔王との決戦前夜、守護騎士のゼムが突然言い放った。


「い、今なんて…?」

ボクは怒りのあまり、手を振るわせながら聞いた。


「だから、パーティ抜けるって。明日魔王戦だろ?俺、ぜってぇ死にたくねえから抜ける。」


怒りで目の前が真っ白になった。


「だから言ったじゃない!!ヴィー!こんなクズ野郎、ここまで連れてきたのがそもそものまちがいなのよ!」


「お、ちょうどいいや!じゃあ勇者サマ、俺はここまでってことで!あ、でもよ」



「パーティからの脱退手続きは、魔王戦後にしてくれや」


と言った瞬間、目の前に風が走り、マリーがゼムの醜悪な笑顔を力一杯殴りつけた。


「テメェェェエ!戦いたくねぇのに脱退を後にしろだ!?名前だけパーティに残して何するつもりだ?!アァ?!」


赤髪の彼女には龍の血が入っており、普通の人間なら弾け飛ぶほどの力で殴りつけた。しかし、


「ぐ……イテェじゃねえか……俺が何するか、だっけか?決まってんだろ?魔王を討伐した勇者パーティの一員として、そこら中で豪遊してやんのさ!!」


守護騎士である彼は、防御特化のため、大したダメージにはならない。


「ふざけたことを……!」

「ヴィー、どいて。」

横を見ると、ローズが魔法を起動するところだった。


「ああ、それで気が済むなら、いくらでもボコボコにしろや!でも、名前だけは残しといてもらうぜ?ユ・ウ・シ・ャ・サ・マ?」


口の側から血を流したゼムが、その口角をあげてこちらを挑発してきた。


「アンタがその気なら、今日殺してやるわよ!」


魔法が放たれようとしたその刹那。


「やめて下さい!!!」

聖女アイリスが間に割って入った。


「おい!!何やってんだ偽善者!!」

ゼムがそう叫ぶ。


「アイリス!どいて!!」

ローズも叫ぶ。


「こんな、こんなこと…私は……もう…」

ハラハラと涙を流すアイリスに、ローズが魔法をキャンセルした。


「な、なんで?なんでそんなクズ庇うわけ?アンタのことだって悪くしか言わないのに。」


「ちがうの……!ちがうの……!」


ポロポロ涙を流すアイリスを見て、ボクはハッとした。


「まさか、アイリス、ゼムに脅されて…?……貴様ァァァァァァア!!」


ボクは気づいたらゼムに殴りかかっていた。ゼムはアイリスを押しのけると、そのまま顔面で拳を受け入れた。




「やめて!!もう……!やめてよ……!」


「ぐ……グフッ……パーティの、件、忘れるなよ……」


壁まで吹き飛んだのに、ゼムにはまだ意識がある。


「クソッ!こいつやっぱ耐久と防御がバケモンだ……!」


「なんで、こんな力があるのに、君は……!」


「アンタなんか……アンタなんか……」


「死ねっ!!!」


ローズの言葉を聞いたゼムは、少しだけ目を見張った。

その後少し笑って、何かを呟いた。その言葉は、ボクたちに聞こえることはなかった。


「ボクたちは宿に戻るよ。今まで…いや、そんな言葉も言いたくない」


彼と別の宿なのは、彼がこれまで娼館通いをするために都合がいいとそうしてきたからだ。


ボクたち三人が宿へ戻ろうとすると、アイリスは涙を流して彼を見つめている。


「どうしたのよ、アイリス?」

「こんな奴ほっとけよ!」

「アイリス…?」


ボクらが言うと、アイリスは口をパクパクと動かして「…っ!…あ、っ!」と何か言おうとしている。


少しして諦めたのか、

「私は、この方の治療をしてから戻ります」と言った。


こんな奴治療する必要ないと三人で説得したけど、アイリスは首を頑として縦に振ることはなかった。


諦めて外に出ると、アイリスが彼を責めているような声が聞こえた。


やっぱりアイリスも、彼に怒りを覚えていたのだろうと、僕たちはそれ以上追求することをやめた。


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