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幕間・終

 女性は恋をすると美しくなるという。

 それでいうと、私も例に漏れず一般的な女性同様、以前より美しさが増しているらしい。


 てっきり、すでに人間が認知できる美しさの極地にいると自負していたのだが、さらに上があったようだ。


 これまでの私が太陽なら、今の私はおおいぬ座シリアスといったところか。


「ユキハ様……」


「我が主月河様……」


 私が教室の自分の席につくなり、学校にいるすべての人間が私に跪いた。

 教室に入りきらず廊下まで人で溢れている。


「なにがどうなってんだこりゃ」


 私の精神を屈服させた唯一の男がやってきた。


「家から学校に行くまでの道中でもみんな祈りを捧げてたぞ」


「威光がありすぎるのも問題だな。明日からはマスクとサングラスを着用しよう」


「俺が言うのもなんだが、世の中ユキハより素晴らしいものはたくさんあると思うがな。なんでそんなに信仰心が強いんだか」


「愚かなハナミくんにはわからないだろうね。みんな、私から授かりたいのさ」


「なにを?」


「地球滅亡のとき、私と共に逃げられる権利」


「ノアの方舟かよ。地球はそんな簡単に滅亡せんだろ」


「近いうちに私をめぐって核戦争がはじまる」


「さすがに人類はそこまでバカじゃないだろ」


「バカではなくても欲深いものさ。ハナミくんだって、本当は跪いて私の足を舐めたいくせに」


「おう地球滅亡寸前になったら大衆の面前でお前の足を舐めわしてやるよ。…………ちょっとまて、逃げられる権利欲しさに祈ってんの? ずいぶん打算的な愛だな」


「見返りを求めない愛なんて存在しないんだよ、ハナミくん」


「そんなことないだろうが。相変わらず捻くれたやつ」



------------------------------



 夕方。

 今夜、ハナミくんは私の家で食事をする。

 正式に恋人になってから、週に一度は私の家で過ごすことにしたのだ。


 とはいっても、普段から彼の家で一緒に食べているが。


「ふふ、どうだい? 君の大好きな青椒肉絲は」


 隣に座るハナミくんが、はふはふと青椒肉絲を食している。


「俺はユキハのメシを食ってる時が一番幸せだよ」


「おや、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」


「正直者でいたいからな」


 ふふ。

 ふふふ。


 私が与える食事をがっついて食べる様は、まさに愛玩動物だね。

 愛おしい。ハナミくんは素直じゃ無いところが可愛いけれど、素直に甘えてくるのもまた最高級に母性本能をくすぐってくる。


 はぁ〜、食べちゃいたい。

 本当にハナミくんを食べてしまいたい。


 ハナミくんの箸が止まった。


「だからよ」


「うん?」


「まぁその、正直に言っとく」


 ハナミくんが頬を赤らめた。


「今日、泊まる」


「何故?」


「後でその……舐めたい。…………足」


「ふふ、ふふふ、実に変態だね」


「悪かったな」


「いいや、構わないよ。跪いて私の足を舐めるといい。結局君も、自分の性欲を満たすという見返りを求めて私を愛しているわけだ」


「そんなつもりじゃ」


「いいんだよ、私も同じだからね。ふふ、ハナミくん、足を舐める前に私のお願いを聞いて欲しいな」


「なんだよ」


「死ぬまで私を愛し続けると誓って欲しい、ハナミくん」


「ち、誓うまでもないだろ!!」


「ふーん。そうかい。つまらないね」


「わ、わかったよ」


 ハナミくんがじっと私を見つめる。

 少し怯えた表情。

 たまらない。興奮が止まらない。

 あぁもう、私はこの子ナシでは生きていけない!!


「一生、お前に付き従っていたい。ユキハ」


「ふふ、しょうがないペットだ」


 彼を抱きしめ、唇を重ねる。

 食事を中断させて、私は彼の望みを叶えさせてやった。








------------------------------

※あとがき

駆け足ですが、完結です!!

うーん、えっち!!

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