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第9話 女帝と担任教師

 月河ユキハは己こそが最も偉いと本気で疑っていないわけだが、意外にも先生や俺の母さんには敬語を使う。

 格下だが敬意は払っているから、とのこと。


 だが、そんな月河が唯一タメ口で話す教師がいる。

 我が2年2組の担任、三十槌みそつちモモヒメ先生だ。


 身長143cm、ずんぐりむっくりな華奢ボディながら、立派な26歳の社会人。


「こらーっ!! 月河、SHR中に寝るんじゃなーい!!」


「むっ、眠ってないよモモちゃん。目を閉じてモモちゃんの話に集中していたのさ。モモちゃんの声はアニメの声優のように可愛いからね」


「でへへ〜♡♡ マジ〜?? いやー、よく言われるんだよナー。声がかわよ過ぎってさ〜。って、調子のいいこと言ってはぐらかすな月河ぁ〜!!」


 こんな感じの合法ロリ教師である。

 まるで高校生のお姉さんにキレてる小学生女子みたいだ。


「ふふ、モモちゃんは今日も元気だね」


「そのモモちゃんてのやめろ〜!! 年上は敬え〜!!」


「年上? あぁ、そういえば」


 他のクラスの連中もくすくす笑っている。

 バカにしているわけじゃない。愛らしいキャラクターだからつい頬が緩んでしまうのだ。

 俺もその一人。


 モモちゃん先生のことは、割と好きだ。


「高校卒業までに絶対私に敬語を使わせてやるからな!! 月河!!」


 俺と同じく、月河を敵視しているしね。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 高2なると授業の中に選択科目が追加される。

 文系か理系かで大雑把に選ぶだけなのだが、大半の生徒は担任との二者面談で決める。


 というわけで、絶賛モモちゃん先生と面談中なのであった。


「ぬー。島風、お前さては暗記が苦手だな?」


「すんません。漢字系が特に……」


「島風は漫画とか読まないのか? 必殺技とか、漢字が多いだろ」


「それはそれ、これはこれなんすよね。先生も漫画とか読むんすか?」


「へへ、ワタシか? へへへ、読むぞ。実は結構二次元好きだぞ」


 意外、でもないか。

 今日び、アニメや漫画はサブカルチャーからメインカルチャーにまで上り詰めているからな。

 誰だって好きなアニメのひとつやふたつはある時代さ。


 そういえば、ユキハはアニメに興味がないとか言っていたな。

 あんなものはしょせん虚構さ、なんて捻くれてた。


「先生の好きなアニメ教えてくださいよ」


「えー、言ってもわからんだろう。ハートキャッチプイキュアって」


「えっ……」


「ふん、なんだよ。はいはいどうせいい歳こいてプイキュアみてますよ。プイキュアおばさんですよーだ」


「知ってますよ。姉がプイキュア好きで、サブスクで配信されてるの隣で見てました。あれですよね、心の花のやつ」


「マ、マジィ!? お前プイキュアわかるのか!?」


「実は敵の博士がお父さんで……」


「それそれそれーー!! は、はじめてだぞ島風。周りのオタク友達はプイキュアみてないし、出会う男もVオタばっかりだったから……」


 お、おぅ。

 なんかスイッチ入れちゃったかも。


「逆に島風は何が好きなんだ!?」


「俺っすか? まーなんだかんだ、ワンピースですかねぇ。俺の周りで詳しいやついないっすけど。世代じゃないんで」


「あー、ワンピかー。ワタシもちょっとしか知らないんだよナー」


「どこまで知ってます?」


「んーとな、あそこ。『ーードゥン!! でんでけでんでん、でんでけでんでん富・名声・力。この世の全てを手に入れた男、海賊王ゴールド・ロジャー。彼の死に際に放った一言は、人々を海へ駆り立てた!! 俺の財宝か? 欲しけりゃくれてやる。探せぇい!! この世の全てをそこに置いてきた……。男たちはグランドラインを目指し、夢を追い求める。世はまさに、大・海・賊・時・代!! でーれってー、ありたけの、ゆ〜めを〜、かき集め〜』までしか知らない」


「初代OPの冒頭!! 逆にそれめっちゃ詳しいでしょ先生!!」


「おほ♡ はじめてこのボケがウケた」


 十八番だったんだそれ。


「先生ってノリいいですね。好感度アップですよ」


「なぬっ!? でへへ〜♡♡ まさか島風お前、ワタシに発情してんのか〜♡♡」


「いやそこまでは……」


「ついに男子高校生と禁断の恋をするチャンス到来か〜? じ、実はな、先生な、ネットで絵も描いたりしているんだ。momohimeちゃんって名前でな」


 早速検索してみる。

 おぉ〜!! すげぇ、SNSのフォロワー50万人!?

 神絵師じゃん!!

 しかも、うおぉぉ、マジで絵がうまい。


「すっげー、先生すっげーすね。フォローしときました!!」


「てへへ♡♡ ありがとだゾ〜!! ちなみに描いてほしいキャラいるか?」


「ゾロ描いてくださいよ、ワンピースのゾロ」


「任せろり。一時期ゾロサンのイラスト描きまくってたから見なくても描けるぜ!!」


 適当なプリントにさらさら〜っと描いてくれた。

 おぉー、上手い。なんか色っぽいけどちゃんとゾロだ。


「いやマジびっくりです。俺、先生のファンになっちゃいました」


「おっほ♡♡ ちょ、おまえ、26の女捕まえてなにハァハァしてるんだよ〜♡♡」


「してませんが」


「絵師のこと、一応秘密だぞ!!」


「大丈夫です。喋る相手いないんで」


 俺の周り、絵師に興味ないやつばっかりだからな。

 特に月河なんか、そもそもSNSやらYouTube自体めったに利用しないし。

 令和キッズなのに。


「ち、ちなみに島風、お前彼女はいるのか?」


「へ?」


 瞬間、教室の扉が開いた。

 月河ユキハが立っていた。


「まだかな? モモちゃん」


 そっか、次はユキハなんだった。

 にしてもえらい不機嫌そうだな。やさぐれた暗殺者みたいな眼差しで先生を睨んでいるよ。


「お、おう。すまんな月河、待たせて。じゃあ島風、とりま理系コースか?」


「あ、はい。では先生」


「サヨナラは言わないぞ。また会いたいからナ〜」


「モンキー・D・ルフィみたいなこと言ってる!!」


「2年後にシャボンディ諸島で!!」


 先生、めっちゃ詳しいじゃん。


 闇のオーラを纏うユキハと入れ替わるように教室をでる。

 扉を閉めて、帰ろうとしたとき、


「早まるな月河!! そこは、そこはワタシのセンセーショナルな部分だぞ!! お、おぉぉぉぉ♡♡」


 なにか聞こえた気がしたが、無視してその場をあとにした。

 触らぬ女帝に祟りなしである。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき

結局一番ワクワクするOPってウィーアー!なんですよね。

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