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魔王のお仕事

魔族が暮らしているサラスバルナス王国は、このセントイール中央大陸の南部に位置する国である。接している国とは大きな山脈で隔たれており、行き来することは中々大変な地形をしている。

そのおかげで、魔族は世界から敵対された種族であるが攻め滅ぼされることもなく独自に発展してきた。

交易がないこともないが、魔族は嫌われ者のため一部の友好的な種族以外とは関わりがない。たぶん、このセントイール大陸の北部に位置するプラート神聖国が原因だと思う。魔族を差別する人族の国だから敵対国だし。しかも、この大陸の8割は人族の国だし。


そんな国の王である私は、世界的な嫌われ者である。めっちゃ泣きたい。


キルスターさんは、この国の宰相であり実質的な国のまとめ役である。正直、国王を譲ってあげたい気持ちがとまらない。クーデターでも起こしてくれたら、喜んで王座を譲る覚悟が私にはある。


が、そんなことにならない。

この国は、実力至上主義なのだ。


だって、私は生まれてから自分より強いと思うものに出会ったことないもん。

何度か王座を巡って挑まれているが、はっきり言って相手がクソ弱い。負けたふりしようにもかなり厳しいくらいにはクソ弱い。挑んでくるからにはそれなりなんだろうけど。

蟻から勝負挑まれて、負けたフリするの難しくない?そんな感じだ。

おかげで、誰も挑んでこなくなったけど。


王になった経緯は、長くなるからまた今度。大した話じゃないけどね。


キルスターさんは、国の運営をほとんど仕切っているため超多忙である。そんな方がここに来たってことは、大体が凄いレベルの面倒事であるのはわかりきっている。


『国王様、お元気そうで何よりでございます。本日はお呼び立てして申し訳ありません。』


『キルスターさんもお元気そうで良かった。いつも忙しく国中を飛び回っていらっしゃるので心配していたのですよ』


『お心遣い、感謝いたします。私の身体は頑丈にできていますので後300年くらいは変わらず働けます。ガハハハ』


いや、こわっ!

ホントに300年くらい元気そうなのが凄い。ちなみにキルスターさんの見た目は、筋肉隆々のツノあり魔族だ。髭が威厳を醸し出しており、良くありがちな脂肪を蓄えた宰相の見た目と正反対で三国志に出てくる武将のような出立である。200歳くらいで前国王の時から仕えているこの国の大黒柱で、国王と言っても差し支えないレベルの人物である。いっそのことお願いしたい。


『国王様、本日の要件をお伝えいたします。現在、キーラ山脈北西エリアから大規模な軍隊の南下を確認しております。近年、類を見ない大規模軍勢で約5万の人族で構成されているようです。旗印からは、ヘイケン国と思われますがまず間違いなくプラート神聖国が糸を引いているでしょう。』


出たよ。プラートはホントに懲りない。魔族の存在自体を認めない奴らだから何とかしてウチの国を滅亡させたいらしい。


『どこまで進んできてるのかな?たぶんキーラ山脈北西だとアスラさんの支配域だから迎え撃つ気満々で準備してるよね。アスラさん達なら5万くらいなんとでもなりそうだけど。』


『たしかにアスラは、不謹慎にも嬉しそうに準備しています。おそらく5万の人族程度ではアスラ軍で問題なく対応できるでしょう。』


アスラさんは、見た目ボンキュボンのセクシーダイナマイト魔族で腕力に長けており、血の気が多い脳筋将軍の1人である。私に挑んできた者の1人でもある。


『その話を私に持ってきたと言うことは、それだけじゃないと思っていいのかな。』


『ご明察のとおりです。プラートが関わっていることからスパイを潜り込ませて確認していましたが、ギフト持ちが紛れ込んでいるようでした。スパイも戻ってこれないものが数名いることから、強力なギフト持ち数名が紛れていることが考えられます。』


『数にもよるけどキルスターさんのスパイを撃破するほどだと、アスラさんも手を焼きそうですね。』


『アスラなら何とかするとは思いますが、ある程度の犠牲が出ることは覚悟しなければなりません。そのため、ご報告とご指示をいただきたく急遽参上いたしました。』


『キルスターさんは、わかって言ってるからタチ悪いですよ。私は平和を愛する魔族です。その私の国の平和を脅かす輩を放置する訳がない。』


『申し訳ありません。では、私は先にキーラ山脈に向かわせていただきます。おそらく、敵対勢力が山脈を越えてキーラ平原に到達するのが3日後と思われます。急ぎ魔力馬車で向かわれれば2日程度と思いますのでよろしくお願いいたします。』


そう言って、キルスターさんは屋敷を後にした。さて、私も向かう準備をするとしよう。

ゆっくりと振り向きメアに声をかける。


『メア、今から2時間で準備をしてキーラ山脈に向かう。よろしく頼むね。』


『御意』


そう言うと、颯爽と部屋から消えた。


さぁ、久々の魔王の出陣だ。

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