血濡れた心
高校生のころの作品
救いはないΣ(ノд<)
始まりは何だったか。僕の手にはもう既に数え切れぬ程の悲鳴が蠢いている。
翳したナイフは血濡れて切れなくなっていた。それでも、闇雲に叩き付け、相手の生死すら既に分からなくなっていた。
叫びが …断末魔の叫びが聴こえる。激しい騒音の中、それでもはっきりと伝わる、肉の切れる、骨の折れる音。
血を浴びる、…熱い…酷く熱い。とてつもない悪臭が熱気に蒸し返される。
血濡れたナイフは手から抜け落ちそうだった。でも、落とす訳にはいかない。だが、落とす訳にはいかない。このナイフを落とせば殺されてしまう。
このナイフは僕の命、人を傷付け、殺し、其の血で肥える僕の命。エゴイズムに満ちたこの命は自分以外を認めない。
守るため…守るために僕は檻を用意した。でも檻は僕を縛り傷付け始めた。僕にとって、僕を守ることは、この手にナイフを取ることだった。
切り付けた、傷付かないために。
殺した、恐怖を覆うために。
自らの心を誰かの血で洗った。
翳したナイフは血濡れて切れなくなっていた。それでも闇雲に叩き付け相手の生死すら既に分からなくなっていた。
始まりは何だったか。僕の手にはもう既に数え切れぬ程の悲鳴が蠢いている。
僕は僕の心で迷い苦しむ。
出口は誰にも指し示せない。
お読みくださりありがとうございました゜+(人・∀・*)+。♪