すべてが馬鹿みたいな、世界は止まったままだ。
足が、動かなかった。なんでよ。なんで、嫌だ、これで終わりにしたいのに。嫌だよ。
手首を手すりにかけたまま泣き崩れた。
気がつけば、公園にいた。
ごめんなさい。
こんな私で、こんな娘で、ごめん。
いるはずもない人からの返答を待った。
変わらず鳴き続ける蝉。流れる雲。夕焼けがすぐそこまで迫っていた。
返答は無い。
ドラマじゃない。ファンタジーじゃない。
ただ、風が答えてくれればよかった。小さな花が合図をくれればよかった。たったそれだけでよかったのに。
あなたは、私を見ない。
世界は止まったままだ。期待しただけ無駄だった。
7年前に知ったはずの「死」を、まるで初めて知ったような気がした。
全てが馬鹿みたいだ。
過去も今も未来も、生きることにも死ぬことにもこの孤独にも、世の中の事象全てが意味のないことに思えた。もちろん、未来から逃げようとすることも。
結局、人は死ぬ。固まった過去の中に閉じ込められる。
今、自分が生きているのか死んでいるのか分からなかった。別にどっちでもいいような気もした。
セミの声がやけになまなましく聞こえる。柔らかい風が吹く。5時のチャイムが鳴った。
自分しか居ない、自分だけ居ない世界を無気力な目で眺めた。
ラムネ越しには永遠の人殺しが、夏の寂寞に取り残されていた。