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「幸せすら拒絶するようになった。」 歩道橋の上、少女は最期のことばを綴っていた。
ふらふらと過去の中を歩いた。もう泣けなかった。歩けば歩くほど核心にたどり着けるような気がした。
「...着いた」
歩道橋を見上げる。深呼吸と引き換えに、足取りは軽い。
疲れた。人殺しでいることに、自分でいることに。
未来から逃げることなんて、できないの。
たった一つを除いて。
「繰り返す朝とコーヒーの香りが、ずっと嫌いだった。」
階段を一段昇るたびにギシギシ音がなった。
「信頼していた人間が、敵に変わる瞬間を見てしまった。」
かばんを置き、辺りを眺める。
「孤独を恐れて一人を指さし、冷たい言葉で笑っていた。」
ラムネに映る自分がどうしようもなく猫背で、少し笑ってみた。
「未来から逃げたいなんて、弱くて愚かな考えだった。」
滅多にクルマの通らないこの場所で、しょうもない人間が一人死ぬ。
「幸せすら拒絶するようになった。」
私にふさわしい最期だ。
上履きを脱ぎ、熱い手すりに足をかける。
目を閉じる。
今まで映っていた夏の景色が、暗闇に変わった。
太陽の光の存在だけは何となく感じた。これでやっと。
息を呑む。
「「こんな世界で、自分で、生きたくなんかねぇんだよ!!!!!」」