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5月13日、僕はカーテンの隙間から入り込んだ生ぬるい日差しに悩まされながら、体を起こした。そして、本来の意味を失った目覚まし時計のスイッチを止め、寝ぼけ眼のまま、制服に着替え、安定しない足取りで1階の洗面所に向かった。
鏡の中の自分とにらめっこにながら思う。
「もっとイケメンな顔で生まれてたら、人生謳歌してたんだろうなぁ、」とくだらない妄想をしながら、歯磨きを終えた。
朝食はいつも僕が担当している。今日のメニューは目玉焼きに白米、少量のキャベツサラダにみそ汁といった統一感を感じない朝食だ。ぶっちゃけある程度栄養バランスよければ、なんでもいいんじゃないかと感じる自分がいる。そんなことを考えていると開口一番に大あくびをしながらリビングにやってきた。僕の父だ。僕の父は有名建設会社の現場監督、という役職だったはずだ。名前だけ聞くと偉そうな立場だが、家ではその威厳は全く感じ取れない。スイッチのonとoffの差がはげしいな、とは思ったがそれは昔の話だ。今ではこれが普通だ。
父と朝食ととりながら、会話をする。
「お前の朝飯、ホント統一感ないよなぁ」
「それはぼくも思った。それに父さんだってしってるでしょ、僕がこういう性格だってのはさ、」
「それもそうだな。」僕達親子はそこまで口数が多いわけじゃない。だから朝は淡々とした会話しかしないのだ。
朝食ととり終えた僕と父はいそいそと家を出る準備をはじめる。
「あ、そうだ、繋俺、今日残業があるから帰るの遅くなるわ。」
「あいよ、じゃあ夜ご飯は先に作って食べちゃうからね。父さんの分も作っとくから。」
「ありがとよ、じゃあ俺先に出るわ」
「気をつけてね。」
僕の言葉に対して手で返答した父を見送り、そして僕もリュックを背負い、家を出た。
毎日思うが、学校への登校が一番面倒くさいと僕は思う。バスとかあればいいのになあ、と思いながら、気だるい通学路をすりぬけながら、平岡高校へと向かって行った。