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その勇者、ポンコツにつき  作者: イルク
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超簡易版就職面接

高校生が書いた拙い文章ですが温かい目で見守っていただけると幸いです

その少女は孤児であった

両親は私が10歳のときに金を稼ぐため街を出たときに山賊に殺された

私は施設に入れられた

その施設には他に16人の子どもがいた

一番小さい子で3歳、一番大きい子で16歳

ここの施設にはルールがあった

・ご飯は毎日3食欠かさず食べること

・運動と勉強をすること

・犯罪に手を染めないこと

・17になったら出ていき、働くこと

このルールが私を救い、17歳になるまで犯罪に手を染めさせず私を人間でいさせてくれた

私は生まれたときからスラムに住んでいた

街の人々からは嫌われ、治安を守る騎士たちから見放された場所

犯罪は日常茶飯事

何かが腐ったような匂いがして、毎日誰かしらは喧嘩をしていた

ここの住民の多くの人は犯罪に手を染める

窃盗や強盗、誘拐や殺害など多岐にわたる

私の両親も盗品を売る商売をしていた

両親が死んでも私はどうも思わなかった

嫌いというわけではない

ただ興味がなかった

考えたのは私の将来のことであった

両親は死ぬ際に私に何も残していかなかった

金もなく、生きるためには犯罪に手を染めるしかない

けど私は未来の見えないこの世界に興味がなかった

だから私は17歳になり施設を出て3日後に死ぬことを選んだ

何も食べずおよそ2週間

自分がそろそろ死ぬということが分かる

私は、死ぬ前に屋台でわたあめを買って食べたかった

小さいころに見てずっと憧れていた

私の全財産はギリギリわたあめが1つ買えるくらいしかないが、どのみちもう死ぬのだから関係ない

私はわたあめの屋台に並びわたあめを買おうとした

そのとき屋台の店主は私に近くにたまたまあったフォークを思いきり投げつけてきた

フォークは私の頬を掠めて飛んでいく

私は頬から血が流れるのを気にせずに考えていた

私が何をしたというのか


「このゴミめ!スラムから出てくるな!」


出てきたのは罵倒

私は犯罪に手を染めてないのに

スラムに生まれただけでこんなにも生きるのが辛い

周りの人も汚物を見るような目で私を見る

耐えきれず私は羽織っていた外套を顔まで隠すようにして走り出した

路地裏に入ると誰かが追いかけてくる

死ぬつもりだったのになぜか逃げる足が止まらない

そんなとき後ろで何かが爆ぜる音がした

その瞬間私の横をそれは通り過ぎ、頭から民家の壁にめり込んだ




私は呆然とした

どうなったらこんな状況に陥るのか

いつもだったら無視していた

だけど私は何故か放ってはおけなかった

壁から彼を引き抜き、地面に横たわらせた

なぜこんなことをするのか

多分私は普通の人になりたかったのだ

人を傷つけ嫌われるスラム民ではなく、人を支え、助け合い好かれる人になりたかったのだ

そんな自分に吐き気がする

その時、壁にめり込んでいた男が目を覚ました




「あれ、俺は…」

辺りを見回すと灰色の外套を被った少女、そして無惨に割れた壁が見えた

思い出した

俺は頭から壁にめり込んだんだった

そして彼女が助けてくれたらしい

この家の人が来たら面倒だ

勇者が召喚初日に器物破損なんて笑えない

俺は立ち上がり彼女の手を引いて走り出す


「よし、逃げるぞ!」


しかし走り出して少しすると突然少女が崩れ落ちた


「おい!どうした?」


彼女の額に手を当てる

熱は無さそうだが息が荒く、動悸がすごい

そんなとき彼女のお腹が可愛らしい音を鳴らす

彼女は頬を染めてそっぽを向いた

俺は思わず笑いがこぼれる


「お前軽いしな、ちゃんと食ってるのか?なんか買ってきてやるよ。何がいい?」

「え、いいの?どうして?」

「どうしてって腹減ってるんだろ?」

「でも私スラムに住んでるんだよ?」

「んなもん気にしないよ、とりあえず何がいい?」

「え、じゃあわたあめ…」

「おう、買ってくるから少し待っててくれ」

「…うん」


俺は小走りでわたあめを買いにいく

俺は走っているとき彼女のことを考えていた

彼女は痩せこけていたし、このままではまたこうなるのではないだろうか?

助けてくれた恩もある

どうするか考えていると俺の家で雇うことを思い付く

わたあめと肉の串焼きを買って彼女のいる場所まで戻る

彼女は同じ場所で壁に背中を預けて座り込んでいた

彼女にわたあめを渡すと彼女は泣き始めた

理由が分からず俺も困ってしまう

寂しくさせてしまったのか、俺がいない間に何かあったのか

俺があわあわしてると少女はぽつりぽつりと話始めた


「私、スラムで育った孤児なの。スラムの人はここの人に嫌われてるから、さっきわたあめを買おうとしたら追い払われたの。私に価値なんかないの。なんで私は生まれちゃったんだろう…」


俺は少女の隣に腰かけ語りかける


「生きる意味なんて自分で探すんだよ。誰かに命令されて生きるなんてそんなのつまらないだろ?前を向け、とりあえずがむしゃらに歩け、立ち止まったっていい。だけど逃げるな」


少女が顔をあげて俺を見る

彼女にわたあめを渡して空いた手で頭を撫でてやる


「ねえ、あなたはなんでこんなに優しくしてくれるの?」

「俺は勇者なんだ。違う世界から魔王を倒すために召喚されたんだけどさ、勇者って人々を救うのが仕事だろ?こんな一人の女の子救えないやつが勇者なわけないよ。」

「勇者…?本当に…?」

「来いよ、シグルド!」


俺は聖剣を召喚し、さらにステータスを見せる


「ほんとだ…」

「まあ俺が助けた理由はさっきのは建前でな、ほんとの理由は別にあるんだよ。お前うちで働かないか?って誘うためなんだよ」

「え…?」

「俺今朝にこっちの世界来たばっかなんだけどさ、突然めっちゃデカイ家を貰ったんだよ。けど他に誰もいないから寂しいしさ、俺って家事何もできないからこのままだとヤバくてさ。君は家事出来る?」

「一応は…、けど私スラムの」

「俺は気にしてない、だからやるかやらないかを聞きたい。仕事としてはうちの家事、料理と洗濯と掃除だな。給料も住むところも出す。だから来てくれないか?」

「私、こんな幸せでいいの?」

「誰に否定する権利があるんだ?」

「…じゃあ、私働きたい…!」

「そっか、じゃあよろしくな!俺はハヤトだ」

「私はリーンです」

「おう!まあとりあえずわたあめ食べちゃいな」


彼女はわたあめをしばらく見つめていた

そしておずおずと食べる


「甘い…」


そう微笑む少女は俺の目に魅力的に映った

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