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Product ~特殊性質発現体~  作者: 納豆TKG
5/5

File.4



水銀の怪物とナイフを持った青年が睨み合う中

先に動いたのは青年だった。

怪物に向かって一直線に、全速力で突き進みその距離わずか3メートル。


「XXXXXXXXXXXXXXXXXX!!!!」


雄たけびをあげて青年めがけて剛腕を勢いよく振り下ろす。

しかし青年は真横に飛び退いて攻撃をかわし、前へ飛んだ。


次に足がついたのは床に叩きつけられた怪物の剛腕。

見た目とは違い意外にも固く、足が沈んでいくことはなかった。


青年はそこから獅子の頭に向かって飛び上がり


「くたばれっ!!」


振りかぶった右手のナイフで眉間辺りを突き刺した。







ナイフを抜いた勢いで思いきり床に落下する。


「いって……」


幸いにも頭は打たなかったようで、すぐに立ち上がれたし怪物からも距離をとれた。


「P-30!!」


ニシムラが駆け寄ってくる。

怪我をしたヘルメットも薙ぎ払われたヘルメットも一応は無事らしく、壁沿いにもたれていた。


「無茶をするな! あのプロダクトがもし我々に見せていない攻撃手段や特性を使っていたらこうはいかなっかったぞ!! ただ運が良かっただけだ!!!」


「や、でもなんかいける気したし……」


怪物の方を見る。

屈強な身体はドロドロと崩れ始め、まだ原型を残った頭を両手で押さえて苦しんでいるようだった。


「そういう問題ではないっ!!!」


脳みそまで響きそうな大声で怒鳴られる。


別にいいじゃないか、結果オーライってやつだよ

と言いそうになったが、面倒くさくなりそうなのでやめておく。


「そんなことより、これ」


受け取ったナイフをニシムラに返そうとナイフの柄を向ける。

が、受け取るどころかこちらが渡そうとしていることにすら気づけていないようだった。


拳銃を構えた彼女は、形が崩れてゆく怪物に向かって3発銃弾を撃ち込んだ。


その瞬間に、スライムのようにゆっくりと崩れていた水銀は一斉に床へと落下した。


「負傷したオペレーターは車両に戻れ。 それと無線が使えなくなった。外で待機している二番隊に回収ケースを持って応援に来るよう伝えろ!」


ニシムラが怪物だった水銀の水たまりに向かう。


「え、ちょ! あぶねぇって!」


急いで後を追う。

水たまりの中心にしばらくしゃがみ、立ちあがった彼女の手にはいつの間にかゴム手袋のようなものが装着され、左手にはソフトボール台の欠けた球体が乗っていた。


「大体わかった」

「え? な、何が?」


右手に用意していった謎の布に球体とそのかけらを包みながら話を進める。


「このプロダクトの本体はこの球体で間違いないだろう。水銀の中にちらりと見えたからもしやと思ったが……先ほどナイフを刺した時、偶然頭部にあったこの球体に当たって傷がついたのだろう。しかし本当に運が良いな、もし心臓や予期せぬ場所にコレがあったのなら単に刺し傷程度でこのような崩壊は起きることなくお前も無事ではなかっただろう」


あの時眉間に向かってナイフを振り下ろしてなければ、ナイフを抜いた時にはもう……

考えると少しゾッとしたが、終わったことだ。深くは考えるのはよしておこう。


「私が思うにこのプロダクトは液体の強度や形状を自在に操ることができる特性を持っているのだろう。詳しいことは調べなければわからないが、あれはおそらく『獅子座』を模した姿だ」


「……は?獅子座?」


考察から急に突拍子のない事を言い出したので、こいつも冗談言えるんだな、なんて思ったがどうやらまともな見解らしい。


「プロダクトというのは基本的に発生場所にちなんだ姿や特性を発現させる。海や湖であれば魚類、森林や自然が多い場所では植物の……いや、ともかくここが天文台のような施設だったことを考えるに、あながち間違ってはいないだろう」


「じゃあまだ危険なんじゃないか?『獅子座』がいんなら他の星座のやつもいるんじゃ……」


もしかしたらコイツを倒して油断したところを襲ってくるのではないか、と

周りを警戒する。


「それはない。お前が一番わかることじゃないのか?P-30」


「え?あっ……」


そういえば青い視界が気にならない程度に収まっており、ピリピリとした感覚はすっかりなくなっていた。


「今のところ別個体がいるわけではないようだし、そこを含めて色々と調査しなくてはな。それと……」


何かを言うことに躊躇しているようで、少しの間があいた。



「先ほどは、助かった……ありがとう」


顔をこちらには向けることなくちょうど中に入ってきた3人のオペレーターの方へ歩いていった。

すれ違いざまに気が付けば握っていたナイフを奪われていた。






はあ



疲れた



この水銀もあの球体も、持ち帰って”あそこ”で実験や研究が行われるのだろう。



今回で俺のこの力についてもハッキリしたことがあるし、帰れば忘れないうちにと

即座に聞き取りが行われるだろう。





「せめて、帰りの運転は緩やかであってほしいねぇ……」















意外とあっけないなんて思われる方がいるんじゃないでしょうかねw

とりあえずは一場面終了って感じですね!!

さて次回はどうなることやら(どうしよう)

ご指摘や感想、アドバイスなど頂けると喜びでむせび泣きます!


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