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Product ~特殊性質発現体~  作者: 納豆TKG
3/5

File.3




銃声が響いた。




そこには拳銃をしっかりと両手で構える白衣の女性の姿があった。


水銀のようなものは弾が効いたのか、素早く望遠鏡の中へと戻った。

それとほぼ同時に、オペレーターの一人が負傷したオペレーターに駆け寄り回収をした。


「外の二番隊と合流して応急処置をしろ!!」

「了解!」


「目標捕捉!! 発砲を許可する!!」


合図と同時にオペレーター達が望遠鏡に向かって一斉射撃を始める。


その轟音の中、無線を入れた。


「こちらニシムラ!! 負傷者とオペレーターを外に向かわせた!! 車両に戻り治療を開始しろ!!!」

『了解、応援を向かわせますか?』

「問題ない!!! だが数人は引き続き周囲を警戒して指示を待て!!」


そう告げると銃弾が絶えず放たれる望遠鏡を見据えた──












目の前の光景にただ突っ立ってるしかなかった。

水銀みたいなやつにヘルメットがやられて、ニシムラが銃撃って乱射が始まって……

俺の働きが成功に関わるだって?もう終わりじゃねぇか。

原型をとどめていない望遠鏡だったものを見てそう思う。


そうこうしているうちに、響き渡っていた銃声が止んだ。

ライトの位置的に見えずらかったが、銃の弾倉を交換しているのだと確認できた。


「ドクター!!射撃を続けますか!!」


再び銃を構えたヘルメットが興奮気味に叫んだ。


「いや、いい。だがまだ構えとけ」


そう言うと、ニシムラは白衣のポケットから何かを取り出し

望遠鏡だったものの近くに向かって転がすように投げた。


それはテニスボール台のいびつな形をした何かだった。

20面ダイスとか言ったか、それに凄く似ていた。


「がっ」


それが機械音を立て、頭を鈍器で殴られたような感覚がして

気が付くと尻餅をついていた。


「あれはプロダクトを沈黙状態にさせる特殊な電磁波を出すものだ。疲弊しているプロダクトほど効果が強く表れる」


こちらを見ながら丁寧に説明をしだした。


「俺に効くんじゃねぇか!!使う前に言え!!」


「先に打った特性剤の中に一時的な抗体を混ぜておいたのだが、やはり起動時の衝撃は打ち消せないか……」


それから改良とか実験とかブツブツと呟いていた。


望遠鏡から破壊音とともに鉄塊が辺りに飛び散るまでは。



直撃した者、かすめた者、奇跡的に当たらなかった者、

それぞれ怪我や反応に違いはあったものの一つだけ共通した物があった。


目の前のモノを見て、硬直する





望遠鏡があった場所に、元からそこにいたとでもいうように


獅子の頭を持った怪物が、堂々と二足で立っていた。


その身体は水銀のように白い光沢を放っていて、身長は2.5メートル程だろうか。


「XXXXXXXX!!!」


今度は天文台内に怪物の咆哮が響き渡る。

ハッキリと伝わってくる敵意、それぞれに顔を向け睨みをきかせてきた。


「ド、ドクター!!次の指示は!」


そう言って銃を構え直したヘルメットに続いて他の奴らも銃口を怪物に向けた。


「……対象への射撃を続行!! 沈黙させろ!!」


一斉射撃がまた再開する。

怪物には意外にも有効なのか、腕で頭や胴体を守っている。

ニシムラもしっかりと銃を撃っていた。


「いつまで座っている!!」


そう言われ、すぐさま立ち上がる。

けど


立ったところでどうなる。


目の前の光景を見て実感する。


怪物がついに片膝をついて、終わりが近いことも予想できた。





だがそんな予想を裏切るように怪物は右腕を振りかぶり、一人分の銃声が消えた。


「がああああああああああああああああ!!」


ヘルメットの右胸当たりを怪物の腕からのびた水銀が貫いていた。


「ちくしょぉおおお!! くたばれええええ!!!!」


しかしヘルメットは勇敢にも銃を構え、怪物に銃弾を撃ち込んだ。

が、先ほどまで確かに効いていた銃撃は虚しくも怪物の身体に吸収されるような形で終わった。


「は……?」


怪物はそのまま右腕を勢いよく振り回し、刺さったヘルメットごと他のヘルメットを薙ぎ払った。


「こいつ”適応”している!!」


怪物の頭部に銃を撃っていたニシムラが白衣のポケットから取り出した物を投げつけた。


「またあれか──」


そう尋ねかけた瞬間に爆発が起きた。


「あれは小範囲の手榴弾だ!! しかしまずい!! 戦闘オペレーターが多数負傷、銃撃無効化、状況は明らかに悪い!!」

「んなことわかりきってんだよどーすんだ!!」



その時、身体に電撃が走る。

正面から何かを感知する。


正確には、ニシムラに向かって何かが迫っているような気がした。


考えるよりも、言葉よりも、行動が先を行った。



ニシムラを突き飛ばした時には水銀がすぐそこまで来ていた。




ああ


これで終わりか


結局こいつらに利用されて


なんもわからないまま














────お兄ちゃん────














まだだ


まだ終わっちゃだめだ






ここで諦めるわけには──


「いかねぇんだよっ!!!!」


無意味だとわかっていても、右手に握ったナイフをただ全力で振った。







────

『そんな……ありえない……いくらプロダクトとはいえ身体は人間。詳しい検査はまだだけど君の特性は戦闘向きじゃないのは確かだ! ……キリジョウ博士!』


『その通りっ!! 素手や刃物どころか普通の銃弾や砲弾だって通用しない、そんな常識外れの塊がプロダクトだっ!!! それを”がむしゃらに突っ込んでった”!? それで沈黙状態にできるなら我々にこんな大掛かりな研究施設も収容所も必要ないっ!!!!!』


『回収したP-382-3には通常の刃物および銃弾は当然ながら効果がありませんでした……』


『だろうねっ!! なら君の本命の特性は”探知”が付属されている……』




『産物への”有効攻撃”ってことかい?』

────












目の前で水銀が弾けた。

正確にはナイフが水銀を切り裂き、切断された先端が軽くしぶきをあげた。

先のなくなった怪物の腕は力なく床に落ち、ゆっくりと元に戻る。

怪物は不思議そうにこぶしの無くなった腕を見ていた。


「おい……P-30、何をした……?」

「さあな、アイツの仮説とやらが証明されたんじゃねぇのか」


真正面にいる怪物を青いオーラのようなものが覆っているように見えた。


「XXXXXXXXXXXXXX!!!!!!」



怪物から発せられる雄たけびと共に標的は一つに定まった。

先ほどまでオペレーターを貫いていた腕はすでに新たな敵を抹消すべく振りかぶられていた。






刹那



水銀が青年に迫る。




「オラッ!!!」




銀色の槍は届かずナイフに弾かれる。


青年は刃先を怪物に向け、怪物に言い放つ。


「今度は、こっちの番だ」




















色々と明かされてきましたけどねぇはい。まだ謎が残る感じですかね。

まあようやく戦闘開始といいますか結構回りくどかったかな?なんて思っちゃってますw

ご指摘や感想、アドバイスなど頂けると喜びでむせび泣きます!


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