2-15 新機能『ゲーム』と、属性の可能性。
宜しくお願いします。
――― R4075年7月15日(風)21:00
風の集落の祠の迷宮は出現こそしていたが、迷路への侵入を阻むかの様に出入口に強力な結界が存在し、出現から1ヶ月以上経過した今も未だ攻略は行われていなかった。
迷宮についても、統治全権を与えられていたイディアン伯爵が卒去した為、帝都(皇帝)に確認する必要があると言われ迷宮の調査は何も進展しなかった。もっとも管理責任の所在について話が出来ない現状にあって出入口の結界を解除し誰でもが自由に出入り出来る様にする気などサラサラ無い。
奴隷階級として監視域に隔離管理されている樹人族に関しては、皇帝の判断を待つ事になった。森林都市フィーラから帝都へ連絡鳩を飛ばし返答が連絡鳩で戻り次第、ゼルフォーラ王国のフォーラムへ連絡鳩を飛ばし結果を伝えて貰う事なった。
親書は、統治全権者に読まれる事の無いまま総督執務室の机の上に置き去りにされた。前任のイディアン伯爵に宛てたゼルフォーラ王国聖王イヴァン・ルーリン陛下からの親書は、前任の死によって紙屑と化した。
外交使節団親善交流第1回は、ヴァルオリティア帝国の森林都市フィーラの全権総督一族の焼死によって、到着から約5時間で何の成果も無いまま失敗に終わった。
ゼルフォーラ王国の外交使節団は、統治者とその一族が不在となった慌ただしいフィーラに留まり続ける事を断念し、フォーラムへの帰路に着いた。
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そして、俺は、スタシオンエスティバルクリュの中空の離宮の神宮殿にあるフォルティーナの寝殿に居る。
「結局、何をして来たんだね?」
「フィーラの港と馬車の窓からの街の風景と行政府庁舎と総督邸と競技場を見て帰って来ただけでしょうか・・・」
「ハッハッハッハだね」
「それで、レミレリラスを売りに神界に戻ってる時に連絡して済みませんでした」
「気にする事は無いね。それより見たかね。全部売るのには時間が必要だと思っていたんだがね。貴金属でも鉱石専門に扱っているダーマ鉱石店に持ち込んだらだね。全部まとめて買ってくれたね」
「へぇ~・・・因みにですけど鉱石の専門店って神界や神域には何軒程あるんですか?」
「う~ん・・・1000軒以上はあると思うね」
「意外に鉱石って需要が高いんじゃないんですか?」
「分からないね。コルト下界の人間種の数は8億人。神界と神域の住民は888億人」
「へぇ~・・・」
「人口の話は今はいいね」
人口の話を始めた貴方ですけどね・・・
「何と、・・・ロイクがサクッと生成し、あたしが持って行って帰って来ただけで、何と、・・・売上金は、何と、・・・ゴッドマネーが、何と......
随分、引っ張るなぁ~・・・
......何とだね。あたしの予想を大きく上回り108億ゴッドマネーだったね」
「10億とか言ってませんでしたっけ?どんな詐欺して来たんですか?」
「・・・暫く神界に帰っていない間に、相場が10倍以上になっていたね」
暫くって、確か先日創造神様に説教されに帰りませんでしたっけ?まぁ~どうでも良いか・・・
「うんうんだね」
フォルティーナは、女神の笑顔で俺を見つめていた。
「どうしたんですか?」
「ハゲ無くなるね。保障するね」
「・・・それは・・・どうも・・・」
「さて、ここから本題だね」
「本題ですか」
「当然だね。ロイクがあたしに贈って来たドラゴンだがね」
「はい」
「餌を間違えてしまったね」
「はぁ?」
「餌を間違えてしまったね」
「え?」
「餌を間違えてしまったね」
お前は壊れた何かか・・・
「そうじゃなくて、餌を間違えると何かあるんですか?」
「聖邪獣用の餌を与えてしまったね」
「専用の餌があるんですか?」
「あたしの血と汗と愛と希望とが滲む努力の結果生み出した。『The・大人の黄昏』市販された種族年齢健康状態に合わせて配合した餌があるね」
「市販してるんですか凄いですね」
「売ってはいないね」
市販って言ったら、売り出してる事なんですが・・・
「そ、そうなんですか」
「当然だね。余りの効力に驚いた創造神が販売中止を決定したね。創造全世界から回収するのに2億年もかかった迷惑な商品だったね」
自業自得だな・・・
「それで、そんな迷惑な商品をどうしてまた?」
「回収した商品はそっくりそのままあたしの在庫だね」
「そうなりますね。在庫というか寧ろ廃棄処分決定ですよね」
「あたしは、勿体ないと思ったね。売ってはいけないと言われただけで使ってはいけないと言われてないね」
・・・ダメだこの人。絶対ダメなパターンの人だ。
「それなら自分で使えば良いと気付いてしまったね。全種族全年齢健康状態対応でまだ4億年分は残ってるね。餌に余裕があるって素晴らしい物だね」
「それで、何を間違ったんですか?」
「青年期のロッシュドラゴンにオブシダンドラゴンの餌を間違って与えてしまったね」
「はぁ~・・・間違うとどうなるんでしょうか?」
「ロッシュドラゴンからオブシダンドラゴンに進化してしまうね」
「へぇ~それって問題あるんですか?」
「ありありだね。自然界に放せない。干渉出来ない存在になってしまうね」
・・・うん?干渉出来ない!・・・俺のドラゴンを使役してみよう計画が・・・
「まさかと思いますけど、ラーヴドラゴンの幼竜にも何か好からぬ事を?」
「安心するね。ラーヴドラゴンの幼竜は、ルージュドラゴンのままだね」
「えっと、名前が変わってますよね?」
「呼称が変わっただけで、コルト下界ではラーヴドラゴン。精霊界や精域ではサンルージュドラゴン。神界や神域では神格を持ったルージュドラゴンと呼ぶだけで、対して違いは無いね」
「精霊界の方が神界より呼称が立派なんですね・・・・・・神様増やしちゃったんですね」
「容姿や名前で人を判断してはいけないね。それに神が増える事は良い事だね」
人って・・・
「良いかねロイク。確かにだね。あたしはちょっと餌を間違えたね」
ちょっと・・・って
「ロッシュドラゴンを数ある上位種の中で、もっとも弱い種オブシダンドラゴンに進化させてしまったね。あぁ~やってしまったと思ったね。だがだね。物事には失敗は付き物だね。今回の失敗をバネに上を目指す事の方が重要だね」
・・・
「そして思ったね。あっ!そんなに問題じゃないじゃんとね」
コルト下界の生体系自然界に干渉した訳だし問題だと思うんですが・・・
「どうせ貰い物だし。あたしのところで死ぬまで面倒みていればバレ無いね。所詮ドラゴン種の寿命何で長くて8000年だね」
「預かって貰っただけですよね?」
「そういう見方も出来ると思うがだね。だがだね」
どう反応して良いのか分からないから無視で行こう。無視で。
「だが安心するね。神格持ちになったルージュドラゴンの幼竜は、ロイクがあたしに贈って来た時には会話も覚束ないオムツ娘だったがだね。神格を持った事であら不思議いつでもどこでも自由に会話が出来る様になりました。寿命もアルとほぼ一緒。悲しい別れはずっと先になりました。しかもしかもしかもだね。青年期に入るまで後100年は必要になりました。残念な事に化現は能力不足でまだ無理だがね。これでロイクの使役神獣としては条件クリア。はい万歳だね」
何を言い出してるんだこいつは?
「つまりだね。100年間は幼竜のままだね。だがオムツのレディーだね。ドラゴンのままの姿で存在するね」
「それは、聞いてたんで分かります。神獣様が人間に使役されるっておかしいですよね?」
「何を言ってるね。神獣が嫁で、大上神が嫁で、大精霊が嫁で、魔界の魔王の孫が嫁で、人間の嫁が何十人も居るロイクが今更神を使役したからと言って驚かないね」
・・・嫁ってそれも問題だけど・・・使役って
「ロイク。君は難しく考え過ぎだね。ハゲるね!・・・簡単に考えるね。神格を持った神を部下の様に愛玩動物の様に契約奴隷の様に扱うだけだね」
・・・俺を地獄に落とす気だこいつ
「神様をペットとか奴隷とかそんな事出来る訳無いじゃないですか!」
「意味が分からないね」
分かれよ・・・あっ!すみません。頼むから分かってください。創造神様助けてください。
≪ジャジャジャジャーン
「あっ!創造神様からのメールです。フォルティーナ覚悟しててくださいよ」
「何をだね」
「神様を奴隷にして良いなんて世迷言を言ってるからお説教が来ましたよ。【タブレット】『表示』創造神様からの最新メール ≫」
≪・・・表示しました。
***********************
差出人:KAMIsama
宛先 :Roiku Rulin Charrette
件名 :プレゼントBOXへGO♪
プレゼントBOXに素敵な贈物があります。
受け取って下さい。
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「説教じゃ無いみたいです」
「当然だね。先日・・・何でも無いね」
「『表示』プレゼントBOX ≫」
≪・・・表示しました。
***********************
≪プレゼントBOX≫
①神授スキル【使役の極意】Lv10
②神授JOB【神獣使い】Lv10
③神授JOB【聖邪獣使い】Lv10
④神授スキル【聖人教会】Lv2
⑤神授スキル【全属性の心得・極】レベル10
⑥神授スキル【マテリアル・クリエイト】
スキル分割※使いやすくなるよ※
1.『創造・小』
2.『生成精製』
3.『合成加工』※存在する存在を合成※
4.『分離分解』
5.『解体分割』
5.全スキルの関連付け終了
1⃣スキル【解体】
2⃣スキル【解体・特】
3⃣スキル【解体・極】
※『解体分割』と統合※
4⃣スキル【加工・基礎】
5⃣スキル【加工・全】
6⃣スキル【加工・万能】
7⃣スキル【上位加工・全】
8⃣スキル【上位加工・万能】
※『合成加工』と統合※
※神授スキル【加工・自然魔素】は、
既に関連付けが完了している※
⑦神授スキル【タブレット】強化
1.特典付き『ゲーム』機能
※今直ぐゲームへGO!楽しいよ※
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「ゲームをやると良いみたいです」
「表示するね」
「はい。・・・『表示』ゲーム ≫」
≪・・・表示しました。
画面には、3枚のトランプカードが伏せられ並べられていた。
≪指示に従いカードを1枚選んでね。
「ロイク。真ん中を選ぶね」
「真ん中ですか?」
「あたしを誰だと思っているね。運の神だね。運の事ならあたしに任せるね」
「これ、ゲームですよ」
「尚更だね。あたしを誰だと思っている。遊びの神だね。遊ぶにことにかけては誰にも負けないね」
そこでドヤ顔要らないから。・・・別を選んでグチグチ言われるのも嫌だし・・・従っておこう。
「・・・真ん中ですね」
「いや、待つね」
「どうしたんですか?」
「これは、罠だね」
「罠?トランプ3枚の中から1枚選ぶだけですよね?」
「あの創造神がそんな簡単な事を私達にさせる訳が無いね。・・・ここは右だね」
「・・・それじゃ右を選びますよ」
「いや・・・ここはそう思わせておいてからの左だね」
「左ですね」
「いや待つね。ここはまさかの選ばないというのはどうだろうだね」
「・・・それ、創造神様からの遊ぶと楽しいよを確実に無視する事になりせんか?」
「いや、十分遊んだね」
「は?」
「これは、新しいタイプの神経衰弱ゲームなんだね」
「何ですかそれ?」
「良く考えるね」
「はぁ・・・」
「3枚しか無いという事はだね。確実に衰弱するね」
「・・・真ん中選びますね」
≪ピッ
「待つね・・・・・・何て早まった事をしてくれたね。どうなっても知らないね!」
カードがひっくり返ると、カードにはフォルティーナの水着姿の写真が描かれていた。
≪大当たり♪フォルティーナのコルト下界での干渉規制を緩和します......
***緩和された事***
1.神気干渉を108万から1108万へ
2.眷属の神気を2倍に
3.悔しいからコルト下界の創造神の眷属
の神気を3倍にします。
4.神授スキル【Baiser】付与
『Yes』 OR 『No』
***説明おわり***
......ご利用は計画的に。更新する場合は『Yes』を選択してください。
「な、何て事をしてくれたんだね・・・ろ、ろ、ロイク。君は・・・」
フォルティーナは、身体を小刻みに震わせながら俺に近付いて来る。
「フォルティーナ。落ち着きましょう。まず落ち着きましょう。今の聞いた限りでは良い事だったと思うんですけど・・・Yesを選択して良いですよね?」
「当然だね。さぁ~迷わず押すね」
って、言うか。フォルティーナの神気って干渉規制が緩和されてる状態で、1108万って桁おかしいだろう・・・
「干渉規制が緩和されて、3%も神気をコルト下界で解放出来る様になったね。しかもだね。ベーゼまで手に入れたね」
「そうみたいですね・・・3%で1108万ってどんなに凄いんですか!」
「当然だね」
ここで、ドヤ顔って・・・あっ当てっるか・・・
「それはどうでもいい事だね。ベーゼを手に入れたという事はだね。干渉規制の中にあって干渉されていないのと同じだね」
「は、はぁ~・・・?」
「さぁ~ロイク。迷わずあたしの唇を奪うね」
「どうして、今の流れでそんな話に?」
「ロイクのKissであたしは生まれ変わるね」
「また変な哲学ですか?」
「違うね。たった一度のKissであたしは強くなるね」
「詩的というか哲学その物じゃないですか!」
「・・・分かったね。Kissだけでは確かに興奮し発情し欲情し行き場を無くしたロイクが哀れだね。この際最後まで一気に駆け抜けようだね!」
・・・
「俺、実験の続きがあるんで、スカーレットに戻りますね」
関わって居られん。
「明日の14時から16時は本殿に待機する様にするんで、フォルティーナも一緒にお願いしますよ」
「なっ!冷たく突き放してぇ~か・ら・の・・・指名かね!」
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俺は、エルドラドブランシュの屋上にある研究施設に移動した。
創造神様からいただいた新しいスキルを見て気付いた事がある。魔水に清澄魔力を溶かし込もうとするから失敗していた。水と清澄魔力を混ぜ合わせた物を始めから【マテリアル・クリエイト】で創造してしまえば良かったという事にだ。
【マテリアル・クリエイト】『創造・小』火属性の自然魔素水 ≫
出来た。これなら簡単に出来る。・・・・・・でも待てよ。これだと量産出来ないぞ・・・『創造・小』だけは並行して何重にも発動(自立型大量生産)が出来ない。・・・・・・
俺は、久々に考えた。そして、1つの結論に到達した。
『生成精製』で各属性の清澄魔力と魔水を作り出して、『合成加工』で各属性の清澄魔力と魔水を合成して、自然魔素水を作り出す。これを繰り返す魔法を『創造・小』で創造して、『創造・小』で創造した小型版の界の中で循環させれば・・・
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地属性、水属性、火属性、風属性、光属性、闇属性、無属性で、清澄魔力の自然魔素水を作り出す事に成功した。
創造神様からいただいたばかりの神授スキル【マテリアル・クリエイト】の『創造・小』は、今朝の時点で半径10m以内の球体までしか、自然循環を維持させる事が出来なかった俺の能力を飛躍的に高めてくれていた。実験の結果、最終的に半径66m以内の球体まで自然循環を維持させる事が可能だった。循環する質量はざっと約43倍だ。自然循環をサポートする無属性の清澄魔力だけは、43倍で利用する事は出来ないが、それでも1日に1リットルの各属性の清澄魔力の自然魔素水を約8000本も準備する事が可能な計算だ。タブレットで計算したところ、自立自然循環期間も1000年から8万年に延びていた。
また、神授スキル【マテリアル・クリエイト】『合成加工』には思わぬ副産物があった。
当初、魔水に火属性や風属性を溶かし込む方法として考えていたのは、溶かし込む事に成功していた地属性に火属性を組み合わせるという物だった。2つ以上の属性を並行(同時に)発動させ様な高等な物では無く、自然魔素としてもっとも安定している地属性に不安定な自然魔素を後から帯びさせるつもりだった。つまり属性の合成或いは統合という方法だ。新しくいただいたスキルによって問題が解決した為、この実験は自動的に第2段階へ移行した。
各属性自然魔素の追加干渉と並行干渉の実験だ。
***副産物***
※同じ強さの魔力を発動させ実験※
【地】追加【火】は、【溶岩】【高温】
【水】追加【火】は、【蒸気】【濃霧】
【地】追加【風】追加【蒸気】は、【落雷】
【水】追加【風】は、【氷雪】
【蒸気】OR【濃霧】追加【風】は、【凍結】
※どうやら事象の温度を管理する事と、
事象への干渉のタイミングを管理する事で、
規模や状態を管理する事が出来る様だ※
※他にもあったが、相関関係による優劣位が、
基礎になっている事に代わりはなかった※
***おわり***
自然魔素そのもので魔術や魔法の威力を調整するよりも、異なる属性を混ぜ合わせる事によって威力を調整した方が少ない【MP】消費、集積量で大きな効果が得られる事が分かった。
そして、本当の意味での副産物は、雷や氷や霧の統制方法に気付いた事だった。この発見以降、俺の対人間においての戦闘スタイルは様変わりする。
大規模な濃霧を発生させ、濃霧の内側だけを高温にしたり凍結させたり爆発させたり、自ら切り込んだりする。姿を目撃されない、魔法を目撃されない、『視界ZEROスタイル』。
発動条件を活かし離れた場所からでの落雷や地面に張った水や濃霧に微弱の雷を放ち麻痺気絶させる。状態異常攻撃を物理攻撃や魔法攻撃で直接行うよりも麻痺や気絶時間も短く身体への負担が小さい、『意識ZEROスタイル』。
姑息かもしれないけど、目立たない事が重要なんだ。俺は自分に言い聞かせ、次々と暗躍型のスタイルを魔法の運用方法を検討しながら考案した。
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――― R4075年7月15日(風)27:30
俺は、エルドラドブランシュのファミリーエリア3階にある自室寝室のベッドに、マルアスピーと横になっている。
「明日から四大属性と無属性の清澄魔力の自然魔素水を使ったお菓子を作ってみるわ」
「上手く行ったら領主の権限を思いっきり行使して、街の商業地区の中心地のド真ん中に店を出店させます。家の厨房から直接店の厨房に行けるように空間固定のドアをフォルティーナに2つ頼んでおいたので、ロイスピーの美味しさと効能の秘密は保障されたも同然です」
「随分厳重なのね」
「そうですね」
「フフフッ。それで、新しい属性かもしれないという話なのだけれども、雷属性にとっても近い神様からの天罰の規模と比べるととても弱い物を発動させる事が出来たのよね?」
「はい、天から降る落雷に似た感じの物を発生させる事が出来たんです」
「前に、自然魔素を液体と固定で管理するスキルをいただきましたよね。あれと、今回の清澄魔力の自然魔素水と煮詰めた物は何か違うの?」
「あっちは、回復道具としては機能してないんです。あれ以上変化しないんです。それと、俺の魔力が綺麗な清澄魔力なのは、創造神様から【清澄魔力変換】をいただいていたからですね。実験で偶然気付いたんですが、無属性を起点にして各属性の統制を行った時に、運用魔法でそれぞれの属性に変換してロストを軽減しようと発動させたら、変換させているのに、全ての属性が清澄魔力として運用されていて100%活用が可能な状態でした」
「そうなのね。それでロイクは魔術が苦手なのね。魔術は体内の【MP】を使いたい属性に変換して発動させる属性の活用方法でしょう。今の状態だと何をどんなに加減しても威力がとんでもない事になってしまうもの。魔法を加減して扱える様に練習した方が良いって事ね」
「そうなりますね。ただ、自然魔素が存在しない場所があるとは思えませんが、四大属性も非四大属性も無属性も存在しない場所があるとしたら、自分の中の【MP】を利用して属性を活用する方法も重要なんですよね。神気に属性を帯びさせるにしても活用出来ないとどうしようもないですから。もっともその為に、自然魔素液体管理と個体管理のスキルがあるんですけどね」
「どういう事?」
「自然魔素が存在しない場所に、各属性の自然魔素を液体や固体で持ち運べるって事です」
「なるほど」
「自然魔素そのものなんですよ」
「戦いの方法なのだけれど」
「はい」
「姿を見られない様に戦うのなら、不可視化(透明)のスキルを使った方が早くありませんか?」
「考えたんですが、それって接近する事になりますよね?感知、警戒、索敵のスキルや、警報の魔導具のレベルや質が高いと意外に使えないんですよ。さっき試したんですが、俺の警戒スキルを一次的に付加させた純度100%のレミレリラスの指輪だと常に感知しちゃってる状態でした。ハハハ」
マルアスピーが俺に抱き着いて来た。
「どうしたんですか?急に・・・」
「フフフッ。今度、精霊界を案内してあげるわ」
「精霊界をですか」
「えぇ。精霊界へは自由に転位移動出来るはずよね」
「やった事は無いですがそのはずですよ」
「精霊王様の王宮の近くにもロイスピーの支店を出店するの。精霊は甘いお菓子が大好きなの。意外かもしれないけれどとっても食いしん坊なのよ」
・・・・・・意外には思いませんが・・・
「これで、精霊界で使えるお金も手に入る様になるわ」