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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーアシュランス王国建国編ー
90/1227

2-9 愛と憎しみの館と、溝鼠ザラストロ。

宜しくお願いします。

***********************


 差出人:KAMIsama

 宛先 :Roiku Rulin Charrette

 件名 :邪神竜からの報酬

 件名 :魔界とコルト下界で愛を叫ぶ


 ≪邪神竜からの報酬≫


 邪神竜からの報酬です。


 ①神獣種神竜類の長『五爪帝神竜(アンペラルドラゴン)』との

  交渉権12枚+1枚

 ②神獣種神竜類『邪神竜』の誓い

  1:【召喚の盟約】※正規契約※

  2:祝福・信頼の証(【反映】10%)

  【神気】500の10%=50付与

   ↓※神授スキル【運の暴走】発動

   ↓※邪属性の心得+50

  ☆②【GMP(神気力)】+50

 ③竜神具:『神竜の堅鱗の調帯』

  ※1⃣空中飛行・静止※

  ※2⃣空中歩行・浮遊補助※

  ※3⃣JOB:ドラゴネットライダー(幼竜乗り)の付与※

  ※4⃣ドラゴンメイド協会一般会員証※

  ※全ステータス値+50000※

  (【SMP】と【GMP】と【LUK】以外)


 非リュニックファタリテ(装備者指定武具)です。


 以上です。


***********************

 

***********************


 ≪魔界とコルト下界で愛を叫ぶ≫


 愛だけで世界を救う事は出来ません。

 地位や役職の放任は親権放棄と同じです。


 ()()(しょう)()(めっ)


 力は求めに応え、知識と知恵と可能性を与えよ。


 愛憎の女神は歌う。


 愛の消えた心の隙間に、憎しみは谺し願うだろう

 どうせ消えてしまう愛だから

 その愛も、あの愛も、壊してしまえ

 どうせ壊れてしまう愛だから

 どの愛も、夢見る前に壊してしまえ


 魔界では愛憎や偽善を賛美する歌が

 絶賛大ヒット中です。


 愛憎の女神の神気が急成長中です。


 そんな女神が、コルト下界から旅立って、

 かれこれ25年が経ちました。


 コルト下界のトミーサス王国にある

 愛と憎しみの館のクールポルトゥ(心の門)

 開門します。

 

 座標:Colt-c255-to133-lo255-ré98


 一般公開に先立ち、ロイクファミリーを

 招待します。


***********************


「なるほどだね」


「なるほどって、フォルティーナ。本当に意味が分かったんですか?」


 俺は、宙に映し出されたタブレットの画面から、フォルティーナへ視線を動かした。


「当然だね」


 ドヤ顔で仁王立ちする全裸の運と遊びの女神がそこにいた。


 堂々と堂々と。


「フッ」


「な、何ですか今のは!」


「勇気が有れば何でも出来るね。その勇気温泉以外の場所でも見たいものだね。ハッハッハッハ」


 仁王立ちのまま豪快に、それでいて優雅に爽快感溢れる笑い声が響く。


「それで、フォルティーナ様。この(・・)と憎しみの館というのは何ですか?」


「平たく言えば、愛憎の女神の寝殿だね」


「え?愛憎の女神様ってこの世界に住んでたんですか?」


「当然だね。愛と憎しみが存在する。人間種の多い世界や悪魔種の多い世界は、愛憎の神にとって最高の環境だね」


「なるほど」


「ねぇロイク」


「はい、何でしょう?」


「トミーサス王国に住んでいた愛憎の女神様がこの世界を旅立ってから25年経つのよね」


「そうみたいですね」


「愛憎の女神様は、人間種達がヒグマの丘と呼ぶ丘に憎しみの力を解放して、邪気の洞窟を作った神様よ」


「トミーサス王国にある愛と憎しみの館と邪気の洞窟には何らかの因果関係があると?」


「分からないわ。単なる偶然かもしれないのだから」


「ロイク様。創造神様からの御招待です。皆で明日にでも行ってみませんか?」


 アルさんは瞳をキラキラと輝かせ行きたいですオーラを全身から放っていた。


「愛の分野の最高神の館だからね。アルにとっては夢の様な話だね。分かったね」


「何が分かったんですか?」


「明日は、地下0階(れいかい)(・・)には行かないね。皆で愛憎の女神の寝殿に行って来ると良いね」


「あれ?フォルティーナは行か無いんですか?」


「・・・面倒だね。大上神以上の神の家に行く時は、正装するという馬鹿らしいルールがあるね」


「あぁ~それで、知の神様の神殿にも顔を出さないんですね」


「神殿は正装の必要はないね。面倒なだけだね」


 結局、全部面倒なだけじゃないですか・・・


「明日は、あたしが転位で送迎してやるね。詳細な座標が書いてあるね」


 俺は、タブレットの画面に視線を戻した。


「この座標:Colt-c255-to133-lo255-ré98ですね」


「これは、便利だね」


「分かりました。明日も修練を休みにします。創造神様からの招待ですし、愛憎の女神様の寝殿『愛と憎しみの館』に行って来ます」


「それで良いね。ロイクがメインで招待されているね。連れて行く相手は自由に決めると良いね」


「ロイク様」


 アルさんは、俺の前で祈る様なポーズで懇願する。


 凝視・・・


「フッ」


「フフフッ」


「ち、違う・・・・・・アルさんを連れて行か無いのは愛への冒涜な気がします」


 何とか誤魔化せたか?


 俺は、フォルティーナとマルアスピーをチラ見した。


 凝視・・・違う、目的が違うぞ俺・・・


 ドヤ顔のフォルティーナと、普通に可愛い微笑みのマルアスピー。


「ありがとうございます。ロイク様ぁ~」


 そして、俺は、アルさんに抱き着かれました。



――― R4075年7月14日(火)9:40


「皆、準備は良いかね?」


「「「「はい」」」」


 パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさんだ。


「えぇ」


「はい、フォルティーナ様」


「おい神。この人間に何故同行しなくてはいけないのじゃぁ~」


「トゥーシェ。君はこの中で唯一の汚れ役だね。憎しみ担当御苦労さんだね」


「おい人間。あの神乳(しんにゅう)は何を言ってるのじぁ......


≪パチン


......~ギャァ――― ・・・なのじゃぁ~」


「この戯けがだね。神乳(しんにゅう)ではないね神乳(かみちち)だね」


 ・・・どっちでも同じだろ!


「くだらない事やってないで行きましょう」


「「「「はい」」」」


「それでは、頑張るね」


「頑張る?」


≪パチン



――― R4075年7月14日(火)9:45


 俺は、大精霊マルアスピー、神獣神鳥の長アルさん、悪魔種夢魔族のトゥーシェ、元契約奴隷のパフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさんと、たぶんトミーサス王国にある愛と憎しみの館の何処かに移動した。


「だ、誰だぁ~!」


「え?ロイク様。マルアスピー様。あそこのソファーに誰か座ってます」


 パフさんは部屋の奥100m位離れた所に置かれたソファーを指差した。


 はて?


「おかしいな。俺には何も見えないです」


「えぇ私にも見えないわ」


「はい。私も見えません」


「おい。人間の男。何をふざけてるのじゃぁ~あそこにデッカイドブネズミが座ってるのじゃぁ~」


「「「えぇ~」」」


 アリスさん、サラさん、テレーズさんの3人が悲鳴にも似た声を上げた。


「あれは、ドブネズミなのですか?」


「伝染病や感染症。厄災を集落に持ち込む魔の魔獣ですよ」


 魔の魔獣って言葉が重複してますよ。サラさん。


「なんであんなに大きいのですか?」


 はて?大きいはずなのに、全く見えないけどどういう事だ?


「ガッハッハ。チュー大魔王の朕が見えるとは!愛が不足し憎しみが暴走したかぁ!」


「言葉を喋るドブネズミ・・・!?」


「えっと、パフさん?さっきから何を?」


「ロイク様。あそこのソファーに座ってる大きなドブネズミが人間の言葉を喋ってるんです」


「そうですよ。私達に愛が不足し憎しみが暴走したと暴言を吐いたのです。どうしてそんなに冷静にしていられるのですか?」


「えっと、ごめん。ドブネズミって何処に?」


「えぇ。貴方達が悲鳴を上げ大きな声で独り言を話している様にしか見えないわ」


「そのドブネズミは逃げてしまったのでしょうか?」


「何を仰っているのですか。目の前に偉そうにふんぞり返っています」


「どうやら、その3人には朕の姿が見えて居ない様だなぁっ!」


≪トントントントン


「ロイク様。マルアスピー様。アル様。来ます。回避してください!」


「え?何が?回避?」


「パフちゃん。何を言っているの?」


「何処から何が来るのですか?」


≪チューチューチュー ブーン


「アル様ぁ~」


「アルさぁ~~ん」


≪シュッ―――ウ


「「「「キャァ―――」」」」


「どうされたのですか?先程から変ですよ」


「パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさん大丈夫ですか?」


「ねぇロイク。4人とも寝不足なのかもしれないわよ」


「そうかもしれないです」


「な、何が?」


「アリスさん、サラさん、テレーズさん」


 パフさんは、3人に視線を動かし頷いた。


「どうやらそうみたいね」


「そのようですね」


「何が起こっているのでしょうか?」


「おい。人間の女達。私もいるのじゃぁ~」


「トゥーシェさんにも見えているのですか?」


「当たり前なのじゃぁ~」


「つまり、ロイク様とマルアスピーさんとアルさん以外の私達には見えているという事ですね」


 おや?サラさんとトゥーシェが仲良く会話を始めたみたいだぞ。何か楽しそうだし、トゥーシェは4人に任せてしまって良いかな。



「随分広い部屋ですよねぇ~」


 俺は、グルリと部屋を見渡した。


「そうね」


「はい。流石と言うべきでしょうね。愛憎の女神様の寝殿に相応しい一部屋(ひとへや)です」


「ロイク。あそこにピアノが置いてあるわ」


「そう言えば、マルアスピーはアリスさんからピアノを習ってるんですよね?」


「えぇ」


「弾いてみてくださいよ」


「まだだめよ」


「そうなんですか」


≪シュッ シュッ シュッ


 アリスさんとテレーズさんは、ステップを踏みながら弓矢を射る練習を始めた様だ。アルさんは杖を翳す様なポーズで詠唱の練習を始め、サラさんは狩りの時の様に3人を後方から見守りながらたまにステップを踏んでいる。


 何だ。あの4人は何を始めたんだ?


「折角愛憎の女神様の寝殿に来たのに、あの4人は何をやってるんですかね?」


「昨日、今日と修練をお休みにしました。もしかしたら有り余る体力を発散しているのではないでしょうか」


「修練する時間がないと落ち着かいのかもしれないわね」


「そんなもんですかね」


 まぁ~現に目の前でシャドー相手にステップを踏みながら楽しそうにしてるし。邪魔するのも何だな。


「まぁ~楽しそうだし。俺達は邪魔にならない様にピアノの方に行きましょう」


「そうね」


「はい。その方が良いと思います」


≪テクテクテク


「おい人間の男」


 トゥーシェが近付いて来た。


「こっちに来たんですか?」


「トゥーシェ。貴方は悪魔種の魔王の一族なのでしょう?」


「それがどうしたのじゃぁ~」


「ピアノは弾ける?」


「あたりまえなのじゃぁ~」


「へぇ~トゥーシェにも弾けるんですね」


「私、見直しました」


「ですよねぇ~アルさん。何かトゥーシェがピアノ弾けるって意外ですよね」


「はい」


「何をぉ~ならば見せてやろうではないか拝聴するがよいのじゃぁ~」


 トゥーシェはピアノの椅子に腰掛けると、剥き出しの鍵盤の上に指を置き、


「スー」


 一呼吸おいてから弾き始めた。


≪ジャーン 邪邪(ジャジャ)ー 邪邪(ジャジャ)


「沢山の楽器で本来は奏でる楽曲なのじゃぁ~今日は見せてやるのじゃぁ~ハッハッハッハッハッハッハァ~なのじゃぁ~魔笛(まてき)夜の女王のアリア(わたし)ピアノヴァージョンなのじゃぁ~」


≪♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 一心不乱にピアノを奏でるトゥーシェ。


「トゥーシェさんが輝いています」


「そうね」


「はい。俺もトゥーシェが輝いて見えます」


≪♪・・・・・・・・・・・テロレロテッテェー


「それにしても、トゥーシェが愛憎の女神様にこんな素晴らしい演奏を捧げていると言うのに、あの4人は何をやってるんですかね?」


「そうね。楽しそうなのは良いのだけれど、時と場所という物をもう少し考えて欲しいわね」


「でも、見てください。トゥーシェさんのピアノリズムに4人のステップが重なり出しましたよ」


「ハッハッハッハッハッハァ~なのじゃぁ~♪」


≪♪パッパパララ ♪パッパパララ



※―――


「愛の欠けた人間の女共がぁ~!朕の二刀流戦斧(ダブルアックス)一の舞を受けてみよ」


≪ドーン


「オラオラオラオラオラぁ~右だぁ~」


≪サッ


「左だぁ~」


≪サッ


「右と思わせて左だぁ~」


「アリスさん。左です」


≪サッ


「分かってるわ」


「アリス、テレーズ。3拍子では無く2拍子のリズムよ。ドブネズミの攻撃パターンはクイックよ」


「分かったわ。サラ」


「OK。サラ」


≪ド―ン


≪サッ


≪ドーン


≪サッ


※―――


「何だ?」


「4人揃って、サイドステップでしょうか?」


「パフちゃんはまだ16歳。夢見る年頃だと思うのだけれど、アリスやサラやテレーズまで一緒になってまったくもう」


「フン。♪~~どうなのじゃぁ~。この華麗なピアノの・・・うん?」


 ピアノの演奏が止んだ。


「どうしたんですか?」


≪パーン パーン


「ここの音が1つ半音高いのじゃぁ~これでは、第2幕のFがおかしくなってしまうのじゃぁ~」


「あら、残念ね。トゥーシェ無理をする必要は無いわ。貴方は十二分に輝いていたのだから」


「そうね。トゥーシェさん見直しました」


「そうだな」


「な、こんなものではないのじゃぁ~。聞け人間の男ぉ~」


≪♪タントンタン タッタッタッタテレロレロレン


 トゥーシェは、さっきよりもより一層力強くそして優雅にピアノを奏で始める。



※―――


「ちょこまかたと、仕方ない二の舞を見せてやろう」


≪シュルルルル


≪♪タットンタァーン タットンタァーン


「アリス、テレーズ。私が合図を出したら、アリスは右にテレーズは左に飛ぶのよ」


「「分かったわ」」


「パフさん。2人が左右に回避行動を取ったと同時に、パーンヴェルミオンをドブネズミに放って」


「はい」


「来るわ!」


≪右ドン 左ドン 右ドン ・・・・左ド左ドン


「今よぉ~!」


≪サッ サッ


「パフさぁ~~ん」


「四象四獣四聖四神。青春朱夏白秋玄冬。暦鬼驩兜黄熊淵源。南座の神よ心に示したまえ火属性(きわみ)魔術【パーンヴェルミオン】≫」


≪♪・・・・・・・・・・・・・・・


「何?火焔の孔雀だと!?・・・貴様。人間の分際で何故それを・・・・・・それにだぁ~朕のマントの裾を燃やすとは万死に値する。死んで朕に詫びよぉ~!」


≪シュルルルルルルル


「サラさん。何だかとっても怒ってます」


「パフさん。問題無いわ。どうせ倒す相手です。泣こうが喚こうが怒ろうが私達の知った事ではありません。さぁ~あの攻撃を回避し、先程と同じ様に行きます。ですが、次は少し違います。アリス、テレーズ回避しましたら、直ぐに詠唱を開始しパーンヴェルミオンを左右から放ってください」


「「分かったわ」」


「パフさんは、2人が詠唱出来る様に、連射をお願いします」


「はい」


「私は、2人の後、パフさんの陰からドブネズミを狙います」


≪シュルルルルルルル


「ガッハッハッハッハッハ。この音楽のリズムに身体が反応し動きやすいわぁ~!行くぞ」


≪右ドン 右ドン 右ドン 左ド右ドン 左ドン 左ドン 左ドン 左右ドドン


「今よ!」


「パーンヴェルミオンいけぇ~いけぇ~いけぇ~いけぇ~」


「何、連射だと?・・・だが甘い」


≪ヒョイ ヒョイ ヒョイ ヒョイ


≪ドーン


「ぐえ・・・何だ!?火焔の隼?・・・弓使いお前もあれが使えるのか・・・」


≪♪・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・南座の神よ心に示したまえ火属性(きわみ)魔術【パーンヴェルミオン】≫」


≪ドーン


「ぐぎゃぁ~・・・な、何だお前もか・・・」


「アリス。詠唱が遅いわ。テレーズと合わせてって言ったでしょう」


「テレーズが早過ぎるのよ」


「まぁ良いわ。パフさん」


「はい」


「いけぇ~」


「甘い。来ると分かっていて回避出来ぬ訳が!?なっ火焔の鷹?」


「・・・【パーンヴェルミオン】≫」


≪ドゴーン


「クリーンヒットしたわ」


「グギャギャぎゃぁ~・・・人間風情が朕を本気で怒らせたぁ~!」



※―――


「さっきから、ドブネズミって何なんでしょうね」


「きっとここに来た時に、パフちゃんが始めたイメージトレーニングのシャドーの相手なのよ」


「あぁ~なるほど。さっきのネタまだ続いてたんですね」


「パフちゃんはまだ16歳。夢見る年頃だもの」


「マルアスピー。夢見る年頃でドブネズミはないですよね。ハハハ」


「そうですよね。ロイク様ぁ~フフ」


「それもそうね。フフフッ」


「まったくなのじゃぁ~ドブネズミと戯れて何が楽しいのか分からないのじゃぁ~」


≪♪・・・・・・・・・・・・・・



※―――


「三の舞。【三刀流戦斧(トリプルアックス)・ザラストロの憂鬱】≫」


≪ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


≪♪(ジャ)ァ―ン 邪邪邪邪(ジャジャジャジャ)ァーン (ジャ)ァー邪邪邪邪(ジャジャジャジャ)ァン


「地面が揺れてバランスが取れないわ」


「パフさん。パーンヴェルミオンを連射してドブネズミの動きを少しの時間で良いから止めて」


「はい。いけぇ~いけぇ~」


「ガッハッハッハ。お前がこの中で一番魔力の高い人間種なのだろう。だが大きく目立つ孔雀では朕に届く事は無い」


≪シュー ドッゴーン ドドドド


「いけぇーいけぇーいけぇー」


「何度やっても同じ事よ」


≪カーン


「斧で弾いた?サラさん!このドブネズミ。炎を斧で弾けるみたいです」


「もう少し足止めしてちょうだい。もう少しだから」


「分かりました。いけぇーいけぇーいけぇー」


≪カーン カーンカーン


≪♪(ジャ)ーラン (ジャ)(ジャ)


「良い分かったわね。アリスとテレーズは私がパフさんとさっきやった事を、ドブネズミの背後に回り込んでやるのよ」


「分かったわ」


「散・・・四象四獣四聖四神。青春朱夏白秋玄冬。暦鬼驩兜黄熊淵源。南座の神よ心に示したまえ火属性(きわみ)魔術【パーンヴェルミオン】≫」


「火焔の鷹は貴様であったか。だが正面から馬鹿正直にこの愚か者がぁ!」


≪ブーン


「え?弾くだけじゃ・・・」


「サラさん危ない。いけぇ~」


「おっと!」


≪カーン


「パフさんありがとう!」


「いえ」


「アリス、テレーズ今よぉ~」


「「OK」」


「パフさん連射を私は可能な限り、ギャルドスルーをドブネズミに掛け続けるわ」


「分かりました。いけぇー」


「ちょこまかと、馬鹿の1つ覚えの様に同じ事を繰り返しおって」



※―――


≪♪キラリラリラリラリラリラパッパッパ (ジャ)(ジャ)(ジャ)ラリラ(ジャ)(ジャ)


 トゥーシェのピアノのリズムが3拍子に変わった。


「ロイク様。アリスさんとテレーズさんがこっちに来ますよ」


「アリス。テレーズ。少しは落ち着いてこの部屋」


≪タッタッタッ タッタッタ ザァッ! タッタ


「ブツブツブツ」


「何か詠唱の練習を始めたみたいですよ。マルアスピー。集中しているみたいだし今はそっとしておきましょう」


「それもそうね」


「でも、パフさんは、詠唱では無く連射のイメージトレーニングなのでしょうか?」


「分からないわ」


「あの練習に意味があるんでしょうか?」


「魔術や魔法はイメージが大切ですが、連射は神具の力で発動しているので、あれはどうなんでしょうね・・・」


「おりゃぁ~なのじゃぁ~♪~~」


≪♪(ジャ)ァーラッタ (ジャ)ァ―ラッタ (ジャ)ァーラッタ (ジャ)ララ


※―――

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