2-4 真夜中の墓地と、神出鬼没の迷宮。
宜しくお願いします。
――― R4075年7月12日(地)29:00
ここは、ゼルフォーラ王国の王都モルングレーのカテドラルエリアの旧教(世界創造神創生教)の中央創生教会の裏手側に広がる墓地。日の変わる1時間前、深夜の墓地だ。
運の神フォルティーナ様に言われ、人間族と樹人族と魔人族の死んだばかりの新鮮な死者の魂を1つずつ集める為、闇夜に紛れ怪しまれず作業が出来るこんな時間を選んだ。
狙い通り人気も魂気も申し分無い。神眼を意識し周囲を見渡してみると、意外な程沢山の魂が墓地には存在していた。だがしかし、作業を進める上で抗う事の出来無いどうしようも無い事態に直面していた。
それは、俺では死んだばかりの新鮮な死者の魂はおろか長らく迷い彷徨えるベテランの魂を集める事が出来ないという現実だ。。触れようと近付いた瞬間魂の新鮮さなどお構い無しに死者の魂を浄化し昇天させてしまう。皆何かに満たされた様に溢れんばかりの笑顔を向け俺の傍から離れて行く。
そんな気は無いが迷える魂を救済している事にかわりは無い。墓荒らしをするよりはましだろう。だが現実問題、緊急事態だ。
「さて、どうしたものか・・・このまま戻ったら、フォルティーナに絶対何か言われるな・・・」
≪ガサガサ
「誰ですか?そこにいるのは!」
げっ見つかった!・・・透明化するの忘れた。【透明化】 発動≫
俺は、創造神様からいただいた【大樹撫子の外套・鈍感】を、羽織るだけで不可視化を忘れていた。
「え・・・消え、きえ、き・・・でっ、で、ぎゃ~~~!で、出たぁ~・・・司教様大司教様ぁ~ムスブぅ~・・・ゆ、ゆう、幽霊がぁ~出たぁ~・・・」
幽霊が出た!?何を今更。そこら中に沢山居るじゃないか!それに、むすぶって・・・
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暫くすると、旧教の関係者達が集まって来た。
≪ガヤガヤガヤガヤ
うわぁ~・・・人が集まって来ちゃったよ。
「ワン修道士殿。本当に幽霊だったのですか?」
「聖騎士ツー様。間違いありません。この暑い夏時期に季節外れのコートを羽織り、闇よりも濃い漆黒の髪。あ、あれは若い男の幽霊でした」
「ワン。聖騎士ツー殿。これは何の騒ぎですか?」
「これは、スリー助祭長殿。ワン修道士殿が、幽霊を見たと警備室に駆け込んで来ましたので、確認の為私が同行した次第です」
「おーい。ワン修道士殿がまた幽霊を見たって騒いでるらしいな」
「あぁ~聖騎士フォー」
「さっきの悲鳴は何事ですかな。中央講堂まで聞こえて来ましたよ」
「ファイブ司教様」
「スリー助祭長まで何をやっておられるのかな?」
「修道士のワンがまた幽霊を見たそうなのです」
「ワン。幾つになった?」
「ファイブ司教様。私は今年で29歳になりました」
「はぁ~、ワンよ。幽霊などこの世に存在しない。生ある者が死を迎えた後に残る物は無だけ」
「ですが、今日は前回とは違ってくっきりリアルに見えました」
前回と違う?
「良く見なさい。皆も良く見るのです。世界創造神様に見守られし聖なる中央創生教会を、威風堂々と構える大講堂。弊絶風清により穏やかに眠る墓地。この神聖なる墓地の中で魂がどうやったら迷えると言うのです。良く見るのです。夜の静寂の中、大地も漂う風も安らかに眠っているではありませんか」
そうか?
俺は周囲を見回す。ゆうに300は迷ってるオーラ全快で彷徨っていた。
「皆さん何の騒ぎですか?」
「聖騎士シックス殿。修道士のワンがまた例のものを見たそうだ」
「スリー助祭長殿。それにファイブ司教様まで御疲れ様です。ワン修道士殿でしたか・・・ハァ~今月に入ってから何回目でしたっけ?」
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「スリー助祭長。深夜礼拝が終わりました。修道女達を修道院の母屋へ移動させて宜しいでしょうか?」
「えぇ~構いませんよ。セブン助祭官」
≪ピィ―――――ン ジリジリジリジリジリ
何だ?闇の属性が急に高くなったぞ。
シックスと呼ばれた聖騎士の横に空間の歪みが生じ始めていた。
「おい。聖騎士シックス。夜の迷宮が生まれようとしてるぞ。そこから離れろっ!飲み込まれるぞ」
「お・・・ダメだぁ!右腕が動かん」
夜の迷宮?あぁ~闇の時間の迷宮の事か!あぁやって出現するのか。
「ファイブ司教様。教会内の見回りが終わりましたので我々は聖騎士団事務所に戻りまぁ・・・」
「聖騎士エイブラハム隊長。た、助けてくれぇ~」
あっ!聖騎士エイブラハム・ラモスさんだ。あの時は、スキル【ギャルドスルー】をありがとうございます。それに、司教様!助けを求める前に、まずは貴方が部下達を導かないと・・・
「なっ!なんだ!・・・聖騎士シックス。お前・・・!皆ここから離れろっ!闇が膨らむ、飲み込まれるぞぉ――――~」
え?
≪ガガガガンガガガガガガガガンガガガガ
あ、本当だ・・・シックスって聖騎士飲み込まれちゃったけど平気なのかな?
「ダメだ、このままじゃ皆飲み込まれる・・・皆夜の迷宮にバラバラで飛ばされる前に、手を繋げ服を掴めぇ――――~」
≪キャ~・・・・・
「聖騎士エイブラハム隊長。儂を離すなぁ~ぁ――――」
≪ガガガガがガガガガガガガガ
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・
・
――― R4075年7月12日(地)29:29
夜の迷宮に飲み込まれるって言ってたな。そうなると、ここは神出鬼没の闇の時間の迷宮の中って事だよな。旧教が管理するとか言ってたけど、これ管理出来る人いないでしょう。
俺は、全体的にモヤモヤユラユラと定まらず歪み続ける天井、壁、床、宙を見渡した。
漆黒の迷宮か。両側の壁に等間隔で松明って誰が準備してるんだろう。
『ロイク』
『ロイク様』
どうしたんですか?フォルティーナにアルさん。
『急に、コルト下界から気配が消えたね』
『今どちらにいらっしゃるのですか?』
墓地で死んだばかりの新鮮な死者の魂を集めてたんですが、ちょっとありまして、何か闇の迷宮に飲み込まちゃいました。フリーパスで戻って魂集めを再開します。ただ、ちょっと問題があって集める方法を考える必要があります。
『方法かね?』
そうなんですよ。俺だと近付くだけで、魂が迷ってるとか関係無く浄化昇天しちゃって集める事が出来なくて。
『なるほどだね。あたしとした事が迂闊だったね』
あぁ~なんて言うか。・・・そうですね。
『神気を持つ存在は神なる存在か聖なる存在。動くヴェリテ、カテドラル・タンブルだね』
どうしたら良いですか?
『あぁ~・・・トゥーシェをそっちにやるね』
トゥーシェをですか?
『聖とは真逆の悪なる種族。間違っても新鮮な死者の魂を浄化昇天させたりしないね』
邪落ちとか闇落ちとかしちゃわないですか?
『例え落ちようがだね。あたしのせいでは無いね。新鮮さが重要だね』
何か死者の魂に厳しいですね。
『甘やかしてはいけない存在だからだね。そっちにトゥーシェを飛ばすね。良いかね。人間種と樹人族と魔人族の死んだばかりの新鮮な死者の魂を1つずつだね。間違ってはいけないね』
了解しました。大丈夫ですよ。
≪パチン
運の神フォルティーナ様は指を鳴らした。次の瞬間。
≪ゴン
いてぇ―――!
いたいのじゃぁ~
俺の頭の上にトゥーシェが落ちて来た。
『ロイク。トゥーシェをそっちに送ったね。任せたね』
『ロイク様。起きてお帰りをお待ちしています。早く帰って来てくださいね』
アルさん。ありがとうございます。で、フォルティーナ!
『なんだね。お礼ならいらないね』
いえ違います。どうして、迷宮の中にトゥーシェを?
『届いたかね』
えぇ頭の上に落ちて来ましたよ。
ん?おい人間そこにいるのか?何故見えんのじゃぁ~
ちょっと、黙ってて貰えますか?今フォルティーナと話をしてるんです。
私に指図するななのじゃぁ~
『トゥーシェ。ロイクの指示に従い無事お使いをクリアした暁にはだね。小部屋から1日1時間~2時間外に出してやるかもしれないね』
ほ、本当か?嘘であったら許さないなのじゃぁ~
『神は嘘を付かないね』
・・・胡散臭い約束なのじゃぁ~。だがなのじゃぁ~外出は嬉しいなのじゃぁ~
『ロイク。トゥーシェ。魂を持って帰って来るね。あたしは美容と健康の為にだね』
はい。
分かったのじゃぁ~
『今から寝るね。何かあったら、呼びかけるね。起きていたら答えるね』
こ、こいつは・・・
トゥーシェ!
何だ人間。
股間を触らないでください。
股間だと!・・・げっ人間私に性器を触らせたのか変態なのじゃぁ~
触らせたって何言ってるんですか。触ったのはそっちからですよ。
見えない人間が悪いのじゃぁ~
あぁ~それもそうか・・・【透明化】解除 ≫
「おい人間」
「なんですか?」
「それで、ここは何処なのじゃぁ~ユートピアは何処なのじゃぁ~」
悪魔種トゥーシェは迷宮内を見渡している。
「ユートピア?何言ってるんですか、遊びに行きたいならフォルティーナに頼むと良いですよ」
「ふざけるななのじゃぁ~ユートピアと言ったら処刑場や死体安置所や墓地や霊園の事ではないかなのじゃぁ~・・・だが、ここは力が漲って来る。あぁぁ~良い気持ちなのじゃぁ~」
あぁ~なるほど、悪魔って意外に想像の通りの存在なのかも。
「・・・ユートピアならここの外です。聞いて無かったんですか?今、闇の迷宮の中にいる可能性が高いんです」
「ほうぉ~。居心地の良い場所では無いか」
何か口調が変わったぞ。それに、見た感じは変わんないけど、雰囲気が艶っぽく成ったというか・・・
「そこの人間の坊や」
坊や!坊やですか!
「な、何ですか?」
「妾と良い事をしようではないか。折角良い雰囲気の中におるのじゃ楽しもうではないか」
悪魔トゥーシェは、悩殺的なポーズで俺をエロスセンシュアルの世界へ誘おうとする。残念だが、この立ち眩みしそうな歪みの空間の中で追及する事ではない。それに、押しの強い存在は正直苦手です・・・
「妾の誘いに動じないか。やるでは無いか。御褒美に坊やを妾の愛玩動物にしてやろう嬉しいか!」
歪みにあてられたか?コミュニケーション不足で口を開くと騒がしいだけの存在だったが、今日は女王様までチラついてるぞ。
「そんな事をはどうでも良いです。まずは、ここから出て魂集めです」
「あの女神め。あの狭い12㎡程の小部屋に妾を監禁し自由を奪い。快適な寝具と面白い漫画本と甘い飲み物にサクサクの菓子屈辱の限りを尽くしおって・・・その上、強制労働と引き換えに自由をチラつかせるとはまるで悪魔の様な仕打ちではないか。・・・・・・ググゥ!だが自由は魅力だ、あぁ~神とは何と悍ましい存在か」
何か1人で喋ってるけど、もしかして、トゥーシェは今が限りなく自由な状態にあるって気付いて無いのか?まぁ~良い。トゥーシェが居ないと魂を集める事が出来ない訳だし気取られ無い様にしよう。
「そうですよ。自由を手に入れる為に頑張りましょう。俺も手伝いますから」
「人間の坊や。お前はダメな悪魔だったか。妾は今猛烈に感動している嬉しい事を言ってくれるではないか」
言ってる事が良く分から無いが適当に合わせておくか。
「ハハハ。何を言ってるんですか」
本音です。
「俺達。仲間じゃないですか!」
「そうだな。いつか2人であの憎き女神を屠ろうではないか」
「そ、そうですね・・・」
≪ガサッ
「誰かそこに居るのか?」
うん?後方から忍び寄る足音と男の声が聞こえて来た。
このタイミングで人に見つかるなんてついて無いなぁ~フリーパスや転位が使えない。
「人間の坊やよ。どうする殺しておくか?」
そうですね・・・うん?
「何言ってるんです。殺して良い訳ないでしょう」
「だが、人が居ると転位移動出来ないのだろう。ならば一思いに」
「他の手を考えましょう」
「そうか」
「その前に、俺と2つ約束してください。人間に悪魔だと正体がバレない事。人間を殺さない事。良いですね。守ってくれるなら、外出時間を1時間から2時間延長出来無いかフォルティーナに聞いても良いですよ」
「・・・良いだろう」
・
・
・
「恋人同士で夜の墓地を散歩していたら夜の迷宮に巻き込まれてしまったんですか。災難でしたねぇ~」
「そうなんですよ。まさか、夜の迷宮が人間を飲み込む何て、知りませんでした」
夜の墓地でデートする恋人はいないだろう。普通・・・
「おっと、申し遅れました。私は、世界創造神創生教聖騎士モルングレー所属のツーと言います」
ワンっていう修道士と最初に来た人か!
「俺は、ロ・・・ロミオって言います。彼女はジュリエットです」
「ロミオさん、ジュリエットさん。もう安心ですよ。聖騎士の私が居る限り、魔獣等恐れるに足りない存在です」
「あ、ありがとうございます」
ほら、適当に合わせて。
「そ、そうですね」
「時に、ロミオさんとジュリエットさんは、深夜に密会・・・あぁ~これは失礼しました。男女の仲を詮索する等、騎士にあるまじき行為でした」
「いえ・・・」
まさか、これから2人で墓荒らしの予定何です。とは言えないよな。
人間の坊やよ。素直に妾達は墓地で魂を集める邪魔をするでないと言えば良いではないか。
それ言ったら、外出時間の話は無しですからね。
「闇・・・夜の迷宮って、どれもこんな感じなんですか?」
「我々が収集した情報では、前触れも無く突然空間に歪みが生じ周囲を飲み込みながら迷宮の入り口が出現する様です。入口が完成する前の歪み段階で近付いたり中へ入ろうとすると、今回の様に飲み込まれてしまう事がある様です」
「入口から迷宮に入らなかったせいで、迷宮内の何処だか分からない場所に俺達は居るって事ですか?」
「おそらくはそうでしょう。何階に居るのか、何階まであるのか、地下迷宮なのか楼閣迷宮なのかすら分からない状態です」
「知る方法は無いんですか?」
「あります。フロアー長を倒し出現する次の道が、上りなのか下りなのかそれで、地下迷宮楼閣迷宮の判断は出来ます」
「迷宮から外に出る為には、入り口に戻るしか無いとして、場合によってはフロアー長を倒す必要がある訳ですか・・・」
「そうなります。安心してください。報告では、現時点での報告ですが、夜の迷宮は地下迷宮の最深部は地下7階。楼閣迷宮は地上9階らしく、陽が昇る前には攻略し脱出可能なんだそうです」
「それまでに脱出出来ないとどうなるんですか?」
「入口が出現する夜の時間を待って脱出するしかありません。ただ、その場合は迷宮に入った場所とは違う場所に出てしまいます」
「それ問題ですよね」
「どういう訳か、夜の迷宮は、世界創造神創生教の講堂や教会や大聖堂や敷地内にのみ出現し、入った場所とは異なる場所へ出たとしても世界創造神創生教の関係施設に必ず出られる為、そこまで問題ではありません」
「なるほど」
≪チューチュー チューチュー
≪キキキキィ キキキキィ
人間の坊や、ポイズンマウス4匹とダークバット2匹が正面から来るが殺した方が良いか?
正面ですか?
俺は前方に注意を集中する。
確かに気配はしますね。魔獣の種類や数まで分かるんですか?
妾は、視力300。聴力1hz~30万hz。20km以上離れた蛾の鳴き声すら聞き取れる。それに、魔眼に魔耳を侮って貰っては困る。試してみせようか。
大丈夫です。今始めて知ったので侮った事は一度も無いです。
視覚も聴覚もその魔眼や魔耳による物だろうけど・・・
「聖騎士ツゥー殿。前から魔獣がぁ!」
「魔獣ですか?・・・ロミオさん私には何も見えませんが」
聖騎士ツゥーは、無警戒にも兜を利き手であろう右の脇に抱え、大剣のポルメンに左手を乗せていた。
≪キキキキィ
「おっ!ダークバットか。下がっていてください」
「はい」
聖騎士ツゥーは、兜を左手に持ち替えると、右手で大剣を抜きダークバットへ突進した。
えぇぇ・・・ポイズンマウスも居るのに突っ込んだら・・・
あの人間種は愚か者であったか。或いは極度のMか。
・
・
・
「大丈夫ですか?」
「私は聖騎士です。魔獣の6匹や7匹敵ではありません」
「そうですか・・・」
******聖騎士ツーのステータス******
【個体レベル】17
【HP】12 / 388
【STR】231 【VIT】199
***********************
どう見ても、瀕死だよなこれ・・・。仕方ない聖属性魔法【ベネディクシヨン】☆1☆1 ≫
「あ、あれ?痛みが」
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
「ロミオさん、ジュリエットさん。行きましょう。入口と皆を探しましょう」
「そうですね」
回復魔法で回復治癒した聖騎士ツゥーは、迷宮内を先頭を切って軽快な足取りで進む。魔獣に遭遇しては瀕死の状態に陥り、俺の魔法で回復しては軽快に進む。
この人、俺が居なかったら死んでるぞ。
その手があったか。魔獣に殺して貰い、妾達は転位で移動しよう。魔獣が殺す分には約束違反ではないな?
・・・トゥーシェ。良いですか。見殺すのも手を掛けたのと同じです。分かりましたか?
そ、そうか・・・だが、人間の坊やよ。いつまでこれを続けるつもりだ?あの人間種に任せていては、陽が暮れてしまう。
そうですね。朝になってしまいますよねぇ~・・・
・
・
・
≪ドーン ドドドド
・
・
・
「お前達は私の後ろに居なさい」
「「「「「はい、助祭長様」」」」」
「鼠がちょこまかと!・・・大海の水よ瀑布の水よ力を求めしその名は水属性中級魔術【クリーク】≫」
それなりの水量で、ポイズンマウスを飲み込む水。
「助祭長様ぁ~」
「もう大丈夫ですよ。修道女エイト。皆さんも無事ですね?」
「「「「はい、助祭長様」」」」
・
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・
「あっちで、誰か戦ってる様です。行きましょう」
「そうですね」
俺達は大きな音が響いて来る方へ走った。
「聖騎士シックス」
「おぉ~聖騎士ツー。無事でしたか」
「はい」
「そちらの2人は?」
「あぁ~、さっきの歪みに飲み込まれた民間人だ。ロミオさん、ジュリエットさん。紹介します。私と同じくモルングレー所属の聖騎士でシックスです。私の2級後輩ですが、槍の腕はなかなかの奴です」
槍ねぇ~・・・
*****聖騎士シックスのステータス*****
【個体レベル】14
【HP】240 / 336
【STR】201 【VIT】178
***********************
目の前で死なれない様に気を付けないと。
「俺はロミオ、彼女は恋人のジュリエットです。聖騎士ツー殿に助けられここまで来ました。聖騎士シックス殿。聖騎士様を1日に2人も見られる何て光栄です」
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「そうでしたか!ロミオさんとジュリエットさんは、中央創生教会の墓地でデートをしていたところを飲み込まれたのですか。災難でしたね」
「はい」
「ですが、安心してください。聖騎士の名にかけ、世界創造神様に誓い、2人を迷宮の外へお連れします」
「ありがとうございます」
トゥーシェ。お礼を!
「あ、ありがとうございます・・・」
「そうだった。聖騎士ツー。私は、助祭長殿と修道女達と一緒にいたのだ。まだ戦っているかもしれん。行きましょう」
「そうだな。聖騎士シックス」
「こっちです」
俺達は走りました。
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