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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
-スカーレット編ー
74/1227

1-59 王国改造計画①と、沖合28Kmの神達。

宜しくお願いします。

――― シャロン子爵領

領都シェリーベル 登録前

――― 6月12日 13:45


 俺は、イヴァン国王、パトリック宰相、ヴィクナン侯爵、シャロン子爵、近衛騎士団国王警備隊の騎士8名と、領都登録前のシェリーベルに居る。


 手違いで切り開いてしまった森の手前から、更に森を切り開きながら街道を伸ばし、北モルングレー川に橋を架けリッツまで繋いだ俺は、新たに切り開いた街道の中心に移動すると、領都の中央を街道が横断する様に更に森を切り開き外壁を設置し、外壁の2ヶ所の門の外には王国軍の出入通行管理所と駐屯騎士団用の建物を設置した。領主館は、サーフィスやスカーレットの様に海に面したビーチと草原を利用し船着き場と一緒に城壁で囲み、そして教会は、タブレットの家シリーズに補充されていた三角屋根の聖人教会を建立した。この世界に2つめの聖人教会だ。


 予定分の設置を終えた俺は、新神授スキル【召喚転位・極】で、イヴァン国王達を呼び寄せた。


「領主館と貴族領軍私兵隊本部事務所と領主館専用の船着き場は城壁の内側で、プライベートビーチも広くとっておきました。教会は領主館の城壁の1つ外の壁の内側にあります。領主館は北と東の門から真っ直ぐ街道に出る事が出来ます。街道の北モルングレー川寄りは堤防を利用し街道と広場を広くとってあります。堤防と森に囲まれた開拓地は農地にはもってこいだと思います。俺の領地とシャロン子爵領の境界は目で見て分かる様にしてあります。街道から横に舗装して広げた広場がありますが舗装したあるところまでシャロン子爵殿の領地です。そして、この広場は領都に入る前の船着き場と繋がって居ます」


「ジェルマンのところのクロシェットと同じ領域全体が領都という訳か」


「陛下、領域全体だと森とぶつっかてしまうので、北モルングレー川と俺の領地と森から少しだけ距離をとって壁を設置したので、ジェルマン伯爵のクロシェットの様には土地を有効活用出来ていないと思います」


「あれはあれで驚いたが、これはこれで驚きだ」


「副王陛下。西側の外壁の大きい門の外広場からは直ぐ副王陛下の領国で、北側の外壁の大きい門の外広場は橋を渡りヴィクナン侯爵殿の領国なのでは分かりました。森に面した外壁の外は何処までが私の領地になるのでしょうか?」


「え?切り開いたところ全部だと思っていたんですけど、違うんですか?」


「宰相閣下、あの森の手前までがシャロン家の領地で間違いありませんか?」


「副王陛下が切り開くまでは深い森だった場所です。元から存在した平野では無いので何とも・・・陛下如何為さいますか?」


「副王が切り開いた森の手前まで領地と認め与える事にする」


「国王陛下、宰相閣下、副王陛下。誠にありがとうございます」


 シャロン子爵は、深々と頭を下げた。


「しかし、凄いですなぁ~・・・港湾規模の船着き場が西の外壁の外の広場と、領主館がある領都の中心にある訳ですか!」


 驚いているのは、シャロン子爵よりも、リッツの領主ヴィクナン侯爵だった。


「はい。海路でも陸路でも往来可能な様にしました」


「何という事だ・・・領地を拝領され領地貴族になっただけではなく、堤防に外壁に城壁に街道、港に領主館に教会。出入通行管理事務所や駐屯騎士団事務所や貴族領軍私兵隊事務所が最初から準備された領都付の領国貴族という訳か。領地貴族達が嫉妬しますな」


「シャロン子爵。ここは貴殿の姓シャロンの名に相応しい領地です。陛下の期待を裏切らぬ様務まれよ」


 パトリック宰相は、シャロン子爵の肩の上に手を乗せた。


「はい。シャロンの名に恥じぬように努力致します」


「エゼル。シャロンにはどの様な意味がある」


「俺も気になります」


「はっ!我が一族の姓シャロンは、前王国時代から続く由緒ある名で、信仰(ファオ)の集落に起源をもっております。名の由来は、森を切り開いた後に広がる豊かな土壌や森。それが転じて、森と共に歩む者、森を切り開く者と、対照的な意味を持っているそうです」


「名って面白い物ですね。・・・それに俺の故郷出身って事ですよね?」


「エゼルと副王は故郷が同じと言う訳か」


「はい、陛下。4000年以上も前の先祖と副王陛下は集落の呼び名こそ変わりましたが同郷という事になります」


「偶然とはいえ、これも何かの縁でしょうな」


 パトリック宰相は、シャロン子爵の肩を数回叩くと手を肩から離した。


「陛下、宰相閣下、このエゼル・シャロン。命を懸けこの地の発展に努める所存です」


「うむ」


「領都申請ですが、明日の御前会議の前に、ラカコア伯爵にすると良いでしょう。陛下や副王陛下やヴィクナン侯爵に私が証人になりますので、直ぐに受理されるでしょう」


「はい」


「して、この領都の名はどうする?」


「副王陛下に名付けの親になっていただきたいと考えております」


「おぉそれは名案だ」


「俺ですか!少し時間(・・)を貰って良いですか・・・」



 パトリック宰相は、王国の地図に線を引き、赤い丸を付け最新の地図へと書き換えていた。


「こ、これは!」


「なんだ。どうしたのだ」


 パトリック宰相の隣に居たイヴァン国王は、その声に驚き質問した。


「陛下。これをご覧ください」


「地図がどうした」


「先日、陛下は副王陛下に大樹の森に面したルーリン湖の1部をお与えになられました」


「それがどうした」


「森や川や山や湖や海は、建国以来国王陛下の財産として管理され不可侵とされて来ました」


「それは今も変わらんだろう」


「ですが、こうもあっさり橋や街道や港が完成しネットワークの構築が容易な状況になりますと、魔術革命の様な大革命を王国の物流や観光産業に起こす事が可能です」


「王都から副王の領地を経由し、ここを経由し、リッツまで陸路を利用し移動する事が出来る様になった時点で革命レベルだと思うが」


「はい。従来通りの船を用いた移動ですと、王都の港からサーフィスの港までルーリン川を下り、船を乗り換えサーフィスの港からリッツの港まで移動した場合。3日~4日かかります。この正街道を利用した場合は2日~3日です。早馬や二頭立ての馬車で寄り道せずに輓獣を乗り継ぎ移動した場合は1日で移動する事が可能になりました。ですが、王都からリッツまで更に迅速に移動する手段があります。手段を手に入れたと言うできでしょうか・・・」


「どういう事ですか?ヴィクナン領リッツは、パマリ伯爵領の領都クロシェットが完成するまでは、王都モルングレーに最も近く最も遠い地と呼ばれる程、移動に不便な場所です。船での移動に加えこの新街道により、王国の北西『ヴァルカン地方』は既に発展が約束されたものと考えますが」


「不可侵だと思い込んでいた場所を利用し税収を期待しつつネットワークを構築するのです。副王陛下がスカーレット建設やこの地の建設に用いた事を、例えば・・・」


 パトリック宰相は、地図に線を書き加えながら俺達に説明を開始した。


「ルーリン湖の北に港を建設します。そこから、大樹の森と西モルングレー山脈の間に広がる森を切り開き正街道を敷きます。森を抜けモンロー伯爵領に街道を伸ばし、北モルングレー川の縦川に橋を架け、リッツに街道を繋ぎます」


「こ、これは・・・ブオミル侯爵領のロイよりも我がリッツの方が・・・」


「なるほどな。副王がいるからこそ出来る神技という事だな」


「はい、陛下。このルートを確立した場合のネットワーク革命は魔術革命のレベルです。早馬と船を計画的に駆使する事で、王都を早朝出発し正午過ぎには王都に帰還しているというそれこそ神技が可能になります。それだけではありません。街道が存在する訳ですから、道なりに緊急移動手段の転位も可能になります」


「副王よ。パトリックのこの計画を実行した場合、どれくらいで完成する?」


 イヴァン国王は、贈ったばかりタイムカウンターをチラチラ確認しながら俺に確認して来た。指輪型のタイムカウンターの存在を知らない者が見たら挙動不審にしか見えない怪しい動きだ。


「そうですね。完成させたら、船着き場に移動しますか?直ぐなので」


「そうか・・・直ぐか!」


「地図を確認して、サクッとやっちゃいます」


「あぁ・・・」


 【タブレット】『表示』・ルーリン湖北部を中心に半径40Km ≫


≪・・・表示しました。


 この辺りを船着き場にするにしても、森が近いし壁とか軍が必要そうだなぁ~


「陛下。船着き場何ですが、森が近いので壁で囲んだり、軍を中流させるた方が良さそうです」


「王都の北の飛び地程度に考えていたのだが」


「陛下。それでしたら、王都の北の砦、要所として港を整備してはいかがでしょうか?」


「軍から指令官を派遣して、通行と税収の管理をさせる訳だな」


「はい」


「王都に近く茶を飲んでいる間に行き来出来る距離にある砦だ・・・アルセーヌを代官兼指揮官として派遣し為政と軍事を学ばせる事にするか」


「王宮から通う事も可能な位置にあります。学ぶ場として最良と存じます」


 もう、完成した後の事を話合ってるし・・・


「船着き場と壁と門と街道は設置しちゃいますが良いですか?」


「それで頼む」


「それと、切り開いた時の木とか草とか花とか獣や魔獣は俺が貰ってしまっていいですか?」


「良いだろう」


「分かりました。それでは、サクッとやっちゃいます」


「はて?副王陛下はここに居ながらでも建設が可能ですか?」


 あっ!・・・忘れてたよ。


「サクッと設置して来ます。出来たら転位で移動させますのでお待ちを」


 【フリーパス】『場所』・タブレットに表示中のルーリン湖北の畔 移動 ≫



――― 国王・王国領

ルーリン湖 北の畔

――― 6月12日 14:30


 ここって王宮の角度が意外に良いかも・・・交通の要衝もだけど、観光や避暑地にも向いてるかもな。さてと、ここに船着き場を設置するとして、規模が分からないから多目に設置しておくか!


 【マテリアル・クリエイト】『港』・・・心象を強く心に描いて 創造 ≫


 この辺りの森を切り開いて、壁を設置して通行管理税徴収兵用の詰所と、王国軍の事務所と、代官用の屋敷を設置するとして、森は・・・ここからここまで、切り開いちゃおう。


 【ブロー】☆1☆3 発動 ≫ 


 俺は、タブレットの画面をタッチし範囲内に風属性下級魔法を発動させた。


 【タブレット】『回収』・タブレットで範囲指定した森の素材全て ≫


≪・・・回収しました。使用可能な武具55個、使用可能な道具6個を含みます。


 武具とか道具か・・・流れ着いたり、狩りの時に忘れたりしたのか? 『表示』・ ≫


≪・・・表示しました。



 王国軍の剣が多いみたいだけど、まっ今は良いや、後で詳しく確認しよう。


 【マテリアル・クリエイト】『壁』・・・心象を強く心に描いて 創造 ≫



 モンロー伯爵家の領地手前まで森を切り開き、北ルーリン川の縦川に橋を架け正街道を港からリッツまで敷いた俺は、イヴァン国王、パトリック宰相、ヴィクナン侯爵、シャロン子爵、モンロー伯爵を呼び寄せた。


 モンロー伯爵は、余りにも突然過ぎ、事態を飲み込めずイヴァン国王の前で呆けていた。


「陛下、こんな感じで良いですか?」


「あ、あぁ・・・パトリックよ。世は王都や王宮を臨む立派な港町に立っている様だ」


「はい・・・これでは砦ではく領都です・・・副王陛下。ここの広さはどの位なのでしょうか?」


「正確に測って無いのでだいたいになりますが、ジェルマン・パマリ伯爵領より少し小さい位だと思います」


「王都のパレスエリアよりは広いですよね?」


「広いと思います」


「ここから伸びる正街道はリッツまで繋がっているとして、ゴドウィン。モンロー領の集落はどうなっている?」


「領地替えから20年程経ちましたが、領地内の集落の総人口は約3000人程です。沢山の集落に分かれておりますので、準領都になるのも難しい状態です。現在は全ての集落がリッツの衛星集落として領民居住管理されております」


「そうか。お前も領地経営に乗り出したくなったら、世に言うのだぞ、副王に頼み込んで、ジェルマンのクロシェットやエゼルの新領都。ここの様に建設して貰う」


「は、はい」


「それで、お前を呼んだのは、世の命で副王がモンロー領に正街道を敷いた故、それを伝える為だ」


「陛下より直々に承り、誠に幸せにございます」


「うむ」


「副王陛下。港から我がリッツまでこの正街道は何Kmあるのでしょうか?」


「約42Kmです。西モルングレーと大樹の森の間の森に切り開いて敷いた所は、起伏が多少ありますが、後は平地なので全力で走ればあっという間に到着です」


「しかし、副王陛下。折角敷いた新街道が、この港からの新街道で色褪せてしまうのでは?」


 ゴドウィン・モンロー伯爵は、本気で俺を心配してくれている様だった。



――― 領都スカーレット

エルドラドブランシュ(領主館であり俺の家) ファミリーエリア(北地区)

――― 6月12日 16:00


 俺は、皆を王宮の国王の間に送り届けた後、祖父エンゾと祖母イネスと昼食を楽しんだ。そして、祖父母を連れ領都スカーレットのエルドラドブランシュ(領主館であり俺の家)へ移動していた。


 ファミリーエリア(北地区)のリビングでは、マルアスピーとパフさんが料理の神chef(シェフ)アランギー様から、菓子では無く料理のレシピを熱心に教わっていた。勉強の邪魔をしてはいけないと祖母イネスに言われた俺は、祖父母を連れ5階にある執務室へ歩いて移動した。


「まぁ~見渡す限りの大海原と綺麗な海岸。こっちは、王都に東西モルングレー山脈が見えるのね・・・王宮の展望ルームよりも景色が良いわ」


「昨日来たばかりだが、本当に凄い」


「あなた。メアリーとバイル殿、そしてロイクに感謝ですよ」


「う、うん・・・まぁ・・・あぁ~そうだな・・・」


 俺の両親と祖父の関係は複雑だ。俺は機会を与え見守る事に専念するつもりでいる。


「そうだ。さっき、御祖母様の実家のモンロー家に街道を敷いて聞いたのですが」


「実家に?」


「はい。ルーリン湖の北の湖畔に港を建設して、そこから森を切り開いて正街道を敷いて、リッツまで繋いだんです」


「またサラっと凄い事を・・・ロイク。自分がどれほど凄い事をしているのか分かっているだろうな」


「俺にしか出来ない事だし、出し惜しみする様な事でも無いし」


「お前の良い所だと思うが利用され無い様に気をつけなくては」


「はい」


「それとな、イネスはモンロー伯爵領がアンカー男爵領の南にあった頃に、私と結婚した。今のモンロー伯爵領には行った事が無いのだ」


「モンロー伯爵家は、俺の故郷の直ぐ南に領地を持っていたんですか?」


「えぇ。私の父の代までは、北コルト平原の東の端ヒグマの丘の南が領地でした」


「どうして、領地がリッツの方に移ったんですか?」


「ヴァルカン地方に領地替えになったのは、コルト川の氾濫で旧モンロー伯爵領が領都を失い広大な農地を失った事が原因でね」


「洪水って事ですか?」


「25年位前だったかな。ロイクが産まれる少し前の事だ」


「領民の3割が犠牲になったのよ。領都を失い領民に沢山の犠牲を出した事が原因で父はすっかり元気を失ってしまってね。それで周りからの薦めもあって爵位を私の兄に譲ったのよ。兄は、復興の為に頑張ったみたいだったけど、21年前の大洪水がモンロー家に止めを刺したわ」


「あぁ~・・・マルアスピー村の橋が流された時かも」


「国王王国直轄領だった現在のモンロー伯爵領と、旧モンロー伯爵領が領地替えする事になったのは、居住地や農地としての開発が困難な地として旧モンロー伯爵領が王国に指定されたからよ」


「あの近辺って草原と川しかないって印象だったけど、そんな事があったんですね」


「兄に会ったのでしょう?」


「えぇ。陛下に領地経営する気になったら伝えて欲しいと言われていました」


「街道と橋があって王都と急激に近くなった訳だ。川のトラウマの為にも堤防を整えさえすれば、モンロー伯爵家が領国貴族に返り咲くのも夢では無いかもしれない。どう判断するだろうね」


「それと、シャロン子爵が領国貴族になりました」


「いつだね?」


「正式には、明日登録するので、まだ領地貴族です」


「もしかして、ルーリン湖の北に建設した港を領都に?」


「そっちは、アルセーヌ王太子が執政官になるとか、陛下と宰相閣下が話してるのは聞きましたが良く分からないです」


「王太子領では無く、王都の衛星集落にする訳か・・・それで、シャロン子爵家の領地は何処を?」


「俺が切り開いた森から更に森を切り開いて街道をリッツに繋ぐことになりましたよね」


「そうだな」


「更に切り開く事になった森がシャロン子爵家の領地です」


「土地を作って領地とした訳か・・・森を切り開く作業は道を敷くよりも大変な事何だが、流石ロイクというべきか」


「シャロン家は、前王国時代から続いている家らしくて、俺の故郷にルーツがあるらしいです」


「ほう。モンロー家のルーツもマルアスピーではなかったか?」


「えぇ私の実家もアンカー男爵領マルアスピーがルーツです」


「へぇ・・・」


「人類のルーツがコルト川流域と考えれば、(いにしえ)の時代から存在するマルアスピー村やコルトやサンガスをルーツに持つ者は多いと思うぞ」


 そういえば、以前マルアスピーが言ってた様な・・・人間種は何処に多く居たとかって・・・数千年も前の事よりも今は1年後の未来の方が問題だし、今は良いや・・・考えても分からないし。あっさっきの武具類・・・


「御祖父様。今思い出したんですけど、ルーリン湖の北に街道を敷いてた時に、大量の武具と道具を見つけたんですけど、あのあたりに王国軍の剣とかが散乱してた理由って分かりますか?」


「モルングレー東の森の東側ルーリン湖の畔に軍の武具類か・・・分からん。あの辺りには何も無い。盗賊がアジトを作るにも集落や街道から離れ過ぎている」


「そうですか。後で取り出して確認してみます」


「それが良いだろうな」


「ロイク。アナタ!あれは何かしら」


 祖母イネスが、海の向こうを指差した。


「うん?」


「なんだあれ?」


「見えるのか?」


「ロイク。あの光を反射している物はなんでしょう?」


「反射?どこもかしこも陽を反射されているが・・・」


「あなたは少し黙っていて貰えますか?」


「あぁ・・・済まない・・・」


 ・・・母さんと同じだ!


「ロイク。見えますよね?」


「・・・あ、はい」


 どう答えるべきだ・・・あれって・・・



――― 大海原


 フォルティーナ。そこで、何してるんですか?


『ペットのサングランドトルチェ(聖大海亀)で、スカーレットの沖合を巡回してるね』


 下着みたいな恰好で巡回ですか?


『これは、水着と言うね』


 あぁ~母さんが作るって言ってたあれか・・・水着って下着の事だったのか!


『違うね。水着は水に濡れても良い様に作られた便利な水遊び用の服だね』


 で、その水遊び用の服で何を?


『巡回だね』


 祖父母になって説明すれば良いんだこれぇ~・・・


『あたしが巡回していると言えば良いね』


 何者だってなるので、止めておきます。


『そうかね』


 あのぉ~目立たない様にやって貰えませんか?


『分かったね』


≪パチン


――― エルドラドブランシュ(領主館であり俺の家)5階


「あ、消えた」


「あ、本当だ!・・・たぶん、鯨かサメか大きな魚だったんじゃないかとハハハ」


「そうね・・・海には大きな生き物が多いと聞きます。そうかもしれませんね」


「はい」


 そのサングランドトルチェ(聖大海亀)って聖獣様ですか?


『違うね。ペットだね』


 ・・・ペットのサングランドトルチェ(聖大海亀)の種族は何ですか?


『あぁ~忘れたね。思い出したら教えるね。それよりも気になる事があるね。あたしの監視網に引っ掛からずにスカーレット大神殿に近付こうとした何かが居たね』


 何か?って何ですか?


『知らないね。何かだね』


 それで、沖まで出て監視してたんですか?


『違うね』


 ・・・違うんですね。


『何か分からない存在は大神殿に接近し過ぎた事で偽装が解けたね。海の方は強い邪属性と闇属性を感じたね』


 なるほど・・・ん?それって1つじゃないって事ですか?


『そうだね。12の存在だね』


 12匹或いは12人って事ですね!問題じゃないですか!


『そうだね。だから巡回してるね』


 ありがとうございます・・・


『気にする事は無いね』


「ロイク。また光ったわ」


「あっ本当だ!・・・って」


「あれ、ドラゴン()よね?」


「えぇ~ドラゴン()ですね・・・」


「あれなら私にも見えるぞ、あれはドラゴン()だ!」


 フォルティーナ。それってペットですか?


『違うね。12の存在の1つだね』


 やばく無いですか?


『人が多い場所に上陸したら危険だね』


「28Km程離れてる様です。こっちに来るような退治します」


「そうか・・・海だが大丈夫なのか?」


「宙に浮く事と、ある程度なら動き回れます。でも、陸と違って分が悪いのは確かです」


「サーフィスは大都市よ。せめてスカーレットの海岸で迎え撃つ事が出来れば良いのですが・・・」


「方法が無い訳では・・・」



――― 海


 フォルティーナ。そのドラゴン()ですが、スカーレットの海岸まで誘導出来ますか?


『おすすめはしないね』


 どうしてですか?


『これはだね。100m越えの神獣種・神竜類・邪竜種。神だからだね』

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