1-58 新領都の教会と、神授を認めぬ者。
進行上のまとめに近いです。
宜しくお願いします。
――― ジェルマン・パマリ新伯爵領
領都クロシェット 登録前
――― 26:18
【マテリアル・クリエイト】『素材』・花崗岩・生成:『場所』半径3Km面積約28.274㎢(壁の内側の面積約28.25㎢)の円周:『状態』高さ5m・厚さ1.2m・地中3m・円周約18.849Km・表面ピカピカツルツル ・・・心象を心に強く描いて 創造 ≫
【マテリアル・クリエイト】『素材』・王国準街道規格・生成:『場所』俺の立っている座標から真西へ2.95Kmの座標まで:『状態』長さ2.95Km ・・・心象を心に強く描いて 創造 ≫
【マテリアル・クリエイト】『素材』・大地水晶石・生成:『場所』俺の立っている座標から真西へ3Kmの座標を中心に南北16m:『状態』花崗岩の壁を再生成・開閉方法中心から左右にスライド8mずつ・施錠方法開扉時2枚の大地水晶石・閉扉時1枚の大地水晶石・閉扉時透明度0% ・・・心象を心に強く描いて 創造 ≫
【タブレット】『取り出し』・道具・家シリーズ・三角屋根の建物:『場所』・真西の門から東に100m北に100mの座標を中心にして 実行 ≫
≪・・・道具、建造物より【聖人教会】を取り出し、指定座標に設置しました。
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俺は、父バイル・シャレットと、ジェルマン・パマリ新伯爵と3人で、王都の外壁から東へ8Kmの地点、ジェルマン・パマリ新伯爵が拝領したばかりの貴族領に来て居る。新伯爵領は半径3Km面積は約28.274㎢でアンカー男爵領マルアスピーより10㎢程広い。そしてセルフォーラ王国の王都モルングレーに最も近い貴族領だ。
「な、何と表現したら適切なんだろうか・・・」
「すげぇーなぁっ!じゃねぇーかぁー」
「凄いの一言で片付けてしまって良いものだろうか・・・」
「いいんじゃねぇーのっ!えっとぉー・・・領地が分かり易くてぇー半径3Kmだからよぉっ!壁をギリギリに設置したとしてだなぁー長さがぁー・・・はい、ロイク!」
「長さが、約18.849Kmってところかな」
「おう。その壁が1つ、門が1つ、道が1本、何かでけぇーのが1つ!」
父は相変わらず大雑把だ。
「バイル殿。簡単に言っているが、考えてもみろ。この道は準街道規格だ。上下一車線で市街地の中にも関わらず両側に街道規格の歩道がある。上下二車線の正街道規格と比べ時間や予算を4割程抑える事が出来ると言っても、それでも約5m完成させるのに熟練のマジシャンが4人がかり正午から夕方までフル稼働する必要がある。それを、あの門まで約3Kmを一瞬で敷いたのだぞ」
「見てから分かってんよぉっ!ロイク、おめぇーすげぇーなぁっ!」
「あぁ・・・」
何か楽で良いんだけど、この感じ疲れるんだよなぁ~
「ジェルマン・パマリ伯爵様。道は所領から間違って出てしまわ無い様に、今は2.95Kmの地点まで敷き止めてあります。明日領都申請して、御前会議で国王王国領に道を敷く許可を貰ったら、門の外まで今の場所から準街道規格をそのまま伸ばして、門の外から直線でルート4の王都南東門を繋ぎます。それと、門の外から南に正街道を伸ばしてルート4と繋ぎぐ予定です」
「凄い事をサラっと言われてしまうと大恩が・・・」
「それと、これだと領都申請出来ないので、領主館を設置しちゃいましょう。どっちにしますか?」
「どっちとはどういう事かね?」
「以前、家何て幾つも必要無いと」
「そうだったね・・・まさかとは思うけど一応確認するよ。屋敷をここに移動させるとか言わないだろうねぇ~・・・」
ジェルマン・パマリ伯爵は、俺を凝視している。
「・・・3つも家要らないですよね?」
「領地貴族になったからには実家に戻る機会は減るだろう。何せここが私の実家になる訳だからね。そうなるとコルトの屋敷が不要になるんだが・・・父上(ステファン・パマリ侯爵)や本家(パマリ侯爵家)に売るか譲った方が良いとも考えるのだが」
「売るくれぇーならよぉー使えってぇっ!勿体ねぇー。思い出は大切にしねぇーとぉーあんだろうーその家にも3つや1つくれぇー」
珍しく良い事を口にしていると思ったが、3つから1つに減ってるし・・・
「俺も思い入れのあるあの家はぁー中空の離宮に移して貰ったしよぉー!」
「そ、そうだな!思い入れはある・・・コルトの屋敷をここにお願いするよ」
「確認ですけど、コルトの屋敷の中に誰かいるって事は無いですよね?」
「あの屋敷はあくまでも別邸扱いで、予算の削減の為にコルトでの任務やパマリ家の式典に出席する時以外は、基本は無人状態なんだよ。母上の屋敷の使用人や召使がたまに掃除や換気をしてくれている様だが、この時間に掃除をしているとは無いだろう」
ジェルマン・パマリ伯爵は、渡したばかりの指輪型のタイムカウンターで時間を確認しながら、返答した。
「大丈夫そうですね。そうなると次は場所ですが、何処に置きます?」
「北側の壁の近くに頼むよ」
ジェルマン・パマリ伯爵は、ルーリン湖が北の方角を指差した。
「分かりました。壁に近過ぎるのもなんなので、300m位は離して設置します」
「ありがとう」
【タブレット】『表示』・パマリ侯爵領コルトの貴族居住地区のジェルマン・パマリ邸 ≫
≪・・・表示しました。
【召喚転位・極】『指定座標(元)』・タブレットに表示中のジェルマン・パマリ邸の屋敷全体を固定:『指定座標(先)』・俺が立っている場所から北へ2.7Kmに固定・建物北の先端を北2.7Kmに固定 転位 ≫
「おお」
「すげぇーなぁっ!」
コルトのジェルマン・パマリ旧子爵邸が前からそこに建っていたかの様に出現した。
「領主館なので、200m位離して壁で囲んでおきます」
「あぁ・・・」
【マテリアル・クリエイト】・・・
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――― ルーリン・シャレット天爵領
エルドラドブランシュ 温泉施設
――― 6月11日 27:00
「はぁ~~~今日も色んな事があったなぁ~・・・しかし風呂ってなかなか良いもんだなぁ~・・・」
俺は、単純硫化水素泉の源泉掛け流しを1人で満喫している。
「こういう温泉とか風呂の施設を増やすのはありかもしれないなぁ~・・・」
「それは良いアイデアだね」
・・・
「どうしたね!」
「ど、どうしてここに居るんですかぁ~!」
「温泉に入っているからに決まってるね」
「どうして裸何ですかっ!おかしいでしょうぉ~!」
「何を言ってるね。温泉や風呂に入る時に服を着て入る愚か者が何処にいるね」
「先に出てくださいよ」
「そんなにあたしを見たいかね」
「ち、違いますよ!そういう意味じゃ無くて・・・」
運の神フォルティーナ様は、ニヤニヤとほくそ笑む。
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俺は諸事情あり先に出られない。厭らしい視線を飛ばしながらニタニタとほくそ笑む運の神フォルティーナ様は出て行ってくれない。湯船に入り1時間が経過した頃だろう。
「ロイク、君の身分を神のレベルに置き換えた時のランクが上がってるね」
「はぁ?上がってるって何がですか?」
「前に一度話た事があったはずだね」
***運の神様曰くの神の世界***
≪最高神≫ 世界創造神
≪大上神≫ 運の女神
息吹の女神
愛憎の女神
武の神
知の神
≪ 大神≫ 光の神
闇の神
大地(地)の女神
水氷(水)の女神
火焔(火)の神
天風(風)の女神
無の神
≪ 上神≫ 美の女神
秩序の神
食の神
等
***以下、神格を考慮しない場合
眷属や神獣の身分も含まれる***
≪上級神≫ 特級、一級、二級、三級
≪中級神≫ 特級、一級、二級、三級
≪ 神≫ 一級、二級、三級、四級、五級
≪ 神獣≫ 類種の長※五級神と同格※
以下※九級下級神※
≪下級神≫ 一級 ~ 九級
≪通常の眷属≫※神格を持たない場合※
***説明終わり***
「神格を認められていない眷属は下級神より下だね。だがだね、神気の状態から一級神クラスだね・・・ディナーの後、3人で何をしてたね」
「何でも御見通しなんじゃ?」
「プライベートは尊重するね」
「・・・」
「何を見てるね。そんなにあたしの魅惑の艶めかしいボディーが気になるかね」
「いや、怪しいなと思いまして」
「何を言ってるね。あたしのプロポーションはアスピーやアル以上だね」
「それはどうでも良いです。俺や他の人達の事を常に見ているんだと思ってました」
「それは無いね。暇じゃ無いね。それに、それは自意識過剰と言うね。見てはいないが常に感じているのは確かだね」
「・・・あ、ありがとうございます・・・」
ん?あってるのかこれ?
「それで、3人で何をしてたね」
「ジェルマン・パマリ伯爵の領地に壁と道と教会と領主館を設置してました」
「なるほどだね。創造神の教会だが他神の教会を置いたね」
「他神の教会ってなんですか?」
「創造神の眷属神や眷属に創造神の神気を供給する教会だね。創造神への祈り畏敬謝意が創造神とその眷属神や眷属との繋がりを通し届く教会だね」
「それがどうして他神の教会なんですか?」
「創造神に届けているのは誰だね?創造神から供給される神気を受け取るのは誰だね?」
「その教会を預かっている神様って事ですか?」
「そうだね。精霊達が創造神の代わりに宿っている場所が大自然の力その物ならだね。教会は人間が創造神との繋がりを意図的に錯覚する場所だね。その場所を管理している眷属神や眷属の為の教会つまり他神の教会だね」
「良く分からないけど、なるほど・・・」
「聖人教会を建立したのかね・・・自分で自分の教会を建立するとは面白い事をしたね」
「どういう事ですか?」
「この世界に聖人はロイクだけだね。聖人教会は建立されると同時に君が管理者だね」
「教王や枢機卿や大司教は、世界創造神創生教会の聖人だったはずです」
「人間が勝手に決めた宗教の身分や肩書きに意味があると思っているのかね?」
「そ、それは無いと思いますが・・・」
「創造神から守護者であり管理者であり聖人だと神授されたのは人間ではロイクだけだね」
「その聖人教会を置いたせいで、俺の力が強くなったんです?」
「神気に変化は無いね。神格を持っていたらだね。その影響は一級神クラスという事だね」
「それって、何か今後に影響するんですか?」
「神界や神域での階級だからね。この下界での影響は少ないと思うね。神気の力は中級神レベルで神格を持たずして一級神クラスの影響という訳だね。凄いね」
「フォルティーナは大上神の筆頭神なんですよね?」
「そうだね」
「こんなところで、男に裸を晒して、呑気に温泉に浸かっていて平気なんですか?」
「何を言ってるね。創造神に嫁に出されたからには運の神遊びの神として花婿と共に存在して当然だね」
「本気で神様が人間と結婚とかって考えてるんですか?」
「神も精霊も人間も悪魔も無いね。存在するからには尊厳を尊重するね」
「・・・あのぉ~俺の意思とか気持ちとかはぁ~」
「創造神の前では個人の我儘は却下だね」
「我儘なんでしょうか?これって」
「贅沢な我儘だね」
「・・・」
贅沢ねぇ~・・・
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――― 王都モルングレー
王宮 本宮殿 国王の間
――― 6月12日 9:30
俺は、ゼルフォーラ王国の最高意思決定機関『御前会議』に、副王として出席した。
国王の間に置かれた大きな円卓には、国王(大叔父)イヴァン陛下を囲む様に、王族から......
***御前会議出席者***
王兄(祖父)エンド天爵殿下
剣聖(後に義祖父)ボードワン天爵殿下
欠席アルセーヌ王太子
欠席ガスパール王子
欠席(伯父)オーレリー王子
欠席(後に義父)バルタザール王子
欠席(従兄)クレーリー王子
欠席(後に義兄)ジャマル王子
欠席(後に義兄)クレマン王子
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......が、出欠席している。そして、各大臣と3公5侯......
***王族以外の出席者****
国務大臣パトリック宰相
法務大臣デェイビュー公爵
外務大臣(義父予定)トゥージュー公爵
財務・商務大臣ミィストゥリィー公爵
アヴィル侯爵
ヴィクナン侯爵
トニナス侯爵
農務大臣(義祖父予定)パマリ侯爵
欠席ブオミル侯爵
軍務大臣スラリス辺境伯爵
内務大臣ラカコア伯爵
総務大臣チューナー伯爵
王国軍長官モンロー伯爵
中央騎士団総括団長(義父予定)ジェルマン伯爵
世界創造神創生教 枢機卿
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......が、出欠席している。会議は国務大臣で宰相のパトリック・ミィストゥリィー前公爵が議長として進めている。
「街道新設の是非を問う。本緊急案件は、王国案件であり卿の挙手は不要です。反対の者は挙手により国王陛下にその意を示されよ」
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「反対0により本緊急案件は可決」
≪パチパチパチパチ
国王イヴァン陛下以外の出席者が事務的な拍手をする。俺は周りを真似し数回拍手をした。
「来たる悪の通知を問う。本案件は全世界案件であり卿の挙手を必要とします。反対の者は挙手により国王陛下にその意を示されよ」
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「卿の反対1により本案件は否決。挙手した者はその理由を述べられよ。枢機卿」
国務大臣パトリック宰相は、枢機卿を指名した。
「先程も申しましたが、悪とはいったい何を指しておられるのかその説明が不足しておる。またその悪に何故ゼルフォーラ王国が中心となり対峙する必要があるのかその説明も不足しておる。更に世界創造神創生教の教王や我々枢機卿では無く何故ゼルフォーラ王国の中枢の者にのみ神授がくだったのかその説明も不足しておる」
「卿よ。先程も申したはずです。来年R4076年2月23日の正午、この大樹の大陸ゼルフォーラの北の何処かに悪が訪れる。それに備えよ。来たる悪に中心となり対峙せよ。創造神様からいただいた神授はこれのみなのです」
「宰相殿。その神授をイヴァン国王始めゼルフォーラ王国の中枢の者のみが受けたという話ですが、その証拠はどちらに?」
「世界創造神創生教が神授を疑うというのか?」
「世界創造神様は偉大です。神授を疑う事はございません。私は神授を受けたという話を疑っているだけでございます」
「国王陛下や私達が創造神様の名を騙り嘘を申しておると?」
「嘘とは申しておりません。日々の激務により集団で錯覚或いは意識障害を起こされたのではないかと心配しておるのです」
「な、私達だけならまだしも・・・卿よその発言は国王陛下に対し無礼だとはお気付きに成られませんか?」
「私がお仕えするは、世界創造神様ただ1柱。人間の1つの国の元首に非ず」
「もう良いパトリック。この件は、保留とし、王国内のみに告知せよ」
「畏まりました」
「内務卿」
「はい」
「貴族階級、王国軍、騎士団、各協会へ告知を認める」
「畏まりました。領軍や王民や領民に対しては如何致しますか?」
「各裁量に任せる」
「畏まりました」
「本案件は、国王陛下の御裁量により保留」
≪ハッ!
「地下迷宮、楼閣迷宮の是非を問う。本緊急案件は王国案件であり卿の挙手は不要です。反対の者は挙手により国王陛下にその意を示されよ」
「待たれよ」
世界創造神創生教の枢機卿が、国務大臣パトリック宰相の議事進行を止めた。
「まだ何か?」
「地下迷宮及び楼閣迷宮は、昨日の夜半より我々も確認しておる。中央教会に届いたゼルフォーラ大陸各地の教会からの報告だけでも、9件確認されておる。世界創造神様の御意思により解放された迷宮である以上、迷宮を管理するは道理として我々世界創造神創生教。何故ゼルフォーラ王国の中枢の者が議論しておるのか理解に苦しみます。忠告差し上げましょう。先の証拠の無い神授が疲れによる物であったとしても、世界創造神様の御意思や我々世界創造神創生教の教えを軽視する理由にはなりません。世界に唯一無二の世界創造神様を崇める世界創造神創生教会を破門されぬ様、お気を付けくださいませ」
「・・・忠告・・・肝に銘じます・・・」
国務大臣パトリック宰相は、感情を押し殺し事務的に対応した。
「英雄殿にお聞きしますが、我々世界創造神創生教の許可も得ずに領土としたヒグマの丘の楼閣迷宮、大地の集落ロイの祠、海の集落サンガスの祠、火焔の集落リッツの祠、空の集落フィーラの祠、集落信仰の集落マルアスピーの祠。何故世界創造神様は我々世界創造神創生教では無く、英雄殿を管理者にお選びになられたのか、個人の名を御指名になられたのか、心当たりはありませんかな?」
「はて?卿よ異な事を申されているようですが・・・」
「私は、世界創造神創生教の枢機卿として確認したに過ぎません」
「私には、世界創造神様の御意向御意思を理解出来ず創造神様を軽視しているのでは・・・まさか教王に次ぐ御身分の枢機卿閣下に限ってその様な事はありますまい。私は激務の疲れが貯まっていると御指摘を受けた身です故きっと錯覚したのでしょうなぁ~・・・」
「宰相殿はゼルフォーラ王国にとって無くてはならないお方です。錯覚が不幸を招く前に休養なさいませ」
「もう良い。パトリック。世界中の者が創造神様より神授をいただいたのだ」
「はい」
「迷宮の管理は、大樹の英雄ロイク・ルーリン・シャレットに任せるとな。世は全ての迷宮をどの様に扱うかは副王の考えに委ねたいと思う」
「はい。創造神様の御意思御意向は絶対でございます。御前会議に出席する皆が同じ考えであると断言致します」
「とんだ茶番ではないか、全ての迷宮をゼルフォーラ王国の副王である英雄殿が管理する。それ即ち、迷宮の事実上の管理はゼルフォーラ王国がすると公言している様な物ではないか!」
「創造神様よりいただいた神授ですので、ゼルフォーラ王国の宰相風情の私には図り兼ねます」
「教王庁の見解を待って世界各国の共通認識とさせていただきます」
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――― 王都モルングレー
王宮 本宮殿 国王の間
――― 6月12日 11:00
御前会議が終わり、世界創造神創生教の枢機卿が退室すると、国王イヴァン陛下の勅令により御前会議出席者の加え......
***召集された貴族達***
デュポン辺境伯爵
マーガレット辺境伯爵
フェトロング辺境伯爵
≪領地貴族≫
ヘルネー伯爵
ラミア伯爵
アルカド伯爵
イリノイ伯爵
ダリウス伯爵
カルゼノイ子爵
ヌー子爵
ベルタン子爵
ロチルド子爵
レクイニスキ子爵
ヴィリエ子爵
パール子爵
ヴィロード子爵
マググリード子爵
ブジョー子爵
エルゼ子爵
パンフリー子爵
カラフ男爵
ボーゲン男爵
アンカー男爵
≪非領地貴族≫
シャロン子爵
デイビッド男爵
ベイオール男爵
ボルニ―男爵
他
各副大臣
各長官
中央騎士団 各師団長
宮廷魔術師隊 師長
宮廷魔術師隊 副師長
王都駐屯騎士団 団長
王国軍 大隊長以上の者
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......が、緊急召集された。王都を離れている者には、後日決定事項が通達された。
「本日この時より、ゼルフォーラ王国は、世イヴァン・ルーリンの名の下、神授により地下迷宮、楼閣迷宮の管理を委ねられた大樹の英雄ロイク・ルーリン・シャレットを支援し協力する。これは最優先事項であり最終決定である」
「畏まりました」
「エンゾ天爵殿下、ボードワン天爵殿下、ヴィクナン侯爵、パマリ伯爵、チューナー伯爵、ラカコア伯爵、イリノイ伯爵、ダリウス伯爵、ヌー子爵、シャロン子爵は、引き続き陛下よりお話があります。国王の間に」
事情を知らない、イリノイ伯爵、ダリウス伯爵、ヌー子爵、シャロン子爵は、顔を見合わせた。
「宰相閣下、名を呼ばれていない者がおられる様ですがどういう事でしょう!」
俺に気付いたヌー子爵は、宰相閣下に強い口調で言い放った。
「ツェザリ。世と副王は一心同体である。何かお前に不都合でもあるのか?」
「い、いえその様な事はございません」
「そうか」
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パトリック宰相は、ルーリン・シャレット天爵(副王)領の領都スカーレットと、ジェルマン・パマリ伯爵領の領都クロシェットがどの様に完成したのか説明すると、
「準領都チューニングを有するチューナー伯爵、準領都サーカスを有するラカコア伯爵、準領都ナセルを有するイリノイ伯爵、準領都シリウスを有するダリウス伯爵、準領都ゴールデンブレを有するヌー子爵」
5家の名を読み上げた。
「世の命により、副王が準領都を領都にする」
「領都にするとはどういう事でしょうか?」
「イリノイ伯爵」
「も、申し訳ありません。陛下・・・」
パトリック宰相に名を呼ばれたイリノイ伯爵は、イヴァン国王の話を遮ってしまった事に気付き謝罪した。
「気にするな。世もこの話を聞いた時は耳を疑った。お前の反応は世にも分かる」
「は、はぁ~・・・」
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話し合いが終わると、城壁があれば領都登録が可能な5つの集落に俺は壁を作った。
壁の高さ、厚さ、深さ、長さ、見張り台の有無、門の数、材質。価格は事前に打ち合わせし固定にした。従来より4割も予算を抑えられている上に、王国が費用の半分を負担する。完成は瞬き程の時間。各貴族家の負担は規模にもよるが、費用の半分を3年~5年毎月固定額で俺に返済する。初回月のみ端数という好条件だった。王国に5つの領都が新たに加わり、1日前に登録したばかりのスカーレットと、御前会議の前に登録したばかりのクロシェットと合わせて、7つの領都がこの2日間で誕生した。
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火山の民の祠があるリッツの領主家ヴィクナン侯爵には、俺が切り開いた森から伸ばす街道を、北モルングレー川に橋を架け領都リッツと繋ぐ計画を、パトリック宰相は告げた。理由は神授によって火山の祠に解放された迷宮の管理者が俺であるからという無理やりな物だったが、ヴィクナン侯爵は陸路で王都と繋がる事に興奮していた。
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シャロン子爵は、俺が道を敷くに際して、更に切り開く事になるモルングレー北の森跡地が領地として突然与えられ、別段目立った功績も立てていないシャロン家に良いのだろうかと困惑していた。納得していない事は分かっていたが、領都登録の為の壁や領主館や教会を俺がタダで設置するからと強引に押し切った形で領主貴族家の仲間入りが決定した。