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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
-スカーレット編ー
64/1227

1-51 ゼルフォーラ王国の貴族領と、祖父と俺。

設定資料に近い回です。

宜しくお願いします。

――― 王都モルングレー

王宮内 エンゾ天爵の居住地区

――― 6月11日 8:00


 祖父エンゾは、朝食後に紅茶や珈琲を楽しみながら談笑する時間を毎日の楽しみにしている。俺は、マルアスピーと一緒に、紅茶を楽しむ時間に便乗中だ。マルアスピーはお菓子を食べる為だ。


「これが、ゼルフォーラ王国の領国地図だ」


挿絵(By みてみん)


 祖父エンゾは、テーブルの上にゼルフォーラ王国の国王直轄領と貴族領が書かれた地図を広げた。


***王家・各貴族領の説明***


黄色の線は、大樹の森との境界線。

黒色の線は、国境。

青色の線は、王国直轄地の境界線。

橙色の線は、各領国の境界線。

黄色点線内は、ロイクの領地。


≪≪王家直轄領≫≫


青1:王国(国王)直轄領

 王都:モルングレー 

 2:王国(国王)直轄領

 3:王国(国王)直轄領

 4:王国(国王)直轄領


 ※森、山、川、湖、海は通常王国管理※


青5:剣聖ボードワン・ルーリン天爵領

  ※黒3️⃣ミィストゥリィー公爵領へ農地を貸出※

  ※黒⑥トニナス侯爵領へ農地を貸出※

  ※黒⑦パマリ侯爵領へ農地を貸出※

  ※王国へ管理を委託※


青6:王兄エンゾ・ルーリン天爵領

  ※黒2⃣トゥージュー公爵領へ農地を貸出※

  ※王国へ管理を委託※


青7:オーレリー・ルーリン王子領

  ※黒⑧ブオミル侯爵領へ農地を貸出※

  ※王国へ管理を委託※


青8:バルタザール・ルーリン王子領

  ※黒1⃣デェイビュー公爵領へ農地を貸出※

  ※王国へ管理を委託※


黒㉘:ロイク・ルーリン・シャレット天爵領

 領都:スカーレット

  ※黒㉙は街道を整備するにあたって、

   魔法で森を切り開き領地に追加された地※


≪≪3公5侯領≫≫


黒1⃣:デェイビュー公爵領

 領都:フォーラム 

 領主:ディラン・デェイビュー公爵


黒2⃣:トゥージュー公爵領

 領都:サーフィス

 領主:アラン・トゥージュー公爵


黒3⃣:ミィストゥリィー公爵領

 領都:サンガス

 領主:ダヴィッド・ミィストゥリィー公爵


黒④:アヴィル侯爵領

 領都:ブリーチ


黒⑤:ヴィクナン侯爵領

 領都:リッツ


黒⑥:トニナス侯爵領

 領都:リリス


黒⑦:パマリ侯爵領

 領都:コルト

 領主:ステファン・パマリ侯爵


黒⑧:ブオミル侯爵領

 領都:ロイ

 領主:ブルーノ・ブオミル(仮)


≪≪新1伯+8伯領≫≫


黒㉗:J・パマリ伯爵領

 領都:クロシェット

 領主:ジェルマン・パマリ(新)伯爵


赤①:チューナー伯爵領

 準領都:チューニング

  ※ドラゴン()討伐の地※

  ※『C4R4経済連合』に加盟※


赤②:モンロー伯爵領

  ※青2国王直轄領との

   領地替えにより現在の地へ移動※

  ※黒⑤トニナス侯爵領へ農地を貸出※

  ※王国へ管理を委託※


赤③:ヘルネー伯爵領

  ※黒2⃣トゥージュー公爵領へ農地を貸出※

  ※『サーフィス経済連合』に加盟※


赤④:ラカコア伯爵領

 準領都:サーカス

  ※黒2⃣トゥージュー公爵領へ農地を貸出※

  ※『サーフィス経済連合』に加盟※


赤⑤:ラミア伯爵領

  ※黒2⃣トゥージュー公爵領へ農地を貸出※

  ※『サーフィス経済連合』に加盟※


黒⑨:アルカド伯爵領

  ※⑧ブオミル侯爵領へ農地を貸出※

  ※王国へ管理を委託※


黒⑩:イリノイ伯爵領

 準領都:ナセル

  ※『コルト経済連合』に加盟※


黒⑪:ダリウス伯爵領

 準領都:シリウス

  ※王国へ管理を委託※


≪≪子爵・男爵領≫≫


黒⑫:カルゼノイ子爵領

  ※パマリ侯爵家家臣子爵カルゼノイ家の本家※

  ※『C4R4経済連合』に加盟※


黒⑬:ヌー子爵領

 準領都:ゴールデンブレ

  ※『C4R4経済連合』に加盟※


黒⑭:ベルタン子爵領

  ※『コルト経済連合』に加盟※


黒⑮:ロチルド子爵領

  ※『コルト経済連合』に加盟※

 

黒⑯:レクイニスキ子爵領

  ※『C4R4経済連合』に加盟※


黒⑰:ヴィリエ子爵領

  ※『コルト経済連合』に加盟※


黒⑱:パール子爵領

  ※『コルト経済連合』に加盟※


黒⑲:ヴィロード子爵領

  ※『コルト経済連合』に加盟※


黒⑳:マググリード子爵領

  ※『コルト経済連合』に加盟※


黒㉑:プジョー子爵領

 領都:アラシ


黒㉒:カラフ男爵領

  ※『小アラシ経済協定』に加盟※


黒㉓:ボーゲン男爵領

  ※『小アラシ経済協定』に加盟※

  ※『アンカー経済連合』に加盟※


黒㉔:エルゼ子爵領

  ※『アンカー経済連合』に加盟


黒㉕:パンフリー子爵領

  ※『アンカー経済連合』に加盟※


黒㉖:アンカー男爵領

 領都:マルアスピー

 領主:ドムトン・アンカー男爵


***王家・各貴族領の説明おわり***


「ここが、ジェルマン・パマリ伯爵様の領地ですね」


「ロイク。爵位が下の者を呼ぶ時は様は不要だ」


「・・・気を付けます・・・・・・それで、エンゾ天爵様。俺、国王陛下に謁見した後は、サーフィスに行く事にしていたんですが、近衛騎士団の副団長って王都を離れても良いんですか?」


「そうだなぁ~・・・本来ならば王宮にいるべきだとは思うが、お前の場合は神授していただいた能力もあるし問題なかろう。それよりも、御爺ちゃん。御祖父(おじい)様と呼んでくれ」


「・・・気を付けます」


『フフフッ』


 どうしたんですか?


『何でも無いわ』


 そうですか。



「お、御祖父(おじい)様。今日は、母さんとマルアスピーとパフさんと一緒にサーフィスに行く予定なので、国王陛下からいただいた領地を序でに見てこようと思っているのですが、そんなに酷い土地なんですか?」


「北ルーリン川とルーリン川の氾濫が毎年の様に起こっている様な場所だ。西ルーリン平原は別名水没平原。神様に見放された土地と呼ばれている」


「つまり堤防なりを作って川から水が溢れ無い様にすれば良い訳ですよね?」


「確かに堤防があれば話はべつだと思うが・・・ルーリン川のルーリン平原側に堤防を完成させる為に年々費やしたか知っているか?」


「知らないです。いったい何年かかったんですか?」


「140年だ」


「140年ですか?」


「そうだ。朝から晩まで中堅のマジシャン達が、ポーション(回復水)・【MP】を消費しながら140年だ」


「・・・そういえば、マルアスピー村の橋も完成するまでに3年かかったとか言ってたな。物を建てたりするのって時間が掛かるって事ですね」


「そうだな。中堅の魔術士が4人1組になってポーション片手に作業を日の出から日の入りまでやったとして、街道なら1m敷けるか敷けないか、修繕点検なら2m。城壁や壁なら高さ3m厚さ0.5mを20cm~30cm。堤防や防波堤の場合、水属性の心得を所持し水属性の魔術が使えるマジシャンと連携して作業する必要がる。1m設置するのに、1週間(10日)はかかる計算だ」


「地属性や水属性を専門にしているマジシャン(魔術師)が作業してそんなにかかるんですね・・・いただいた土地がどういう土地なのか見てはおきたいので、今日は確認だけでもしてきます」


「そ、そうか・・・」


「どうかしましたか?」


「私もサーフィスに、連れて行ってくれんか?」


 祖父エンゾは、俺の顔をチラチラと伺いながら、小さな声で話した。


「構いませんよ。母さんをリラリス・トゥージュー公爵第一夫人の屋敷に連れて行ったら、俺はマルアスピーとパフさんと領地を見に行くので、御祖父(おじい)様は母さんと一緒に動きますか?」


「ねぇロイク。今日は、パフちゃんとアリスとサラとサーフィスのトゥージュー公爵邸に行く事にしているの」


「え?聞いてませんけど」


「えぇ、話てないわ」


 ですよねぇ~


「テレーズが、サーフィスのゴールデンコートを眺めながら、サーフィス発祥のお菓子を楽しみましょうって誘ってくれたの」


「そうなんですね・・・!」


「ロイク!」


 祖父エンゾは、強い口調で俺の名を呼び、一言助言した。 


「はい?」


「女の事は、女に任せろ。と、古来より伝わる格言がある。今日は御爺ちゃんと一緒に領地を見に行こうじゃないか!なぁ~良いだろう」


「は、はい・・・そうですね」


「それと、サーフィスの公爵邸に行ったらで良いのだけれど、昨日のエクレアとかパーティーの時のお菓子を私に預けて貰えるかしら」


「構いませんが・・・」


 お菓子に誘われてるんですよね?


『えぇ』


 お菓子必要ですか?


『えぇ』


 そうですよね・・・・・・必要ですよね!



――― トゥージュー公爵領

サーフィス 公爵邸

――― 6月11日 9:20


「それじゃぁ~、夕方陽が沈む前に迎えに来ます。皆さんマルアスピーの事を宜しくお願いします」


「何で、私だけなのよ」


「あれですよあれ・・・」


 えっと、あれって何だ・・・


「妻を宜しくと言いたかったのだよ。そうだろうロイク!」


「そ、そうです。・・・という事で、俺と御祖父(おじい)様は領地を見に行って来ます」


 ナイスです。お爺ちゃん!


「ロイク。ここに居る皆にタイムカウンターを貰えないかしら?不便で困るは」


 ナイスです。母さん!


「タイムカウンター?」


 祖父エンゾ、リラリス・トゥージュー公爵第一夫人、アリスさん、サラさん、パフさん、テレーズさんが、興味津々な顔で俺を見る。



 説明しました。


 俺は、神授スキル【マテリアル・クリエイト】で、指輪型のタイムカウンターを6個創造し皆に渡した。この指輪は、俺の自信作だ。現時点での話だが、タブレットとマテリアルクリエイトの研究を重ねた結果、タブレットから時間時刻を送信し許可したタイムカウンターだけが受信するという遅延防止システム。そして、リュニックファタリテ(装備者指定武具装飾品)という盗難防止システム。装備している時だけ装備者は時間を視認する事が出来る優れ物だ。


 皆、自分の指輪からの視認しか出来ない為、半信半疑で数字を言い合い頷いていた。


「という事で、23時頃にこの部屋に迎えに来ます」



――― ロイクの領地

ルーリン・シャレット天爵領

――― 6月11日 10:00


 俺は、国王陛下からいただいた北ルーリン平原の海岸の砂浜で、海を背に祖父エンゾ・ルーリンと2人でタブレットの画面に王国街道を表示し見ていた。


「王国街道って、正街道の王都モルングレーとトゥージュー公爵領サーフィスを繋ぐルート(ワン)と、王都とデェイビュー公爵領フォーラムを繋ぐルート(フォー)と、ルート4から分岐して王都とトニナス侯爵領リリスを繋ぐルート(トゥー)と、ルート4から分岐して王都とミィストゥリィー公爵領サンガスを繋ぐルート(スリー)があって、準街道の車両用の道が1車線ずつのサーフィスとラカコア伯爵領のサーカスを繋ぐルート101と、サンガスとリリスを繋ぐルートと201があるんですよね?」


「王国内の街道としてはそれで正解だ。だが、正確には、王国が管理している街道は他に3本ある。王都モルングレーとトミーサス王国のガダムを繋ぐルート4から分岐するガダム街道。王都モルングレーとララコバイア王国の王都ラワルトンクを繋ぐルート4から分岐するラワルトンク街道。リリスとラワルトンク、カフを繋ぐ海岸街道だ。この海岸街道は国境までがゼルフォーラ王国の管理で、以降はララコバイア王国が管理する街道だ」


「領地内にゼルフォーラ王国の正街道規格で道を敷いたら、王国の管理になるとかないですよね?」


「貴族領が管理する街道や道は領道といって、各貴族家が自分達で管理運営する事になっている。その代わり関所や砦を設置し通行料は100%貴族領側の収入になる」


「ルーリン川に橋とか架けても怒られませんよね?」


「橋か・・・橋に関する王国法は存在しないはずだ。ルーリン川に橋を架ける場合、船の往来が可能であれば大丈夫だと思うが・・・」


「マルアスピーからルート4に出る為の橋は王国が管理してます。リリスやサンガスに行く為の橋も王国の管理何ですか?」


「橋は、サンガスとブリーチを繋ぐミィストリィー大橋以外は王国が管理している。橋の通行税は、出入通行手続きの際に入都入領税とは別に徴収されている。アンカー男爵領の橋は、アンカー男爵領の為に架けられた橋では無い。大樹の聖域の御神木大樹様の祭壇に巡礼する為に架けられた巡礼の為の橋だ。巡礼の為の橋という事で通行税の徴収が無い訳だ」


「なるほど・・・橋は架けても良くて、道は勝手に敷いて言い訳ですね」


「そういう事になるかな」


「そうなると・・・」


 俺は、タブレットの画面を見ながら何処に道を敷くか思案していた。



「御爺様。例えばですよ、俺の領地の北ルーリン川に沿って道を敷いて、北はモルングレー西の森の手前で西に曲げて、南はルーリン川手前で今は止めておくとして道を敷くとします」


 俺は。タブレットの画面に線を引きながら説明する。


「この宙に映し出される絵も便利な魔術だなぁ~・・・」


 祖父エンゾは宙に表示したタブレットの画面に何度も手を伸ばしては空を切っていた。


「でもって、北ルーリン側に沿って下流に敷いた道をルーリン川に沿って下流に伸ばします。表示されている地図だとサーフィスの大通りがルーリン側の手前まで伸びているので、将来的にはこの道とこっちの道を橋で繋ぐってのはどうですか?」


「北ルーリン平原側にルーリン川を隔てているとはいえルート1と並走する道を敷いても意味が無いと思うが・・・」


「そこは、俺の領地に港とか城壁で囲まれた集落を幾つか作って人が住みだせば、必要になるかなって」


「だが、まだ農地も集落も港も無いのだぞ」


「でも、道が無いと人が住む訳無いし・・・道も城壁も農地も港も一気に作るしかないですよね?」


「それが出来たら準領都の領主達も苦労しないだろうな。ハハハ・・・」


「予算って事ですね」


「その通り。建築材料として岩や石や土や砂利や木材等々の買付費用。そして現地までの運搬費用。盗まれぬ様に警備する者も必要だろう。現地で働く作業者を大量に雇いその者達の賃金や交通費や居住全般の費用。予算もさることながら、何よりマジシャンの手配が非常に難しい」


マジシャン(魔術師)ですか?」


「城壁も道も地属性の心得を所持し地属性の魔術を使えるマジシャンが居なくては始まらない」


「うん?ちょっと待てよ・・・地属性や水属性のマジシャンが居れば作業は出来るって事ですか?」


「そうなるが・・・どうしたのだ?」


「魔術で道も城壁も堤防も防波堤も港も作ってるんですよね?」


「建築の基本は地属性の魔術無くして成り立たず。学校で習っただろう?」


「俺の故郷には教会や学校が無かったし。それに猟師や農家ばかりの小さな村だったから」


 でも、考えてみたらそうだよ・・・魔術で作らないでどうやって作ったんだって話だよね・・・


「もしかしたら、俺なら俺簡単に出来るかも!」


 俺は、創造神様から神授していただいた建物セットを確認しながら、地図に道の線を引き、壁の線を引き、堤防の線を引き、農園を書き込み、建物を配置しては訂正を繰り返した。



「ロイク。絵に書いて計画を立てるのは自由だが・・・領都として国に認めて貰う条件を知っているのか?」


「領都って何ですか?」


「なるほどな。絵に道や農地や居住区ばかり書き加えているはずだ。領都は、貴族領内に存在する城壁に囲まれた集落の事で、城壁は石でも岩でも木でも土でも良い壁に囲まれている事が重要だ。そして、領主館と教会が無くてはいけない。領主館や教会はあるが壁が無い集落は準領都とし王国に登録される。領主館と壁が無い集落は近隣にある大きな領都の衛星集落と呼ばれる」


「俺の故郷には教会がありませんが、この場合は何て言うんですか?」


「信仰の対象でもある、御神木聖域の大樹様の祭壇が教会としてあるではないか」


「あぁ~」


 あれで、良いんだ・・・あれで教会扱いな訳か・・・神様の代わりにマルアスピーって精霊が宿ってるんだけど・・・


「つまり、壁と教会と領主館があれば、人は関係無く領都になる訳ですよね?」


「王国法ではそうなるな」


「出入通行管理の王国兵とかはどういう仕組みで領国に派遣されてるんですか?」


「王国に申請し、年間の出入者数に応じ出向の規模が変わる」


「なるほどね」



「こんな感じなら俺としては良いかなって思うんですが」


「ロイク、これでは、道や壁ばかりではないか。それに、領主館が見当たらないぞ」


「え?・・・この海側の壁に囲まれた中にある、これが領主館の予定なんですが・・・」


「これは問題だろう・・・国王陛下が領国視察で滞在される時の事を考え、モルングレー大聖堂の10分の1以上の大きさで無くては・・・これでは小屋ではないか!」


「小屋って、俺の実家より広くとったんですが・・・領主館は、大きく描き直しっと」


 神様からいただいた、比較的大きめの屋敷ってのをここに置いとくか・・・


「領地の中に領都は1つしか無理って事ですよね?」


「・・お前、何をやる気なんだ?」


「農地に対して、集落が1つだと遠いかなって思ったので、数か所に壁と教会と農地をって・・・」


「・・・領都が既に存在している場合は、何々領〇〇〇。もしくは、領都〇〇衛星副都市。居住区や農地や教会の管区が同じ場合は、壁が無くても大きい方の集落として登録する事が可能だが・・・お前の領地では数百年後だろうな。ハッハッハッハ」


「王都の外壁の外も王都ってそうい事なんですね」


「そうだ」


「ところで、御爺様の領地には集落は無いんですか?」


「あるが、壁が無い。領主館も無い故、モルングレーかサーフィスかサーカスの衛星集落として管理されている」


「壁と教会があれば良いんですよね?」


「そうだな。だが、壁を作る為の材料を運ぶ街道が無い。近くには森も無い故、木材の確保もままならい。住んで居る者達は家の周りに魔獣除けの掘りを作り賢く生活している状況だ」


「なるほど・・・エンゾ天爵領を表示」


≪・・・表示しました。


 俺は、祖父エンゾの領地を確認した。



「農地に対して集落が多く無いですか?」


「おや?昨年の11月に視察に行った時にはこんなに建物が無かったはずだが・・・」


「街道も無いルーリン大平原のド真ん中に800人以上住んでるみたいです。この家なんか壁に囲まれてますよ。俺の領地の道とか敷き終わったら見に行きますか?気になるし」


「そうだな。我が領地の事だ放ってはおけん。それはそうと、道はそう簡単・・・・・・いや、んー何も言うまい」


「それでは、早速、自然魔力(まりょく)を全開で、道と堤防を、タブレットの画面で引いた線の所に敷きます」


「【MP】が0になるのだけは気を付けてくれよ。ここに気絶したお前と私では、お前が目覚める前に喰われてしまう」


「大丈夫ですよ。俺【MP】100万以上あるらしいから。あ、それと、御爺様の領地と俺の領地ってルーリン川を隔て隣り合ってるし橋を架けて道を繋いでしまってもいいですかね?」


「100万!だと・・・・・・あぁ橋か・・・領主の許可があれば、相手の土地に道を敷く事は、問題無い」


「それなら、おれの領地から、御爺様の領地のこの集落の近くを通って、サス湖の畔まで道を敷いても問題無いですよね?」


「な、無いが・・・私が生きている間にその大構想の完成した風景を見たかったものだよ」


「何言ってるんですか?後1時間・2時間で死ぬ訳じゃあるまいし!」


「そ、そうだな・・」


 しかしあれだな!大地に地属性の魔法を実行するから、自然魔素・地属性は使い放題だし!俺って壁とか道作って稼げそうだよ。マテリアルクリエイトで材料も自分で作れるし。



「という事で、心象を強く描いて・・・神授スキル【マテリアル・クリエイト】:道を創造・ゼルフォーラ王国の街道規格で、敷く場所は太い線。この細い線は馬車が余裕で擦れ違える位の道。発動 ≫」


 宙に次々と素材が出現し地面が砂埃を上げ始める。


「御爺様。暫く揺れますが、地震じゃないので安心してください」


「あぁ・・・な、何が?」


「次は壁だな・・・【マテリアル・クリエイト】:壁を創造・門は後で再創造・外周の壁は・・・いっその事大きく囲んでしまうかな・・・地中に5m・高さ5m・厚さ2mで良いかな。生成は外壁だし花崗岩で十分かな!発動≫」


「お前、今、何をしている?」


「正街道の規格の道と農地用の道と外壁を魔術で作ってます」


「この宙に浮いている絵の通りにか?」


「そうです。あっ!港と堤防や防波堤もですね・・・実験レベルの港だし、サーフィスの港湾を参考にするか・・・サーフィスの港湾を表示 ≫」


≪・・・表示しました。


 なるほどねぇ~・・・


「港には、出入通行管理と壁が必要なんですね」


「入領する訳だからな」


「この船着き場を真似して領主館の傍に設置してみるか・・・水深が10mって、結構深いなぁ~」


「・・・」


 祖父エンゾがもの言いたげな表情で俺を見つめる。


「見ていれば分かります。今、この港を心象に強く描いてるんです」


「そ、そうか・・・」


「よし!【マテリアル・クリエイト】・船着き場を創造・素材はサーフィスの港湾と同じ素材で生成・・・掘った砂利は俺のタブレットに一時的に保管・心象を強く心に描いて。発動 ≫ 堤防も、【マテリアル・クリエイト】・・・素材は頑丈なら何でも良いや・・・心象を強く。発動 ≫」



 俺は、教会を心象しようとしたが、教会に行ったのは、16歳の時と20歳の時、そして最近大聖堂に2回だけ・・・知識記憶の中に教会の心象が無い事に気付いた。


「御祖父様。教会ってどういう建物でしたっけ?」


「三角屋根で石造りでステンドグラスと鍬と鎌と稲穂と葡萄酒を満たした杯。後は大きな木の扉だろうか・・・教会の中までは分からん」


「なるほど・・・さっぱり分からないですね・・・コルト大聖堂を表示 ≫」


≪・・・表示しました。


「これだと、大き過ぎますよね?」


「大きいというか、国の重要文化財を真似て建てる気か?」


「そっか、観光資源で文化財だって言ってたっけ!真似ちゃうと良くないよねぇ~・・・検索・ゼルフォーラ大陸以外にある大聖堂」


≪・・・・・・該当30万121堂です。


「え?世界に大聖堂って30万個以上あるらしいですよ」


「・・・きっと教会も含まれているんだろう。しかし、創生教会も侮れんな」


 ・・・ん?俺の魔法【ノートルダム(聖母)】と同じ名前の大聖堂があるみたいだ。パーリ(・・・)?何処にある都市だ?聞いた事が無いけど、こんな立派な大聖堂がある位だから大きい都市なんだろうな!これを真似て大聖堂を作ったらコルトの大神官長様に神官を派遣してって頼んでみるか・・・


「【マテリアル・クリエイト】大聖堂を創造・タブレットで検索したパーリ(・・・)という都市のノートルダム大聖堂をパーフェクトコピー・素材は実物と同じ物で生成・場所は・・・」


 う~ん・・・邪魔なら後で動かせばいい訳だし、領主館予定の場所の隣にでも設置しておくか。


「画面のこのあたりに設置。発動 ≫」


「・・・ロイク・・・壁やら道やら港やら・・・夢を見ているようだ・・・」


「貴族領軍私兵詰所も最初から設置しておいた方が良いか・・・それなら、いっそ農地も・・・」


 先日、料理の神chefアランギー様から教わった円形の農園を試してみるか?あっ!でも、円は狭い所とか水が大変な場所とか言ってたっけ・・・普通に長方形にしておこ。



「西モルングレー山脈の北側のモルングレー西の森の北側の森なんだが・・・これだと森林が無くなって道が出来てしまないか?」


「何処ですか・・・あっ・・・御祖父様。どうしましょう?モルングレー西の森と北の森の境界が曖昧で王様の土地まで森を平地にして道を敷いちゃったかもしれません」


「いざとなったらイヴァンには私が説明してやるさ」


「ありがとうございます・・・」



 そして、俺の領地に、道と壁と堤防と港と農地が出来ました。ルーリン川には橋が架けられ、祖父エンゾの領地と道が繋がり、その道は祖父エンゾの領地を横断しサス湖の畔まで到達。サス湖から流れるサラン側の下流にはトミーサス王国の王都トミーランがある。道は偉大なり・・・


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