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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
-モルングレー編ー
63/1227

1-50 新たな神授と、花嫁は悪魔と女神。

宜しくお願いします。

――― 王都モルングレー

王宮内 エンゾ天爵の居住地区

――― 6月10日 23:00


 2つの陽が沈む1時間前。この世界では夕方にあたる。


 俺は、王宮の中にある王家のエリア(地区)内にある、イヴァン・ルーリン国王陛下(56)の兄エンゾ・ルーリン天爵(63)が王都モルングレー滞在の際に居住する王兄エリア(地区)の一室のバルコニーに、マルアスピー、父バイル・シャレット、母メアリー・シャレットといる。


「ここから見る夕陽何て何年ぶりかしら・・・」


「うぉっ!・・・うん。まぁっ、綺麗だなぁっ!」


『ねぇロイク。メアリーママさんとおうとうさま(義理の御父様)、先程から同じ会話を繰り返しています』


 国王陛下に息子が謁見する事になった時点で、ある程度の覚悟はしていたとは思うが、まさか勅令で呼び付けられるとは思いもしなかっただろう。その勅令を運んだのは俺なんだけど・・・


 あれは、謁見の儀と恩賞授与式、英雄誕生の儀、家臣救済の儀と石化解呪の儀が終わり、王宮会(パーティー)の開始前に国王陛下が王家の一族を国王の間に集めた時の事だ。



――― 王都モルングレー

王宮 国王の間

――― 17:30


「待ったかね」


「陛下!」


「国王の間だが、王家の者しかいない、レストゥロワイヨーム(王家の地)の感覚で構わんだろう」


「兄上。紹介しようこの者が噂の英雄殿だ」


 国王陛下は、俺の名前を故意に呼ばずに紹介した。


「そして、こちらの精霊様や妖精と見紛う程に美しい女性は、英雄殿の奥方でマルアスピー・シャレット殿。幼さの残る愛らしさと得も言われぬ妖艶な魅力を兼ね備えておるが何とまだ19歳だそうだ。世界は広いなぁ~ハッハッハッハ」


 どっちでだろう・・・ハハハ。


ドラゴン()を一人で退治した英雄って聞いていたから、もっと違う感じのを想像してたんだけど、俺等と同じじゃん」


「お前達、英雄殿に対し失礼だぞ」


「でも本当の事だろう。見かけによらないって言うなら、英雄殿も奥さんに負けず劣らず予想外の展開じゃん」


「だろうガスパール」


「だなアルセーヌ」


「申し訳ない。英雄殿。この2人は、我が息子アルセーヌとガスパール。親の私でも見間違う時がある程に似ておるが、弟のガスパールの方が私に似て魔力が高く。兄のアルセーヌは妻に似てなかなかの軍師という違いがある」


「国王陛下。ようするに、髪の長い(かた)がアルセーヌ第1王子様で、短い(かた)がガルパール第2王子様ですよね?」


「あぁぁ・・・うん?・・・ガスパール髪を切ったのか?」


「今頃気付いたのか?10日も前に切ったじゃん」


「そ、そうか・・・これで間違う事が無いな。ハッハッハッハ」


「しっかりしてくれよ」


 挨拶しておいた方が良いですよね?


『私は人間種のルールにも疎いのよ・・・』


 そうですよね・・・挨拶は出会いの基本です。先に済ませましょう。マルアスピーも一緒にです。


『私もなのね。分かったわ』


「本日は、謁見の間に呼んでいただきありがとうございました」


「ありがとうございました」


「うん?急にどうしたのかね英雄殿よ」


 国王陛下が不思議そうな顔で俺を見る。


「呼んだのは父上で俺達じゃないぜ」


「これ、茶滓で無い」


「王都に呼んでいただいた事で、俺は外の世界を知りました。貴族や王宮の中の世界。商人達の世界。冒険者達の世界。色々な仕事の人に会う事が出来ました。故郷は猟師や農家ばかりの小さな村で、領主様のところで働く専従奴隷を入れても540人程なんです。コルトやロイやモルングレー本当に勉強になりました」


「なりました」


「なので、そのお礼です。・・・あっ、自己紹介が先だった・・・」


「ハッハッハッハ。今更自己紹介かね?ゼルフォーラ王国に王子の名を知らぬ者は沢山いても、稀代の英雄殿の事を知らぬ者はそうそう居ないと思うぞ」


「は、はぁ~・・・」


「確かに挨拶は大切だな。英雄殿の紹介は私がした。それでは、私が一族を紹介しよう」


「あ・・・ありがとうございます」


 王様が直々にって良いのかなぁ~・・・


「まずは、叔父上殿だ。叔父上は、我が父ジャン・ルーリン先々代の国王の弟で、ボードワン・ルーリン。87歳と御高齢なのだが剣聖としての自尊心が高くてねぇ~やれ手合わせだ決闘だと大変なんだよ。手合わせを頼まれた時は殺さない様に頼むよ・・・」


「イヴァン。人を年寄扱いするでない。儂は神授をいただき剣聖として神の名を汚さぬ様に、日々鍛錬しているまでの事。まだまだ若い者には負けんわ」


「叔父上殿はいつもこんな感じです」


「ボードワン・ルーリン殿下?・・・」


 呼び方が分からないぞ・・・


「ボードワンでも、御爺上でも何でも良い」


「それは流石に王族の方に対して失礼かなと俺でも思いますが・・・」


「儂の孫の旦那になるのだろう?・・・それにお主は、......」


「ああぁ、そうそう」


 国王陛下は、ボードワン・ルーリン天爵殿下の言葉を遮った。


「そして、こちらはドミニク・ルーリン天爵第一夫人。王家の者は皆ルーリン姓だ。なので正式な名前は、ドミニク・B・ルーリン妃(85)って事になる。Bは、叔父上殿ボードワンのB。妃は第一夫人の事だね」


「貴殿がサラが話ていた聖属性の英雄殿か。なるほど、確かに良い面構え良い魔力を持っておる様だねぇ~・・・」


「ドミニク・B・ルーリン妃様。ロイク......」


「そして、次は」


 国王陛下は、俺の言葉を遮った。

 

「イヴァン。今日はやけに落ち着きが無いがどうした?」


「叔父上殿。私はいつもこんな感じですよ。ハッハッハッハ。そして、ここには居ないが叔父上殿の息子でバルタザール・ルーリン(59)と、その妻パトリシア・B・Jr・ルーリン妃(54)。そうそう、ドミニク殿の実家はミィストリィー家。パトリシア殿の実家はフェトロング家だ。そして、叔父上殿の娘で剣聖サンドラ・ルーリン(49)。養子にした、バルタザールの次男クレマン・ルーリン(24)を鍛えると言って2ヶ月程前から王都のアドベンチャーギルド(冒険者探検家協会)に入り浸っているそうだ」


 王族が問題が多そうな王都のアドベンチャーギルド(冒険者探検家協会)に入り浸って大丈夫なのかな?・・・


「そして、彼はバルタザールの長男でジャマル・ルーリン」


「ジャマル・ルーリンだ。宜しく頼むよ英雄殿。貴殿は、私と年齢が近い、何より私のおとうと(義理の弟)になる訳だ。・・・今度時間がある時に、1つ手合わせを頼む」


「は、はぁ~・・・・・・」


 ・・・レベル13かぁ~加減の練習しておかないと。


『武具装備無し左腕だけで魔法無しでならどうかしら』


 それただの侮辱ですよ・・・


『人間種て面倒ね。もう』


 俺が悪いんですか?・・・



「そして、ルーリン家の者を絵に描いた様なゼウス色の髪と瞳。彼女がサラ・ルーリン(21)だ」


「サラ・ルーリンです・コルト大聖堂では御挨拶も出来ず失礼致しました」


「いえ」


 そこには、身長160cm弱。細身にも関わらずグラマー。ゼウス(黒系)色の長い髪と瞳。母さんと髪と瞳が同じ色だからだろう。何処となく似た感じを覚える美少女?美女が居た。とても愛らしいお姫様だ。


『ふ~ん。良い気を持っていると感じていましたが、この人間種はメアリーママさんに近いわね』


 マルアスピーもそう思いますか?


『えぇ~』


「ロイク様。マルアスピー様。今日から(・・・・)宜しくお願いします」


「こちらこそ、宜しくお願いします」


 あれ?今日から?


「サラとは今後幾らでも一緒にいられる訳だ。次を紹介するよ」


「は、はい」


「本来なら、こっちの紹介が先なのだろうが、サラの紹介をしたかったからねぇ~・・・この美しい女性は私の妻アリス・I・ルーリン王妃(48)だ。アリスは、ドミニク殿と同じミィストリィー家の出身だ」


「宜しくね」


「はい。こちらこそ宜しくお願いします」


「そして、私の娘リナ・ルーリン(21)」


「サラが凄い人を見つけたと言っていましたが、まさか王家(おう・)うぅぅ」


 国王陛下は、リナ・ルーリン王女の口を塞ぐ。


「どうした?咽たのかな。ハッハッハッハ」


「・・・何をなさるのですか?」


「良くなったか、良かった。良かった。ハッハッハッハ」


「・・・・・・」


 国王陛下は、リナ・ルーリン王女を無視して話を進める。


「この2人は紹介したね。私の息子で、双子の兄のアルセーヌ・ルーリンと弟のガスパール・ルーリン」


「宜しく頼むぜ」


「宜しくな」


「こちらこそ、宜しくお願いします」


 随分フレンドリーな王子です。


『陰険で陰湿な人間種よりは良いと思いますよ』


 極端ですね・・・


『そうかしら・・・人間種は裏がとてもあるみたいです。裏が少しでも少ない人間種の方が良いと思いますよ』


 そ、そうですね・・・


「次は私の兄を紹介しよう」


 国王陛下は、俺にウィンクした。


 ん?何だ?


「兄のエンゾ・ルーリン(63)と、奥方のイネス・E・ルーリン妃(62)だ。イネス殿の実家は、確かモンロー家でしたね?」


「はい。陛下」


「兄上。イネス殿。王都も王宮も彼の噂で持ち切りですが、その稀代の英雄殿を見た感想は?」


「1人でドラゴン()の討伐を成し得たとは到底信じ難い。綺麗な顔立ちに小柄な体型。何処にドラゴンを倒す程の力を秘めているのやら。興味深い」


「そうですわね。本当に興味深いですわ。ザウス色の髪・・・」


「さて、次は今は居ないが、兄上の長男オーレリー・ルーリン(45)と、奥方のローラ・O・ルーリン妃(42)。その息子のクレーリー・ルーリン(25)。オーレリーはブオミル領の南に王子領を持っていてね。侯爵家の御家騒動を調査する責任者としてブオミルに赴いている。ローラ殿とクレーリーには声を掛けたはずなのだが・・・機会があったら紹介するとしよう」


「ありがとうございます」


「あとは、ここには居ないが、前国王ベルナール・ルーリンの奥方で前王妃エメ・B・ルーリン殿(63)。前国王の娘でトゥージュー家に降嫁したリラリス・ルーリン(44)。リラリスには、3人子供がいて長男のセザール・トゥージュー(26)は次期トゥージュー公爵だ。そして長女プティット・トゥージュー(23)、次女テレーズ・トゥージュー(18)。前国王の娘はもう1人いてラカコア家に降嫁したクリオ・ルーリン(35)。その息子エディ・ラカコアは次期ラカコア伯爵だ。王家の王妃、妃たる者の血を受け継ぐ一族は・・・・・・」


 国王陛下が、王兄エンゾ・ルーリン天爵とその妻イネス・E・ルーリン妃に視線を動かし、俺の方を見る様に促していた。


「イヴァンどうしたというのだ」


「兄上。イネス殿。彼をもう1度良く見てください」


「イヴァン殿。女の私がまさか気付かないとでも?」


「やはり、あねうえ(義理の姉)上にはお分かりになりましたか!」


「イヴァン。イネス。先程から何の話をしておる」


「貴方、気付きませんか。英雄殿は、メアリーの息子。私達の孫です」


「な、なんじゃと!」


「ルーリン家の血族に多いゼウス色の瞳とゼウス色の髪。彼はゼウス色の髪・・・もしやとは思いました。それに、私の実家モンロー家の顔立ちを感じました」


「それを言うなら私の方に似たという事だろう。髪の色が同じなのだからな」


「王家の者のほとんどが、黒い瞳か黒い髪じゃありませんか!」


「兄上。イネス殿・・・メアリーの事を聞かなくても良いのですか?」


『これが本に書いてあった人間種の親馬鹿、祖父母馬鹿という物ですね・・・』


 どんな本を読んだんですか?


『色々、沢山よ』


 ふ~ん・・・


「・・・そうだな。・・・メアリーはやはり生きておったか」


「私はあの時に言ったはずです。私に似て逞しい子です。必ず何処かで生きていると・・・」


 親父!母さん!・・・もしかして2人って、駆け落ちですか?駆け落ち・・・


『フフフッ・・・情熱的ね』


 親父・・・王女様を誘拐しておいて、士爵だ英雄だって呑気に暮らしてたのか?


おうとうさま(義理の御父様)らしい潔さです』


 これって、潔いって言うのか・・・



「今は何処に住んでおる」


「今ですか・・・そうですねぇ~・・・俺がアンカー男爵領マルアスピー村を旅立って暫くしてから引っ越ししました」


「私達に勘付かれると悟り引っ越したというのか・・・」


 そういや、若返ったって事もあるけど、村を離れる事に何の抵抗もしなかったような・・・ま、事実だけを並べて説明しておけば問題ないか。


「それは無いと思います。村でオプスキュリテ(闇炎牙狼)を倒した後、創造神様から何度か神授をいただいたのですが、その中に両親に対する神授もあったんです」


 運の神フォルティーナ様の運の暴走でおかしな事になったけど、あれって創造神様からの神授であってますよね?


『えぇ。創造神様から預かって来たとフォルティーナは言ってました。それに神授も神託も神様からいただいた事に変わりありません』


 確かに、そうですね。


「神授の内容を尋ねる事は創生教の信徒にあるまじき行為だが、教えて欲しい頼む。メアリーはどんな神授をいただいたのだ?」


 神授の内容を人に聞くって恥ずかしい事だったのか・・・


「それがですね。俺を産み育てた事への礼を神授されて、その後で俺に課された使命が悠久がなんたらって事で、時を管理する創造の理という祝福を神授されたみたいなんですが・・・」


 これって、話しても大丈夫ですよね?家族には言っても良いって運の神フォルティーナ様も言ってたし・・・


『いざとなったら記憶操作よ』


 それ、神様がやった事を巻き戻す事は出来ても、人間が勝手にやった事は神様は責任取れないって言ってたじゃないですか。


『ふ~ん。皆大変なのね』


「この神授は、ちょっと色々ありまして・・・」


「英雄殿よ。色々とはどんな事だね」


「ここまで話してその先を聞かせてくれないのはずるいぞ」


 エンゾ・ルーリン天爵様に、国王陛下、そして王族の皆が興味津々な様子で俺を見つめていた。


「それは、2人の時間の流れが20分の1になる理なんです。しかも、純粋に20分の1の速度になると言うよりも、今の見た目の状態が長く続くらしんです」


「あの子は今年で幾つになる?」


「メアリーは今年43歳ですよ」


「なんと・・・」


「創造神様からの神授には、不老にも近いそんな物まであったとは・・・」


 国王陛下の言葉に続いたのは、剣聖ボードワン・ルーリン天爵様だ。


「それがですね」


「まだあるのかね?」


 国王陛下は、王族を代表する形で俺に質問した。


「母は神授の際に10歳程見た目が若返ってしまって32歳位の状態で、父は8歳程若返ってしまって38歳位の時の状態らしいんですよ」


「そ、そんな事が・・・」


「それで、村に居られなくなったので、俺が神授で管理者になった創造神様の神殿・・・あっ・・・」


 これって・・・まずくない?


『家族には真実を打ち明けて良いのでしょう?ここに居る人間種はメアリーママさんの家族って事でしょう?それならロイクの家族よ』


 う・・・念の為に保険を。


「今から皆さんに話す事は、創造神様から神授をいただいた際、神様と約束した事なのですが、これを破ると神様から天罰があるそうです。話しても大丈夫でしょうか?」


「ここまで聞いて引き下がったとあってはルーリン家の恥。話てくれ」


 王族の皆が頷いた。


「実は、神授していただいて、東モルングレー山脈の中央に創造神様の神殿と本殿と俺の別荘があるのです。土地の有効活用という事で農園も作りました。神授でいただいた別荘の傍で、村に居られなくなった両親は暮らしてます」


「東モルングレー山脈の中央か。神々のへそ(・・)と呼ばれておる周りより低くなった場所あたりかね?」


「そうです。ボードワン・ルーリン天爵様」


 へぇ~・・・スタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)って、神々のへそって呼ばれてるのかぁ~。そうです。って、答えちゃったけど・・・あってるのかな?ハハハ


「最近、へその左右から豊富な水量の滝が確認され、大樹の森の状態が変化しつつあると報告があった。それと関係しているのかね?」


 あぁ~あってるわ。


「滝は、神授をいただいた際に出来た池からの水で、9000m下の地上までは水の塊として落ちる事はないそうですが・・・」


「叔父上殿。兄上。これは、国の運営に関わる話。この件は御前会議に場を移してからにしましょう」


「そうだな。済まん。エンゾ。メアリーの事を聞くと良い」


「え?えっと、両親の話はそれだけですけど・・・」



 そういや、親父からも母さんからも祖父母の話を聞いた事が無いなぁ~・・・唯一知ってたのが、従姉妹のリラリス・ルーリンだ。しかも名前すらうろ覚えだ。


「俺は、父の方も母の方も、祖父母の話を聞いた事はありませんでした」


「そ、そうなのか・・・私達の事を子供に話て聞かせるのは難しいか・・・」


「まずは、25年前に失踪した件は生きて生還という事でめでたく解決。駆け落ちの件も、創造神様より神授をいただき産み育てた事に対し礼の言葉をいただいている以上。メアリーは創造神様より祝福され結婚した事になる。メアリーの判断は正しかったと認めるしかありせんな兄上」


「わ、分っている・・・だが、今更どんな顔をして会えば良いのだ」


「お帰りなさい。で、良いのよ」


 おぉ~流石母さんの母さんだ。


『フフフッ。メアリーママさんは、メアリーママさんのママさんに似たのね』


 みたいですね。


『ロイク』


 あぁはい!


『あたしだね』


 どうしました?


『神授を預かったね』


 はい↑?誰からですか?


『創造神に決まってるね』


 そりゃそうか・・・どんな神授ですか?


『それが、多いね』


 多い?


『そうだね。あたしにも神授があったね』


 神様も神授されるんですか?


『みたいだね』


 それで、誰の神授を預かったんですか?


『いっぱいだね』


 フォルティーナが預かったんですから、頑張ってくださいね。


『ゼルフォーラ王国の未来に関わる神授を預かったあたしを無下にして良いのかね?』


 脅す気ですか?


『違うね。確認だね』


 ・・・言葉を変えただけのような。


『人間達は神を創造神1柱だと思ってるね。神授を神託したら混乱するね。あたしが創造神のふりをして良いか悪いかロイクに決めて貰うね』


 ちょ、ちょっと待ってください。そこ一番大事な所ですよ。自分で決めてくださいよ。


『それが・・・ロイクに決めさせる様に創造神が・・・』


 創造神様からの指示なんですか?


『言った様な気がするね』


 嘘ですよね?


『・・・気がしたと言ったね』


 ・・・それで、どうするんですか?


『ロイクから許可を貰ったね』


 は?


『アスピー聞いたかね?』


『はい』


 いやいやいやいや。おかしいでしょう。


『ゼルフォーラの為に仕方の無い事なのですよね?』


『そうだね。ロイクの為にもなるね』


『ロイクが許可します。嘘付いても構いません』


 ちょっと、何勝手に話を進めてるんですか!


『ロイクの為です』


『そうだね。ロイクの為だね』


 俺の為って・・・絶対嘘だ・・・


『話が決まったね。それでは、サクッと終わらせてあたしが神授された事を済ませるね ≪パチン』


 運の神様が創造神様から神授された事?って、パチンって指鳴らしたな。


≪≪≪ あー あー 聞こえるかね諸君。


「何だ?頭に直接声が・・・」


「イヴァン。儂もだ。何だこの声は!」


「この場に居る皆に聞こえている様です。英雄殿よ、これは?」


 国王陛下が口火を切ると、剣聖ボードワン・ルーリン天爵様が周りに状況を確かめた。エンゾ・ルーリン天爵様は俺に確認した。


「これは、神授だと思います」


「創造神様からの啓示だというのか・・・」


≪ガヤガヤ ガヤガヤ


 王族とて人間だ、皆、動揺を隠せないでいる。剣聖ボードワン・ルーリン天爵だけは冷静だった。


≪≪≪ まずは、この世界に唯一存在する神の神殿へ招待しよう パチン



――― スタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)

中空の離宮の本殿 神授の間

――― 6月10日 18:30


 俺は、中空の離宮の本殿の神授の間の降臨の椅子の横に立っていた。


 降臨の椅子の正面には、エメ・B・ルーリン前王妃。ゼルフォーラ王国国王イヴァン・ルーリン陛下、その妻アリス・I・ルーリン王妃、リタ・ルーリン王女、アルセーヌ・ルーリン皇太子、ガスパール・ルーリン王子。王兄エンゾ・ルーリン天爵、イネス・E・ルーリン妃、オーレリー・ルーリン王子、ローラ・O・ルーリン妃、クレーリー・ルーリン王子。剣聖ボードワン・ルーリン天爵、ドミニク・B・ルーリン妃、バルタザール・ルーリン王子、パトリシア・B・Jr・ルーリン妃、ジャマル・ルーリン王子、剣聖サンドラ・ルーリン王女、クレマン・ルーリン王子達が立っていた。


 俺の後ろには、精霊樹に宿りし大精霊マルアスピー・R・ルーリン・シャレット、神獣大白鳥種アル・R・ルーリン・シャレット、パマリ伯爵令嬢騎士(デイム)アリス・パマリ、サラ・ルーリン王女、パフ・レイジィー、悪魔トゥーシェ(邪の神の眷属)、トゥージュー公爵令嬢テレーズ・トゥージュー、運の神フォルティーナ様が立っていた。


 そして、降臨の椅子の正面に居る国王陛下達の後ろには、邪狼獣のセリューさん、ディーズさん、ナクールさん、ロージャンさん、イルーグさん、クルーズさん、バルーサさん、ルクソールさん。聖馬獣のエリウスさん。そして、俺の父バイル・シャレット、俺の母メアリー・シャレット、料理の神様chef(シェフ)アランギー・フゥファニー様、焦げ茶色のスーツの妖精スコーチュ君、深緑色のスーツの妖精アメール君、紫色のスーツの妖精ソイソース君、黄色のスーツの妖精オムレットさん、白いスーツの妖精メレンゲ君が立っていた。



≪ガヤガヤ ガヤガヤ


「英雄殿よ、ここは何処なのだ?」


 剣聖ボードワン・ルーリン天爵様は、俺に話掛ける。すると、神授の間に神によって強制的に集められた皆の視線が俺へと集まった。


「ここは、この世界に唯一存在する世界創造神様の神殿がある中空の離宮の本殿の中の神授の間です」


「この様な場所が・・・な、何だ・・・後ろの・・・」


 国王陛下は神授の間を見渡し、後方に控えていた邪狼獣の兄弟姉妹を見て驚いた様だ。


「彼等は、聖獣様達と並ぶ存在邪獣様達です。そして、あの可愛らしい存在は妖精達です。ですが、この世界で言う妖精族とは異なります。そして、俺の家の厨房を全て任せているchef(シェフ)アランギー・フォファニー。そして、俺の両親バイル・シャレットとメアリー・シャレットです」


「メアリー?・・・間違いありませんわ・・・すっかり大人になってしまいましたが、間違いありませんメアリーです・・・」


「10歳程若返ってしまたので、大人になってしまったと言われると、何か不思議な感覚を覚えます。御父様、御母様、それに兄上様。お元気そうで何よりです」


≪≪≪ 神授の間へ汝らを招待した。ここスタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)は数億年前、中空の離宮として神殿を建てた地です。ロイク・ルーリン・シャレットはこの地を治め管理する者です。神授によりこの者は、神の地の守護者、管理者、聖人となりました。


 言ってる事は間違ってないが・・・厄介な事を・・・


≪≪≪ この地に汝らを集めたは、神授を与える為。神授は夫々に3つ。1つは、ここスタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)で月に1度開かれる大パーティー(試食会)。その参加資格。


≪ガヤガヤ ガヤガヤ


≪≪≪ 1つは、パチン



――― スタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)

西側の滝 西の展望台

――― 6月10日 18:50


≪おぉ~


 突然、滝を見下ろす事が出来る展望台に移動した。眼下に広がる。大樹の森、ルーリン湖、ルーリン平野、虹、そして海。皆、思い思いに絶景を眺めている。


≪≪≪ 中空の離宮本殿神授の間は今を知る為。この景色は未来を創造する為。過去を省み過ちを正し生きる事を思い出させる為。2つ目は、この景色。この眼下に広がる世界の未来。


「初心を忘れるな!決して驕るな!と、我々に戒めをお与えくださったのですね」


 剣聖ボードワン・ルーリン天爵様は感無量の表情だ。


≪≪≪ 1つは、神の地の守護者たるロイク・ルーリン・シャレットに預けた。その者の力と成り、その者の力を借り、その者と共に未来に備えよ。最後の神授はその時与えられるだろう。 パチン



――― スタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)

中空の離宮の本殿 神授の間

――― 6月10日 18:30


 俺達は、神授の間に元の状態で戻っていた。


 少しだけさっきとは違う状況だ。


 降臨の椅子の正面に居る国王陛下達と降臨の椅子の間に、リラリス・トゥージュー公爵第一夫人、セザール・トゥージュー次期公爵、トゥージュー公爵令嬢プティット・トゥージュー。クリオ・ラカコア伯爵第一夫人、エディ・ラカコア次期伯爵。アラン・トゥージュー公爵。ヤン・ラカコア伯爵。宰相パトリック・ミィストゥリィー前公爵。ジェルマン・パマリ新伯爵、マリア・パマリ新伯爵夫人。ステファン・パマリ侯爵、ミント・パマリ侯爵第一夫人、リディア・レイジィーが立っていた。


「陛下!王家の皆様方」


 パトリック・ミィストゥリィー宰相は、ゼルフォーラ王国国王イヴァン・ルーリン陛下に気付くと、慌てて臣下の礼をとった。それを見た、リラリス・トゥージュー公爵第一夫人、セザール・トゥージュー次期公爵、トゥージュー公爵令嬢プティット・トゥージュー。クリオ・ラカコア伯爵第一夫人、エディ・ラカコア次期伯爵。アラン・トゥージュー公爵。ヤン・ラカコア伯爵。ジェルマン・パマリ新伯爵、マリア・パマリ新伯爵夫人。ステファン・パマリ侯爵、ミント・パマリ侯爵第一夫人も臣下の礼をとる。リディア・レイジィーさんは驚き戸惑うばかりといった感じだ。


「良い。今は神授の時ぞ、臣下の礼は王として誉だが、あの椅子が世界創造神様の椅子。降臨の椅子だ」


「テレーズ?貴方も神授を・・・?」


 降臨の椅子の後ろに立つ娘に気付いたリラリス・トゥージュー公爵第一夫人だ。


「御母様。それが、良く分からないまま、ここに呼び出されました」


≪≪≪ ここに新たに呼んだ者もまた、王家に関わる者やゼルフォーラの未来に関わる者。汝らにも神授を与える。汝らには2つ。リラリス・トゥージュー、アラン・トゥージュー、セザール・トゥージュー、プティット・トゥージュー。クリオ・ラカコア、ヤン・ラカコア、エディ・ラカコア、パトリック・ミィストゥリィー。ステファン・パマリ、ミント・パマリ、ジェルマン・パマリ、マリア・パマリ、リディア・レイジィー。1つは、ここスタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)で月に1度開かれる大パーティー(試食会)。その参加資格。


「神よ!ここは、スタシオンエスティバルクリュという場所なのですか?」


 パトリック・ミィストゥリィー宰相だ。


「パトリックよ。後で世が教えよう。今は神授の時ぞ、無礼であろう」


「はい・・・申し訳ございません」


≪≪≪ 1つは、神の地の守護者たるロイク・ルーリン・シャレットに預けた。その者の力と成り、その者の力を借り、その者と共に未来に備えよ。最後の神授はその時与えられるだろう。



≪≪≪ ロイク・ルーリン・シャレットに神授を与える。


「俺にもあるんですか?」


『ここに居る人間達に聞こえた方が都合が良いね。このまま続けるね』


 分かりました。


≪≪≪ この地の守護恙無く。この世界の守護を委ねる。ゼルフォーラを正しく導け。


「は・・・はい」


 世界とかって、また大変な事を・・・


≪≪≪ R4076年2月23日正午ゼルフォーラの大地に悪が訪れる。ゼルフォーラ王国は神の地の守護者と協力し中心となりこの悪に対峙せよ。神授を与える1つは神の力フォルティーナ。1つは悪の力トゥーシェ。


「神の力?悪の力?」


≪≪≪ R4076年3月16日降臨の椅子の後ろに控えし花嫁を妻とせよ。


「は?はぁ~~~。ちょっどういう事ですか?」


 フォルティーナ!どういう事ですか?これ。


『あたしも良く分からないね。創造神に嫁に行けって言われたね。お前は結婚して少し落ち着いた方が良いって言われたね』


 ・・・創造神様ぁ~これ悪戯ですよね?ドッキリですよねぇ~?


≪≪≪ 神の子よ


 うん?フォルティーナもう良いですよ・・・


『あたしじゃないね。創造神だね』


 な・・・


≪≪≪ 汝等に神の祝福を与えん。


 降臨の間に居た全ての存在に黄金と白色の輝きが宙から優しく降り注ぐ。全て?・・・俺は慌てて邪狼獣の8人を見た。大丈夫そうだ・・・


『これは神気だね。聖属性ではないね』


 あぁ~なるほど・・・


≪≪≪ 汝等の肉体は、神の眷属たるロイクの求めに応じ、召喚転位の1つとなった。汝等の肉体は時間の理の影響を受ける事となった。神の地を他言するなかれ。神の子に祝福を・・・


 降り注ぐ光が消えた。



『終わったね』


 創造神様からの神授ですが、結局どういう事なんでしょうか?


『良くない事が起きるね。それに備えろという事だね』


 それは当然なんですが・・・この人達と妻になれってそれって神授って言うんですか?


『創造神の言葉は神授。あたしの言葉は神託だがね』


「やっと、拘束が解けたのじゃぁ~」


「げぇっ!神!」


『煩いだね』


≪パチン


 悪魔トゥーシェは、再び拘束された。


 この悪魔も花嫁って言ってたけど・・・嫁って無理だろう・・・流石に・・・



 元の場所、元の時間に戻された俺は、パーティーに参加した。そして、マルアスピーはドレスが邪魔をし、いつもの様にデザートを楽しむ事が出来ず、ご立腹だった。



――― 王都モルングレー

王宮内 エンゾ天爵の居住地区

――― 6月10日 23:00


 2つの陽が沈む1時間前。この世界では夕方にあたる。


「ここから見る夕陽何て何年ぶりかしら・・・」


「うぉっ!・・・うん。まぁっ、綺麗だなぁっ!」


 パーティーの後、イヴァン・ルーリン国王陛下に、両親をさっきのスタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)から、王宮に連れて来てくれと頼まれた俺は、神授スキル【フリーパス】で移動した。そして、両親に勅令だと嘘を付き王宮の王兄エリア(地区)の一室のバルコニーへ移動した。


≪ガチャ


 王兄エンゾ・ルーリン天爵様と、イネス・E・ルーリン妃がバルコニーに出て来た。


「メアリー」


「メアリー!」


「御父様。御母様・・・」


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