6-MS-156 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 三皇帝コンラート弟帝派の所業 パージオアエンフォースメント -
右手の人差し指で薄紫色の伊達眼鏡の位置を直してから、左手に持った薄紫色のバインダーを顔へと近付け報告を開始したパフさん。
どうやら仕事が出来る女性モードの体は続いているようだ。最近巷で流行ってる趨勢らしいが、正直微妙にしか思えない。まずは格好仕草からって、確かにそれも重要だとは思うけど中身はどうした?
って、思ってしまう。まぁー、パフさんは優秀なんでこの体は一歩二歩譲ってスルーするとして、……でもなぁ~大人なフリと言うか背伸びする必要ないと思うんだよなぁ~……。
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「...... ~ ......です。どうやら、コンラート派もコンロッド派もケーニッヒ派も状況は似たり寄ったりのようですね」
なるほどね。………………何だろうな。……今の報告を一度聞いただけで理解できる人っているんだろうか?
「……えっと、無害女性のみ恩赦ってどういう意味ですか?」
「主殿、無害女性のみ恩赦とは、未成年の女性のみ犯罪奴隷としての身分を認めそれ以外の者は皆処刑したという意味です」
「あーなるほど」
「余談ですが、アシュランスでは奴隷そのものが禁止されています。その為でしょう、奴隷の身分にある者が保護を求め毎日殺到しているそうです」
へぇ~、そんなことになってたんだ。
「知りませんでした。……因みにですがそういう時って家はどういった対応を取ってるんですか?」
「保護を求める者はゼルフォーラに限定されていますので」
「ま、でしょうね」
家と陸続きなのってゼルフォーラ聖王国しか、あっ、ララコバイア海洋王国も繋がってるっちゃー繋がってるのか、でも、森だしな。……保護を求めてるのに森に入るとか本末転倒だ。
「身分を確認した上で聖王国に引き渡しています」
あれ? そこ保護してますとかじゃないんだ。
「渡しちゃってるんですか?」
「はい」
はい。って、エリウスはそれで良いんですか? 元だけど聖獣様ですよ。一応、神様なんですよ……。
「陛下、奴隷の身分や扱い方は国によって異なります。ゼルフォーラ聖王国では奴隷商も奴隷も厳しく管理されていますし、なにより救済や向上を目的とした制度でもあります。廃止は難しいと思います」
パフさんは、継承の呪いに蝕まれていたレイジィーさんの為に完済時に解放される奴隷になった。
ドックさん(コルトの奴隷商)から聞いた話では、パフさんのように大切な人の為に家族の為に金銭を借り受け奴隷になる人は多い。……らしい。
「それにです。やって来るのは悪い人達ばかりだとマルアスピー様が仰ってました」
「マルアスピーがですか? なんでまた」
「「偶然だそうです」」
エリウスとパフさんの声が示し合せたかのように綺麗に重なった。
偶然……ね。まっ良いか。気にしたところで解決しなさそうだし。さてと。
「余談はここまでにしましょう。それで、コンラート派は無害女性のみ恩赦ってことですが、旧教関係者の家族も皆殺しにしたってのはまぁー何だあれですが、その後の方がねぇ~……」
「はい、まさか旧教とは無関係の集落まで鎮圧、排除してしまうとは、流石にここまでは予想できませんでした」
何が、「これは、真なる神々様の御意思である。神授である。忌まわしきゼルフォーラの属国成り上がりのアシュランスからの要請である。...... ~ ......。私はヴァルオリティア帝国の皇帝として帝国の法と力の一部を小国に見せてやっても良いと考えた。これは、私の心、帝国民皆の心に刻み込まれた寛容と放胆の業である。...... ~ ......。これは、世界創造神創生教会に対する粛正であり正義である。...... ~ ......美しきヴァルオリティアの民達よ。なわけである」だ。
どさくさに紛れて反抗的な集落を焼き討ちにしていい理由になる訳ないだろうが。
貴重な時間をありがとうございました。




