6-MS-152 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 極刑待ちに人権のない国、アシュランス① -
連合国家フィリー加盟国との国境では実験にならない。
という訳で、折角なので件のポヴォーエスタ、旧ガルネス神王国の西端にある港町へと神授スキル【フリーパス】と神授スキル【転位召喚・極】で移動した。
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ダダ卿と俺の目の前には、二百人の囚人が沈黙と拘束の状態で立っている。
「はい注目。ダダ卿から聞いたと思いますが、処刑待ちの皆さんには、これからある実験に付き合って貰います。実験に付き合って貰う見返りは減刑です。処刑から一番刑の軽い百年刑にすると約束します。ダダ卿の魔術で沈黙状態になってるはずなので、頷いてくれるだけで結構です。それでは、三人一組になって順次向こうに見える旧教教会だった場所までゆっくり歩いて貰いたいと思います。ダダ卿」
「畏まりました。一組目、二十三番、百一番、百十九番。一歩前に出て並びなさい」
ダダ卿に番号を呼ばれた囚人の拘束が解けると、拘束が解けた囚人三人が前に出て来て並んだ。
「陛下、二十三番は旧教の司祭だった者です。罪状は、婦女子暴行、禁制品販売、詐欺、脅迫、改宗拒否などなどです。婦女子暴行の罪でchefアランギー様より死刑の判決を言い渡されています」
まずは、旧教関係者の実験一っ……と。
「百一番はマルメットは否定していますがマルメットの諜報機関の者で、俗に言うスパイです。罪状は、国家要人の暗殺未遂、国家要人の家族の誘拐未遂、殺人四件、公務執行妨害などなどです。市民四人を殺害した罪でchefアランギー様より死刑の判決を言い渡されています」
フィリー以外の人の実験も一っと。
「百十九番は我が国の元軍人です。罪状は、フィーラ市の旧ワワイ大森林の樹木を違法で伐採したことによる森林保護法違反、組織犯罪処罰法違反、逃亡罪などなどです。王国陸軍刑法により極刑待ちでしたが、chefアランギー様による神事介入があり国法優先の第一モデルケースとして再審されchefアランギー様より百年長刑の判決を言い渡されています。この者には恩赦として、百年長刑から執行猶予なしの有期拘禁十九年刑を約束しています」
家の国の人の実験もこれで一っと。
「良いチョイスです。では、初めてください」
「畏まりました。それでは実験を開始します。二十三番、百一番、百十九番は横一列になって、あそこに見える教会まで焦らずゆっくり歩いてください。それと逃亡はするだけ無駄だと忠告しておきます」
三人の囚人というか二百人の囚人全員に向けられたダダ卿の笑顔はいつもよりとっても眩しく輝いていた。
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ババババッチィーン×2。
あ、落ちた。
「落ちましたね」
「はい陛下落ちました」
雷は俺の予想通り百十九番以外の二人に落ちた。
「家と加盟してる国の人はどんな人でも保護ってことなのかな?」
「次は、我が国と加盟国出身の三人を歩かせます」
「そうしてください。気絶した囚人は、囚人専用の医療センターに送っておきます。後で回収しておいてください」
「畏まりました」
アルさんに【レソンネ】で連絡しておかないとな。気絶した人が宙からいきなり姿を現わしたらホラーだしな。病院だと……。
「百十九番の人。ちょっとこっちに来てください」
「……」
百十九番の男は、自らを指差し頷いてから俺の前まで駆け足でやって来て跪いた。
「浄化センターから移ることになるんで、終わるまで適当に楽にしてて良いですよ」
「……」
貴重な時間をありがとうございました。
 




