6-MS-151 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 御輿に成るとか肩書とかって、ジャストアノイング -
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「...... ~ ......という訳なんで、そこまで凶悪じゃない感じで減刑しても大丈夫そうな囚人を何人か見繕ってください」
「……あの陛下誠に申し上げ難いのですが、ここには"処刑""無期刑""終身刑""百年刑"を言い渡された囚人しかいません。ここから解放して良い者がいるとは思えません」
ここはそういう刑務所だしカーヤン准尉の言ってることは正論だと思う。そうなるともう少し刑の軽い囚人がいる刑務所の方が良いのか? あ、でも耐性を付与するから問題はないと思うけどほぼ人体実験に社会復帰が可能で更生の余地がある囚人を使うのもなぁ~。
「陛下、発言しても宜しいでしょうか?」
「良い案があるなら是非是非」
浄化センターの周辺一般人の立ち入りが制限されている地区の警備兵タンベルマンさんがオドオドしながら挙手している。
バルサさんもそうだけど、獣人種って何か言いたいことがあると手を上げるけど、何でだ?
「ありがとうございます。私は、処刑待ちの外道共を国境まで連行し何もせずそのまま神罰による裁きを受けさせる方法が良いと考えます。何故なら、外道共、言い直します。法による浄化よりも神罰にる浄化を死刑囚は望んでいると考えます」
「神様による裁きですか。なるほど……ただ、雷に撃たれても気絶するだけで浄化はされないですけどね」
「なんとかなりませんか?」
なんとかって……そこ俺がなんとかしちゃったら神罰じゃなくて王権の乱用になるんじゃないかな?
「臨時所長のダダ侯爵閣下に確認してみては如何でしょうか?」
ん? ダダ侯爵って。
「ダダって、ルードヴィーグのあのダダのことであってますか?」
「はっ、ルードヴィーグ・ダダ侯爵閣下で間違いありません」
「俺さ、ここに来る前さ、ダダ卿達と一緒にいたんだよね。……そっかぁ~、ダダ卿ってここの所長もやってたんですね」
あいつ、俺が移動する前に一言あっても良くね?
神授スキル【フリーパス】召喚、対象者:ルードヴィーグ・ダダ、場所:俺の目の前、発動 ≫
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「やぁダダ卿」
「そうですね。やはりここはchefア……は、へぇ? へっ!?陛下っ!!」
「用が出来たんで呼びました。ダダ卿はここの所長なんだとか」
「……はい」
ふっ、キョロキョロと落ち着きのない男だよ、まったく。初めて見た訳でもあるまいに……。
「でね。俺さ、囚人を何人か雷の実験に使いたいと考えてるんだけど、恩赦を餌に見繕って来て」
「わ、私がでしょうか?」
その不思議な物でも見るような目は、顔は、いったい何かな?
「当り前じゃないですか。じゃなかったらいちいち召喚してませんよ。ここで待ってるんで、急いでください。会議は終わってないんですよ」
「……か、畏まりました」
浄化センターへと駆け込むダダ卿の背中から、誰かは知らないが女神様をモチーフにしたと思われる左右の巨大な浮き彫り細工へと視線を移す。
「陛下。ダダ侯爵閣下を……。我等がアシュランス王国の宰相(首相)閣下をあのように扱うのは如何な...... ~ ......」
たぶん、右側は悔しいけどフォルティーナだよな。何となく似てるような気がしないでもないような……。
「...... ~ ......所内のみの責任者ではありますが副署長のムチャイチャイ殿が適任だったと考えます」
ぶっちゃっけ本人より良い感じだとは思うが……ムチャイチャイ?
「ムチャイチャイって人がここの副責任者なんですか。まっ、ダダ卿に頼んじゃったし、次があったらそのムチャイチャイって人に頼むとしましょう」
「はっ」
「ところで、三人に質問なんですが、あの浮き彫り細工って女神様をモチーフにしてると思うんですが、右側の女神様って誰だと思います?」
「「「運と遊びの女神フォルティーナ様であります」」」
……やっぱりか。
貴重な時間をありがとうございました。
 




