6-MS-144 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 亜神も半神も神様だから。話が下手なのは神様だから。 -
「前後二、三日かの、詳しい日付までは流石に掴めんよ」
「凄いじゃないですか。そこまで分ってるなら色々と対処できるじゃないですか。……うんうん、厳戒態勢は七日間で良い訳だ、そうなると後は場所だな」
「そこまで身構えずとも良い。定期で訪れる彗星や蜃気楼の類とでも思っておけ」
「下界同士が重なるような大事件がメアでは定期的に起こってるんですかっ!!??」
「主は古の世界の管理者であろう?」
「一応そういうことになってますね」
「ならば知らん訳がなかろう。古の世界コルトと並行する影裏返した世界とも言われておるが次元の先に創造された世界がメアだ」
前にも一度こんな感じの話を聞いた覚えがあるけど、だから何って話なんだよな。
メア(亜)下界って創造神様が創造した界じゃないから神界では存在していないことになってて、慎重に解体を進めてるって、あれれ良いのか? 害が出ないように慎重にって聞いたけど定期的に違う世界と重なるとかって……。
「...... ~ ......影は危うく闇は限りなし光は歌う影を照らさんと。国歌にし歌うことで心に留め常の教訓としている訳だ。急な思い付きであったが儂はとても満足しておるのだよ」
創造中の天球と同じような物だからそんなに気にする必要はないよって創造神様からのメールに書いてあったけど、重なる。一つになる。……どっちだ、かなり意味が違うような。
「...... ~ ......儂にもそのような時期があったものよのぉー」
「サザーランド陛下、メアとコルトは重なるんですか、それとも一つになるんですか、どっちなのか正確な情報をお願いします」
俺が考え事をしている間もずっと喋っていたようだがそんなこと気にしている場合ではない。サザーランド陛下には悪いが雑談は時間がある時に暇過ぎてどうしようもなくて気が向き過ぎた時にして貰おう。
「ふむ、藪から棒な。……絶対神様による淘汰は救いであり慈悲だ。近年では儀式化し子供ですら騒がぬ」
「えっと、重なるとか一つになるとかの説明ですよね?」
「それを聞きたかったのではなかったのか?」
「もう少し分かり易くお願いできませんか?」
「ふむ……」
「メアの王よ。我もアシュランス王と同じ意見だ。………………申し訳ないが今一度頼む」
クロージャ陛下はソファーから立ち上がると、執務用の椅子に座る俺の左隣に移動し、サザーランド陛下に頭を下げた。
「そうですね。私からも………………お願いします。詳しい話をもう少しだけお聞かせ願いたいですな」
ヴィルヘルム陛下もクロージャ陛下と同じように俺の隣(右隣)へと移動し、サザーランド陛下に頭を下げた。
「やれやれ、便乗するようで恐縮だが仕方あるまい、メア王よゼルフォーラの王として改めて問いたい。ララコバイア王の問いに都市が消滅した民が失踪した人工物が出現した渡者が迷い込んで来たと答えていましたが、これらはメア王国にとって儀式の一環でしかないのですか? 神罰、天変地異、大惨事。私達には悪夢にしか思えません」
イヴァン陛下はソファーに腰掛けたままサザーランド陛下を真っ直ぐ見据え、質問を終えるまで視線を逸らすことはなかった。
「トラヤヌスよ。古の世界の王等は何をこのように必死になっておるのだ?」
「陛下。嘆かわしいです」
「うむ、正に儂もそのように感じておる」
「あまりにも稚拙で無意味な言葉の数々、褒めるところが微塵も見当たらない睡魔を誘う下手糞な説明を真摯な姿勢で心から向き合い聞いてくださった皆様は正に紳士そのもの、王とはかくあるべきだとこのトラヤヌス感動しております」
「ふむ、うん?」
「そして感動が深まれば深まるほどに情けなく嘆かわしく思うのです。どうして私の陛下はこの程度なのですか? どうしてですか陛下」
「この程度、儂がこの程度っ!?」
「ですが御安心くださいませ。私をはじめ城の者達も御家族の方々も皆、陛下はこうなのだとだから仕方がないのだと互いに理解を深め今に至っております」
「し、仕方がない、だと……」
「その通りでございます。ですが、これだけは、これだけはハッキリと申し上げさせていただきます。皆、このトラヤヌスもそれなりに陛下を愛しております」
「そ、そうか皆儂を愛しておるのだな」
サザーランド陛下、そこ嬉しそうにするところじゃないですよ。それなりにって……言ってましたよ。
「はい。ですのでここからは私が」
「そうだな。よし、続けるが良い」
貴重な時間をありがとうございました。
 




