6-MS-143 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 新たに厄介事の予感 -
メアの王サザーランド陛下の語りが続く。
って言うか、メアとコルトが重なるっていったいどういうことだ?
「儂はな、一つに成ったその後のことを考えておるのだよ。一つに成った暁には、古の世界の管理者たる婿率いる連合国家フィリーに加盟するは、可愛い可愛いトゥーシェやリュシルの顔を、毎朝のさり気無いおはようの挨拶を、毎夜の切ないおやすみの挨拶を……これは決定事項なのだよ。そうだろうトラヤヌスよ」
「はい陛下全くその通りでございます。トゥーシェお嬢様リュシルお嬢様の愛らしい笑顔の為ならば、このトラヤヌス例え相手が陛下であったとして邪魔立てする者が愚かな陛下であったとしても、スゥー、ハァー…………」
うん? トラヤヌスさん、今言い直しましたよね?
「喜んで血祭りにあげる所存でございます。誠心誠意全力を持って、……あの笑顔を御守り致します。ですので陛下、ご安心くださいませ」
「う、うむ。トラヤヌス貴様の忠義嬉しく思うぞ」
これって忠義なのだろうか?
「メアの王よ。答えを聞き納得するどころか疑問が増えた。付け加えるなら余りにも私的な事情に残念な気持ちでいっぱいだ。国家の長たる王が私事を政に持ち込むとは関心できん、アシュランス王もそう思うだろう?」
えっ、えぇえぇ~ここで俺ぇ~!?
ドラゴラルシム王こと竜王クロージャ陛下は残念な物見るような目でサザーランド陛下を見つめていた。
「詔も話を聞きますます分からなくなっておる。孫娘との時を得る。それだけが目的とも思えんがまぁ今はこの話すらどうでも良いことである。アシュランス王もこの場に居る皆も気になっておるのではないのか。この世界と異界メアが重なる一つになるとはいったいどういうことなのかと」
気になってます。とっても気になってます。ですが、どうしてそこで俺? 最初に俺を出す必要ありました?
ララコバイア王は刺すような鋭い視線でサザーランド陛下を見つめていた。
偉そうな感じからの睨みって意外に効果があるんだな。
「私からも宜しいでしょうか」
「ヴィルいやこの場ではララコバイア王であったな。そろいもそろって儂のような爺とまだ話がしたいとは酔狂者奴等が。……聞こう」
「ありがとうございます。では...... ~ ......」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
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ララコバイア王こと海洋王ヴィルヘルム陛下は軽く会釈をすると、要点をまとめた質問を淡々と続けた。
「つまり、...... ~ ......と言うことですね?」
「ふむ。概ね間違っておらん。古の世界の守護者よ」
はて、この流れで、どうして俺なんだ?
「はい、なんでしょう」
「コルトの一月とは日にして何日あるのかの」
「三十日ですね」
「ふむ、そうなるとだ。我がメアの連合国家フィリーへの加盟は、今より約三ヶ月後になるのか」
「三ヶ月後ですか。……ちょ、ちょっと待ってください。それって、三ヶ月後にメアとコルトが重なるってことですよね?」
貴重な時間をありがとうございました。
 




