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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
554/1227

6-MS-126 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 愛と理のリレーションシップ② -

・・・

・・


 騒いだところで何も解決しない。一先ずスルーしてもう一つの方法に色々と思いを託すことにした。


・・・

・・


「...... ~ ......ですかね」

「ですかねって、……全く意味が分からないんですが」

「そうでしたね。ロイク君には分かり易く一言で説明する必要があったのでしたね」

「……はい。お願いします」

 微妙な言い回しが微妙に気になるが、今は一先ず全てスルーだ。


「水の大精霊でなければ良いのですから水の大精霊ではなくしてしまえば良いのです」

 何言ってんだこの神様は。

「それって、昇華させるってことじゃないですか」


「違います」

「え、違うのっ?」

「はい、全く違います。理の優劣、理において上位は最優先されます。概ね不干渉不可侵が原則であることと理屈は同じです」

 初めて聞く情報だ、それに概ねだし原則だけど理屈だし、全く持って意味が……。


「はい、神様。申し訳ありません、言ってる意味がほぼ分かりません」


 挙手し元気に現状を口にした。


「どの辺りから分からないのか分かりますか?」

「いえ、最初から最後までほぼ言ってる意味が理解出来ていません」


 イエレミーヤ様、その目って……俺がたまにフォルティーナに向けてるような目ですよ、その目って……。


「もっと簡単にですか。………………ロイク君は研究や発明が趣味でしたよね。水の性質については何処まで知っていますか?」


 どうしたんだ急に、そんな心躍る質問なんかされたら。

「こんな日が来るのをずっと待ってたんですよ。流石は神様です。いえ、イエレミーヤ様です。その質問、このロイク・ルーリン・シャレット待ち侘びておりました。さて、水とは何ぞや、についてですが、温度を上げていくとお湯になり、上げ続けると湯気になって消え、逆に下げると冷水にり、下げ続けると氷になり量が増える。それが水です」

「及第点、百点満点中七十点は差し上げましょう」


 なぬっ七十点だと? ……まだ何かあるのか、水には?


「探求心に火が着いてしまったようですね。良いでしょう。これもまた再葛藤の良い機会。大精霊の件が終わってから講義の場を設けましょう」

「おおおお願いしますっ!!」


「さて、もう一つの方法の答えが出たところで、さてさて、どちらにしますか?」

「は?」


 まだ何も聞いてませんよ。


「おかしいですね。ここまで説明して通じていない? ……ロイク君、少し整理してみましょうか?」

「……お願いします」


「まず、コルト下界には四大属性にあたる地水火風の大精霊は其々一人(ヒトリ)ずつという理があります」

「そうみたいですね」


「非四大属性にあたる聖邪光闇の大精霊、複合属性にあたる無大樹の大精霊には一人ずつという理はありません」

「そうなんですね」


「下位の理より上位の理が優先される。これを利用し夫婦になって手っ取り早く解決する方法がありますが、ロイク君はもう一つの方法を希望しました」

「そ、そうなるのかな?」


 というか、下位とか上位の優先って何? 何を利用したら夫婦になった方が早い訳?


「水は氷や湯や湯気に変化します。…………ですよね?」

「あ、はい。質問だったんですね、失礼しました」


「では、水の大精霊タルヒーネを、氷か湯の大精霊に……あぁーでもなぁ~、湯って温かったり熱かったりするだけで水のことだしなぁ~。冷めれば白湯とか便宜上の言葉が存在しているだけで水だしなぁ~……」


 水面に腰を下ろし胡坐座りになって、うんうんうんうん唸りながら葛藤し始めたイエレミーヤ様。


 これってどうすれば……。


 助けを求めるべくエリウスへと視線を動かす。


 いつの間にやら、精霊様二人の会話に交ざり楽しそうに笑っている。


 お、おい。


「あぁぁぁぁぁぁ氷かぁ~?」

「……」


 目の前のこれどうしたら良いんだよ……。


 ウネウネクネクネ体を動かし、ワサワサボリボリ頭を掻き毟り、ヌオヌオグハグハ奇声や呻き声を上げる、目の前の神様。


 正直、怖い。


「ぬおぉぉぉぉぉお湯かぁ~……」

「……」


 湯は水だって言ってたよな。だったら氷で良いんじゃね?

「イエレミーヤ様、氷なら問題ないんですよね?」

「う? あ?」

「氷なら問題ないんですよね?」

「ないね」

「なら、それでお願いします」


「お願いされても困るよ。ここで、水の大精霊を氷の大精霊にできるのはロイク君だよ」

「そうなんですか?」


「そりゃそうさ。だって君はここコルト下界の管理神(カンリシャ)なんだよ。権限の範囲内なら何だって許される。それが君なのさ」

「あれ?」

「どうかしたのかい?」


「権限の範囲内なら何だって許されるんですよね?」

「そうなるね」

「四大属性の大精霊を二人でも可とかには……」

「できるよ」

「で、出来るの!?」


「それが管理神(カンリシャ)だからね。でもその方法はお奨めしないよ。だって、バランスは微妙なものだから。たった一粒の(ドラゴン)の涙で崩壊してしまった世界は意外に多く知られているのさ」


 (ドラゴン)の涙。……それ意味が違うんじゃ。それに(ドラゴン)の涙って子供でも結構な量だったぞ。それに一粒ってどんな単位だ? って、気になるがスルーだ。ここはスルーした方が良いところだ。


「なるほど」


 うんうんと頷き、ご満悦な表情で俺の顔を見つめるイエレミーヤ様。

「一人だけって決まりの大精霊を二人にするよりも、何人でも良いって決まりの大精霊を増やした方が……」


 視線で訴えるの止めてください。……分かりました続ければ良いんですね。

「問題なさそうですね」

「その通り」


「ところで、氷の属性の精霊様ってコルトにいるんですか?」

「今回が初めてのケースになります」

「……えっと、もう一回お願いします」

「今回が初めて一人目の精霊ってことになりますね」

「一人を二人にした方が零から生み出すよりバランス的には良くないですか?」


「……う~ん……言われてみると、そんな気も……ですが、書き換えるより書き加えた方が安定するのもまた事実で……。ああああぁぁぁぁぁぁぁ」


・・・・・

・・・・

・・・

・・


「タルヒーネ様」

「はい」

「コルトの管理者として、精霊タルヒーネを、水の大精霊から氷の大精霊とします。コルトで最初の氷の大精霊として循環を補助し来る日に備えてください」

「はい」

「省みの泉に宿りし水の大精霊タルヒーネに新な名を与える。今より省みの泉に宿りし氷の大精霊タルヒーネ・グラミエールと名乗るように」

「はい」


「ロイク君、何でも良いから氷で作ったそれっぽい物をタルヒーネに与えて、ホラ早く」

「何でもって……」


 困るフレーズトップテンだよその言葉と思いながら、【マテリアルクリエイト】を発動させる。


 ゼルフォーラでは、男性には武器か酒、女性には宝石か甘味が普通だ。


 イヤリング、ネックレス、ブレスレット、リング、アンクレット……。


 タルヒーネ様を足の爪先から頭の天辺まで神眼でスキャンし、最も適したアクセサリーを導き出す。


・・・

・・


「タルヒーネにこの氷のイヤリング」

「名前、名前を言わないと」

 耳傍で囁くイエレミーヤ様。

「名前?」

「氷のイヤリングなんてそのままじゃないですか。それっぽくも何ともないじゃないですか」

「なるほど……」


 創造したばかりの氷のイヤリングを神眼のまま覗き込む。


***********************

 悠久(ユウキュウ)氷珠(ヒョウジュ)永遠(トワ)神銀石(ヴレミスリル)で作られた耳飾り。


 溶けることのない氷の氷言葉は永遠。


【名称】

【種類】魔導具・半神具の耳飾型

【効果】水属性吸収100%

    氷属性吸収100%

    地属性干渉無効

    火属性干渉無効

    風属性干渉無効

    聖属性効果3倍

    邪属性干渉無効

    光属性干渉無効 ON/OFF

    闇属性干渉無効

    大樹属性干渉無効 ON/OFF

    無属性干渉無効 ON/OFF

    常在の神聖域

    常世の聖域

    装備者指定武具(リュニックファタリテ)(装飾品を含む)

    不壊

    精霊力(【SMP】)増幅38.46%

    自然魔素(マリョク)増幅最大500%

    *************

    *************

    *************


【所有者】タルヒーネ・グラミエール

【創者】ロイク・ルーリン・シャレット

***********************


 就任のお祝いにあげて良い物じゃない気がする。


「ホラ急いでください。名前を告げタルヒーネの耳に着けるまでが儀式になります」


 えっとぉ―――――。

「このイヤリング、悠久の氷珠・大精霊タルヒーネ・グラミエールの耳飾りを与える」

「長い長い、長過ぎます」

「え、長い? ……悠久の氷珠グラミエールを与える」

「それっぽい感じになりましたね。押し通してしまってください」


管理神(カンリシャ)様。その氷玉(ヒョウギョク)は悠久の氷珠(ヒョウジュ)グラミエールという名の神聖石なのでしょうか?」

 ん?

「そうです」

貴重な時間をありがとうございました。

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