6-MS-125 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 愛と理のリレーションシップ① -
「ウェンディーネ様かタルヒーネ様のどちらか或いはその両方を大精霊以上の存在に格上げしちゃえばって……」
「理は絶対です。ですので強制的に一人ないし無の状況を作り上げてしまおうという訳です」
「強制的に格上げってそんな簡単に可能なんですか?」
「そうですねぇ~。……覚悟次第ですね」
「いきなり任されたんで未だに実感はありませんが、理を正常に保つことがコルト(下界)の安定に繋がるって言うなら覚悟くらい安いもんです。ただ、俺に出来る範囲でです」
「ここの管理神であるロイク君にしか出来ないことです。権限の範囲内で良かったですね」
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イエレミーヤ様の説明を聞きながら、管理者としての権限、守護者としての権限、(神)聖人としての権限、何か他の権限をタブレットで確認した。
サラっと流し見しただけだが、滅茶苦茶多い。何だこの権限の数は……。
「神には権能をつい追求してしまうという困ったところがあります。皆一様に文化神的なところはあるのですが、その本質は自由であり万能であり無精。興味のないことには見向きもしません。権能と矛盾する事象余りにかけ離れた事象とは相性が悪く近付こうともしません。権能は解釈次第屁理屈でさえ通ってしまうと言われています」
これって、もしかして、脱線してる?
「ロイク君は私がなんの神か知っていますよね?」
「はい、葛藤を司る心の光闇の神様です」
「心の光と闇とは明暗を拡大解釈した物に過ぎません。葛藤を拡大解釈すると葛藤を司るとは色を司るとも言えるのです」
いったい何の話をしてるんだ?
「そ、そうなんですね」
「はい。神の権能とは司の欠片。例えば火の権能を持つ神は、火を司りし神として下界に天啓を齎します。その天啓は火に関することです」
「だと思います」
「ここに私の拡大解釈を加えてみましょう」
「お願いします」
「ここコルトにおいて火と水の相互関係優劣はどうなっていますか?」
「火は水に弱い」
「それは火に水をかけると火が消えてしまうことが多いからです。ですが、火は水の中でも燃え続けることができます」
「水の中でですか?」
「火はどうして火なのでしょうか?」
……権限とか大精霊を昇華させる話はいったい何処へ行ってしまったのだろうか。
「分かりません」
「自然魔素とは事象へ干渉する切欠でしかありません。火を着ける切欠になるものは一つだけでしょうか?」
「分火とか摩擦でも可能ですね」
「それは何故ですか?」
「燃えてる物に燃える物を近付けると燃えるからでしょうか」
「では、自然魔素を清澄運用消費どれでも構いません行使したとします。火が着くのは何故ですか?」
「自然魔素が切欠になって火が着いて……あれ宙で燃え続けてるのは着火を繰り返しているから……なのか?」
「事象へ干渉する切欠は行使したその時のみ。以降は干渉した干渉しているになります」
脱線してるのに真面目に答える俺。強くなったよなぁ~。
「意味が分かりません」
真面目に考えても分からないものは分からないのだからしょうがない。
「……若干難しかったとようですね。事象と干渉、行使と切欠、事象と継続、干渉と継続、二次干渉と行使、再干渉と行使、複合行使と切欠など理の幼等教育については、大精霊の件が終わってから講義の場を設けることにしましょう。再葛藤する良い機会になりそうですね」
嬉しそうに微笑む神イエレミーヤ様。
「そうですね……」
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「オホン。ロイク君が持つ権能にも似た権限の一つに【盟約の行使・コルト限定】)があります。これは個と個とを固く結び付け束にする力です」
「なんかまるで神様みたいな力ですね」
「みたいなと言いますかほぼそのものだと認識して間違いありません。幼等機関の教科書は文字や絵が並ぶだけで有難味に欠けると先程学びましたので、ロイク君にも分かり易く一言で説明します」
一言で説明できるの? だったら初めからそうしてくださいよ。
「お願いしますっ!!」
「大精霊のどちらか或いはその両方と夫婦になれば良いのです」
「なんだ簡単じゃ…………って、夫婦っ!?」
貴重な時間をありがとございました。
 




