6-MS-124 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 嵐と理のプライオリティー -
イエレミーヤ様、タルヒーネ様、ミュー様、エリウス。四人?から得た情報をまとめると、つまりこういうことか?
コルト下界では、四大属性の大精霊様は各属性に一人だけだと理で決まっている。支える中精霊様の数を制限する理は存在しないが有史以来数は殆ど増えていない。
イエレミーヤ様曰く。
大精霊様が各属性に一人だけなのは、多いと自然の力自然魔素の循環に乱れの機会が増え下界崩壊の切欠と成り得るから。
タルヒーネ様とミュー様曰くとミト様の愚痴。
慢性的な労働力不足の状態が続いていて死にたての魚のような目をした存在の手ですら借りたい。長期で安息日が欲しい。
イエレミーヤ様曰く。
管理統制分担補助する存在が少なければ少ない程安定する。これは神界では常識。
天使達が休むことなく馬車馬のように上へ下へと飛び回り東西南北駆けずり回り神界神域を支えているという噂を耳にしたことがある。
イエレミーヤ様は家で天使に接する機会があり、噂は真実だったと考えるようになった。
イエレミーヤ様曰く。
神々様方の多くは基本的に不死であり永遠の存在だから司り傍観する体制は弛緩気味だが安定していて揺ぎ無い。一柱でマイペースにのんびり適宜に使命を熟すのが常識だから皆で協力してとか力を合わせてといった考えに至らない。
ぶっちゃけ、神は基本何でも出来るし自由な存在だから思考は極めて単純で、何について悩んでいたのかそのことを悩み続けている自身の在り方やその在り方が本当に悩みなのかについて悩み続けているイエレミーヤ様は稀有な一柱で神界では無や虚の中を彷徨う【葛藤を司りし虚無の徘徊神】などと讃えられることがしばしばあった。……それ揶揄されてますよとは言わないでおいた。
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つまり、良く分からない。
「えっと、要するに俺はどうしたら良いんですか?」
「管理神様として責任を取っていただけれるのであれば私からは特にありません」
「僕もタルヒーネと同じ意見かな、それにロイクは僕の考えてることと同じだと思うから、僕は黙って従うぞ」
「は、はぁ~……」
ミュー様、出来ればその考えてことを聞かせて欲しいんで……無理そうだな。
精霊様二人は楽しそうに世間話に花を咲かせ始めた。
割って入るなんて野暮なこと俺には出来ない……。
「エリウス、意見を受け付けます。というかエリウスの意見に間違いないと思うんでそれで行きましょう」
「……そうですね。盾としての使命、眷属皆から託され熱い思い、揺るがぬ信念を貫き今以上に精進致します」
「他に言うことはありませんか?」
「……」
馬笛みたいな声を出して、最敬礼したと思ったら静止って、エリウス……お前何の為に俺の後ろにいつもいつもいつも居るんだよ!!
ジト目でエリウスを見ながら。
「……でエリウス、馬の真似なんかしても無駄ですよ。って、馬だったから嘶きは普通か」
「う、馬!?わ、私は聖馬獣であって決して馬などではありません。これは忖度などではありませんが言わせていただきます。馬は生物として優れた存在ですっておっと」
「饒舌ですね。その饒舌、例えばこの泉とかそこの大精霊様とか向こうの嵐とかに生かして貰えませんかね」
「……」
いつもの適当な感じではなく、少し強気な感じで押してみたが無駄だったようだ。
しっかし家にはホント丸投げする人しかいないよな。理だ神様だってそんな意味不明なこと俺に振られても正直困るっつぅーの。よし。
「イエレミーヤ様、俺はどうしたらいいでしょうか?」
「一周し終わったようですね。……そうですねぇ~ここはアランギーやフォルティーナ様とは違うというところを見せるべきなのでしょうが、正直なところ悩んでいます」
「あぁ――――是非あの二人とは違った意味で頼もしくて頼りになる神様だとイエレミーヤ様は物凄く頼り甲斐のある神様だと俺」
「違う同じはどうでも良いのです。実際其々違うからこそ個には存在の意義がある訳ですから。私としては、どちらが正解なのかどちらが優雅で近代的か取り返すのに余裕があるのはいったいどちらなのか、それが問題で葛藤している次第でして……あぁー何てことだ、個が集まり個ではなくなってしまった場合における個の存在の意味が集団の中での個としての意義が同じだとしても集団としての意義がない訳ではない訳で……そうですよ集団主義と個人主義ここから始めればきっと何かが見えて来るに違いありません」
話し掛けても平気なんだろうか? ええいここは勇気を出して。
「えっとつまり?」
「つまりです。過度に寄り過ぎた主義志向には触るな危険だと言うことです」
「えっとそれでつまり?」
「どちらも改善策に成り得るということです。程良く動くことで何とかなるかもしれないと言うことです」
集団主義と個人主義の話じゃなくて、水の大精霊様が一精霊増えてしまった件だよな?
「えっと、そのどちらかってのは大精霊様の件ですよね? 大精霊様の件を両方とも全力で御教授願えませんでしょうか?」
「構いませんよ...... ~ ......」
貴重な時間をありがとうございました。
 




