6-MS-117 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 今できることは今やろうドントリーヴアネガティブレガシー -
―――16:06
昼食後のティータイムの時にでも詳しく聞けば良いやと考えてしまったのが大きなミスだった。
「顔合わせも済みアシュランス王国は一先ず安心安全第一何でもござれの状態です。コルトも比較的安定している今だからこそ、十日間から二十日間程かけ新たな食材を求めKANBEを食べ歩きしてきます。おっと、ご安心ください。妖精のおしごには既に指示を出してありますですぞぉ~。それでは皆さんお土産を期待しお待ち下され、アディオース、はい」
パンパン。
chefアランギー様のパルマセコの乾いた音が昼食の間に響くと、chefアランギー様の姿はもうなかった。
ちょ、ちょっと、コルト全然安定してないんですけど……、寧ろ世界中で争いが起こってるんですけど……。この雨いつ上がるんですかって聞きたかったんですけど……。仕方がないこのさいフォルティーナでも良いや。
「フォルティーナ」
「そうだったね。小さいを秋を見つける旅に出ようと今さっき思ったところだったね。つい先日神友のさっちゃんからレムーラ大神宮の紅葉が真っ赤だなっとLine'sが来てたのを思い出してしまったね。鹿に餌をやったり、アワビとイセエビを食べたり、フク鍋やらスッポン鍋やら美容と健康についても考えて来るつもりだね。旅の楽しい話を土産に帰って来るね。ギュレギュレだね」
パチン。
フォルティーナはフィンガースナップの音を残し姿を消した。
お、おいっ!! こ、こうなったら、最後の手段。本当の意味で神頼みだ。
「申し訳ありません。私にはどうすることもできません」
隣に座るアルさんと視線を重ねたが。直ぐに視線を逸らされてしまった。俯いたまま視線を合わせようとしてくれない。
だったら次の神頼み。
「先日まで高位樹人族だった私にできることは何も……本当に申し訳ございません」
「あ、いえ……ですよねぇ~」
マリレナさんも俯いたまま視線を合わせようとしてくれない。
「ここまで来たら当たって砕けろだな」
「ねぇロイク何をする気なのかしら」
「家には神様が沢山います。こうなったら当たって砕けろで誰かが何かを知ってたらめっけもんってことで、俺もちょっと行って来ます」
「そっ、気を付けて行ってらっしゃい」
「えぇ行って来ます。……エリウス、行きますよ」
「お、おお、やっとこのエリウスの意味をご理解いただけたのですね。主殿、もう一度お願い致します」
「は?」
「もう一度、行きましょう、と、声掛けをお願い致します」
……どっちに転んでも面倒な奴に変わりはないようだ。
「エリウス、行きますよ」
「ほいっ!!」
ほい? ほいって何だよ……。
キュピーン。
「皆さんお揃いのようで、ちょうど良かったです」
クロコダイアン様が昼食の間の二つある入口の一つ北口の手前に姿を現し話し掛けて来た。
「おっ!! クロコダイアン様、ちょうど良かったです。話を聞きたくてこれから伺うところだったんです」
「おやおや、奇遇ですね。私もお館様にお聞きしたいことがあり参った次第です。お先にどうぞ」
これだよこれ。神様はこうでなくっちゃっ。
「外の嵐のことなんですが、何時頃終わるとか分かりますか?」
「そのことなのですが、私もお館様に何時頃終わるのか確認しに参った次第でして」
「え?」
「そうなりますと、お館様もこの嵐が止むタイミングをご存知ないということで宜しいのでしょうか?」
「ですね」
「畏まりました。そうですか残念です。松様、松竹梅菊達には私の方から伝えておきます。嵐の中では乾く物も乾きませんので溜まる一方なのです。ハァ~~~困った困った、それではお館様奥方様方失礼致します」
キュピーン。
・・・
・・
・
クロコダイアンさんが姿を消した後の宙を見つめながら。
「エリウス、あと神様って誰がいましたっけ?」
「主殿が言う神とは正式な神で間違いありませんか?」
「たぶん」
「でしたら、イエレミーヤ様、アイドル様、あっおい様、ユーコ様、ロザリークロード様、ルージュ殿、ドル殿、アル殿、マリレナ殿、私などがそうです」
「そうなんですよね……」
フォルティーナと同じ位要領を得ない微妙な人達ばかりだ。だが、イエレミーヤ様と悪狼神様ならもしかしたら。
「悪狼神様の庵に行きましょう」
「はっ!!」
貴重な時間をありがとうございました。
 




