6-MS-115 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 可能性を広げ豊かな未来を掴もうエデュケーションキュリオシティ―アンドカーテシィー -
見た目だけは立派な書籍二十五冊の呪印の解呪と付与の解除は思いのほかあっけなく終わってしまった。
接客不能に陥ったままの店員さんと、積まれた書籍のことで頭がいっぱいのリディアさんと、角の生えた馬と羽の生えた馬のことで頭がいっぱいのパフさんと、パフさんに絡まれちょくちょくこっちを見てくる盾を、レイジィー書籍店の屋上に残し、【フリーパス】で執務室へと帰還した。
何冊か気になった書籍はあったが、それ以上に気になることが出来てしまった。書籍は逃げないのだから優先順位は【オペレーション】に決まっている。
執務室の応接用ソファーに腰掛け、付与と付与の解除、呪いと呪いの解呪、呪印と呪印の解呪、ステータスへの干渉、等々思い付く限りの実験を進めていく。
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何て充実した時間だろう。達成感と高揚感、歓喜で顔がついついニヤケてしまう。
さて、次はどうしたものか、魔晶石の属性も簡単に載せ替え出来てしまったし、宝石や鉱石の『地属性化』『水属性化』『火属性化』『風属性化』『聖属性化』『邪属性化』『光属性化』『闇属性化』も簡単に出来てしまったし。
先日まで積み重ねて来た実験はいったいなんだったんだろう……か。…………難しいことは考えないことにしつつ。
徐に窓の外へと視線を動かす。
雲行きが怪しいとは思っていたが、やっぱり雨が降って来たか。そう言えば屋上の時空牢獄そのままだな。まぁ~何だ、小雨とはいえ降って来たし残して来て正解だったのかもな。
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スカーレットに振り出した雨は、瞬く間に小雨から土砂降りへ変化し、窓を叩く雨の音が風の力を借り大きな不協和音へと変化する。
カァ―――ッ。
透明度を失った窓から入って来た閃光に音を付けるなら、カァッであってると思う。
ドォ―――ンバリバリバリバリゴロゴロゴロゴロ。
二つの陽の光を遮るダークグレーの空全体に閃光が走りまくっている。
久々に聞いたな、雷の音。
ソファーに腰掛けながら、神眼で海と街と空と山と川と港の様子を確認しながら、実験に集中出来ないから執務室に遮音を付与した神気スキル【時空牢獄】を展開する。
マジかっ、出来ちゃったよ、おいっ。
【オペレーション】の評価をフォルティーナより遥かに仕える優良スキルだと格上げしたばかりだったが、神気スキルにまで干渉出来てしまうとなると話は変わる、【マテリアルクリエイト】【フリーパス】【転位召喚・極】【タブレット】にも劣らない滅茶糞使えるスゲェースキルって認識を改めることにしよう。
静けさを取り戻した執務室の応接用テーブルの上に魔力陣を正確には魔術陣を展開し本来の機能を切り取り別の機能を貼り付け起動するのか実験を繰り返す。
神気スキルにまで干渉出来てしまえるスキルだ。理を歪めてしまうくらいぶっ壊れていてもおかしくない。
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機能交換実験をとっても満足のいく素晴らしい結果で終えた俺は、神茶を楽しみながら、更なる予測と仮説を立て続けていた。
執務室の外は嵐。
味は無いが香りだけは最高の神茶の香りで思考を研ぎ澄まし、たまに眩しく光る透明度を失った窓を見つめながら、ふと思う。
明日は晴れると良いな。と。
貴重な時間をありがとうございました。
 




