6-MS-108 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 自分の常識は非常識だと思っておけばイルビーオーケイ -
あれれ、サザーランド陛下ってトゥーシェやリュシルの祖父だけど俺の眷属でも隷属でも何でもないよな。何でいるんだ?
≪ユーブ ガット ヴォイスメール。
ヴォイスメール?
久々に聞く、女の子(少女)の声、タブレットの声が頭の中で響いている。
≪トゥー プレイ ………… トゥーシェのルーツは亜下界メア悪魔域です。本人に自覚はありませんがトゥーシェは私が認めたアナタの嫁であり妻です。リュシルはトゥーシェでありトゥーシェではありませんが私が認めたアナタの嫁であり妻です。
分裂したと思ったらどっちも公認の嫁とか意味不明な神授を一方的にいただいたのは覚えているが……。
≪私の声は森羅万象。トゥーシェ、リュシルにとって大切な家族はアナタの家族です。
そう考えると俺って家族だらけだな。
≪この建物のこの場所には創神殿の結界を模した結界が張られています。創神界域の理は私の心理。この場所は私の心そのものです。
たいじゅの間って、創造神様の御心そのものなのか。……これ何の話だ?
≪亜下界メア悪魔域のサザーランドとトラヤヌスは良いですね。羨ましいですね。
羨ましい? え、は?
≪ここは私の心。数多の個が集まり楽しそうで良いですね。羨ましいですね。アナタの家族親族一族眷属隷属奴隷ではない私は見守ることしかできません。もう一度言いましょう。ここは私の心。……もう時間のようですね。ここではなくとも常に見守っています。それではまたお会いしましょう。
……これは神授ってことで良いのかな? またお会いましょうって、創造神様に?
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「主殿、あと二十ラフン程で解散となります。始まりの挨拶はアランギー様が終わりの挨拶は主殿が務めるで間違いありませんか」
思考をフル回転させ神授の内容を吟味していると、エリウスが面倒臭いことを思い出させてくれた。
「みたいですね」
はい、解散。とかそんな感じで良いだろう。
たまに耳に入って来るトラヤヌスさんとサザーランド陛下とトゥーシェの会話を意識的にスルーし、エリウスと世間話をしながら時間を潰す。
「あの二人、ベリンノック大陸にある全ての旧教関連施設を洗うつもりのようでしたが、眷属達からの報告は今のところ一件もありません」
「でしょうね。タブレットの常時監視機能を花摘みや禊の時以外はONにし二人の動向を記録していたんですが、彼女達、殺ししかしていませんからね」
「黒が機能していない可能性があると知った上で未だに暗殺を請け負っていると?」
「自分達の意思で殺して回っているようなんで」
「あ、主殿は人が殺されるのを、殺しを放置しているのですか?」
「長い間支配者として君臨していた世界創造神創生教会ですからね、弱みや秘密とか握り放題だったんだと思います。だから改めもせず未だに権勢を享受していたり匿われ潜伏していたりと兎に角面倒な状況だった訳じゃないですか。たぶんですけど……」
「あの二人が暗殺しているのは」
「ズィスパールの大神官長、先日男の神官が遣いだって言ってた例の大神官長ですね。他にも神官や司祭、神聖騎士団の幹部とか……優秀ですよね彼女達、こっち側だったら良かったのにって思ってしまうくらいに」
「引き抜きたいとお考えですか?」
「どうなんでしょうね。協力してくれるなら有難い存在だとは思いますが、ですが、証拠も残さず殺して回ってるとはいえ殺しは殺しですからねぇー。難しいのかなぁ~」
「蛆や虱を潰して回っているのであれば、更生した救いようはあると私は考えます」
エリウスならそう言うと思ってました。
「まっ、何であれ、彼女達には申し訳ないですが俺達にはできない汚れ仕事をこのまま続けて貰いましょう。ただ、死なれると何となく気分が悪くなると思ったんで」
「まさか、も、もしかして支援をっ!!」
「その通りです。支援って言っても、悪意ある攻撃を百分の一にするとか、精神への干渉が一定量を越えると無効化するとか簡単な付与を体に直接かけただけなんで、本人達ですら気付けないレベルです」
「主殿、アシュランス王国の主力部隊の兵士達の攻撃力をご存知で?」
「一般的な人族でってことですか?」
「はい」
「そうですねぇ~、主力って言う位だから千とか二千とかはありそうですが……」
「数百回に一度、二百を超える時があるかないかです。しかも相手が無防備で防御力が0に等しい時ににです」
「あぁーそんな感じなんですね。もう少し良い武器を持たせた方が良さそうですね」
「いったい何と戦わせるおつもりなのでしょうか?」
「……来る悪とか、ですかねって冗談ですけど」
「ハッハッハッハッハ、あちら側だということを忘れておりました。ハッハッハッハッハ主殿やり過ぎです」
「だから冗談だって言ったじゃないですか」
貴重な時間をありがとうございました。




